〈座談会 栄光の峰をめざして〉52
〈座談会 栄光の峰をめざして〉52 回向の本義「題目の光は無間にまで至る」 後継の自覚で力強い唱題を 2017年8月10日
伊藤 本日から16日まで毎日、全国の墓地公園・納骨堂では、「諸精霊追善勤行法要」が営まれます。また、会館で実施される地域もあります。
原田 学会の墓園には、多くの方から信頼と共感の声が寄せられています。学会員でない親族の方が、明るく、すがすがしく、何より管理の行き届いた墓園を訪れて“私もぜひ入りたい(笑い)”との感想を届けられることもあります。
伊藤 池田先生が示された墓園の基本理念――「恒久性」「平等性」「明るさ」を体現した「生死不二の生命の宮殿」に、感動が広がっているのですね。
長谷川 御義口伝には、追善回向について、明確に仰せです。「日蓮およびその門下が、故人を追善する時、法華経を読誦し、南無妙法蓮華経と唱えたならば、題目の光が無間地獄にまで至って、即身成仏させることができる」(御書712ページ、通解)
永石 広宣流布の途上で亡くなられた、家族、同志、友人、先祖代々の、安穏と福徳を祈念する勤行法要は、御書に仰せ通りの回向の場ですね。
伊藤 小説『新・人間革命』第25巻「薫風」の章には、御聖訓「人のをやは悪人なれども子・善人なれば・をやの罪ゆるす事あり、又子悪人なれども親善人なれば子の罪ゆるさるる事あり……」(同931ページ)を引用され、このように書かれています。
「親子、家族の絆は強い。成仏のためには、生前の故人の信心が最大の要件であることは当然ですが、残された子どもなど、家族が真剣に題目を送ることによって、故人を成仏に導くことができます」と。
長谷川 さらに、「他界したあとは、回向される側の成仏・不成仏は、回向する側の信心のいかんにかかってきます。したがって、ご遺族など、回向する方々が、強盛に信心に励んでいくことが、大事になるんです」と続きます。
原田 私たちにとって法要は、哀悼の感情で故人に思いをはせるだけでなく、強盛な信心に立ち、広布の道を歩むことを誓う場です。それによって、故人の成仏もかなっていくのです。
長谷川 先生は、仏法で説く「逆即是順」(逆即ち是れ順なり)の法理についても言及されています。
原田 「逆」とは逆縁――仏の教えを聞いて正法を誹謗することであり、「順」とは順縁――仏の教えを聞いて素直に信心することです。
つまり、「逆即是順」とは、一切衆生が仏性を具えているため、たとえ正法を誹謗した人であっても、正法に縁したことが因となって、必ず成仏できることを説いています。
永石 これを通し、先生は語られました。「南無妙法蓮華経という大法をもって回向するならば、物故者の生命が悪業をはらんでいたとしても、悪は即善と顕れ、成仏させることができるのであります。しかも、この題目の回向によって、自分自身にも福運と威光勢力が具わっていきます。そこに、私どもの追善の深い意義があります」と。
原田 生命力を満々とたたえた力強い題目によって、諸精霊の威光勢力が増す――偉大な妙法の功力を再確認する指導です。
永石 先生はまた、遺族の方々に対して、広宣流布という「名誉ある道を歩んだ先覚者の遺志を、必ず継承していってください。その意味から、ご自分を、単なる『遺族』と考えるのではなく、南無妙法蓮華経という宇宙根源の法を持った、広宣流布の『後継者』であると、強く自覚していっていただきたい」と言われています。
原田 日蓮大聖人の仏法は、常盆、常彼岸です。私たちは、日々の勤行・唱題で、故人に真心の題目を送るとともに、決意を新たにして、広布にまい進していくことが大切です。それでこそ、故人も喜ばれることでしょう。
志賀 一方、この時期、“僧侶に拝んでもらわなければ、成仏できない”“塔婆を立てなければ、先祖の追善回向にならない”など、大聖人の教えに違背した邪義を唱え、供養稼ぎに躍起になるのが、日顕宗(日蓮正宗)の坊主です。
竹岡 大聖人は、「謗法の者をやしなうは仏種をたつ」(同1467ページ)と断じられている。仏法を利用して、金もうけばかりを考えている“食法がき”の坊主に拝まれて、成仏などできるはずがない。かえって悪道に堕ちることは間違いない。
志賀 しかも、日顕宗には、この現代でも、「僧が上」で「信徒が下」という時代錯誤の差別主義が横行している。
竹岡 さらには、大聖人の仏法と懸け離れた、“法主絶対”“法主信仰”の強要だ。法主から法主へ相承を受けるだけで、どんな人物でも大聖人の法魂が宿るという、カルトまがいの“神秘的な血脈観”を信者に押し付けている。当然、そんなことは御書のどこにも書かれていない。
原田 「日本国の一切衆生に法華経を信ぜしめて仏に成る血脈を継がしめん」(同1337ページ)と仰せのように、仏になるための血脈は万人に開かれている。大聖人の仏法が、民衆仏法といわれるゆえんです。
志賀 大聖人の仏法を、現実に世界192カ国・地域に広めたのは学会です。SGIです。
竹岡 先生は今、『新・人間革命』を通して、第1次宗門事件の真実を教えてくださっています。私たち青年部は、この歴史を学びながら、邪宗門に鉄ついを下す正義の言論戦を力強く展開していきます。
原田 学会は、衰亡しゆく日顕宗を悠然と見下ろしながら、どこまでも、大聖人直結、御書根本で、世界宗教の大道を歩み抜いてまいりたい。
〈座談会 栄光の峰をめざして〉51
〈座談会 栄光の峰をめざして〉51 「一対一の対話」で「民衆の連帯」を 世界平和の誓いを新たに 2017年8月7日
竹岡 未来部の夏季研修会が先日、創価大学で行われました。未来部同士のディスカッションや先輩との交流などを通して、見違えるように大成長した姿に本当に感動しました。
伊藤 躍進月間の真っ盛り、「E―1グランプリ」をはじめ、各種コンクールへの挑戦、また「創価ファミリー大会」など、各地で活発に行われていますね。
原田 今、世界各国でも未来部の研修会が行われています。池田先生は「『学会の永遠性の確立』の急所は、まぎれもなく、未来部の育成にある」と呼び掛けられました。広布の永遠の流れを創る聖業との思いで後継の宝を励まし、共に成長してまいりましょう。
竹岡 8月6日・9日は、広島・長崎の「原爆の日」。そして15日には「終戦の日」を迎えます。
原田 広島・長崎では、「原爆の日」に合わせ、原爆犠牲者・戦没者を追善する勤行法要が営まれ、15日には全国で「世界平和祈念戦没者追善勤行法要」「諸精霊追善勤行法要」も執り行われます。全ての方々へ追善の祈りをささげるとともに、世界平和への誓いを新たにしてまいりたい。
前多 「広島学講座」や「ピースフォーラム2017(長崎平和学講座)」「核兵器廃絶のための学生主張大会」など、平和建設を誓う諸行事も、広島・長崎で開催されています。
竹岡 「被爆体験を聞く会」も各地で行われていますね。私の祖母も、広島の被爆者の一人として、被爆体験を語り続けています。
石渡 「核兵器のない世界」の実現のためにも、被爆者の方々の体験や記憶を継承していくことは、戦後70年以上経過した今、大きな課題となっています。
竹岡 被爆者の方々の思いを、世界の多くの青年と共有するため、青年部として「原水爆禁止宣言」60年の意義を込め、被爆証言集の英語版(第三文明社刊)を発刊します。
浅井 世界の青年が、被爆者の心の声に耳を傾け、核兵器廃絶へ主体者となって立ち上がる一助となることを念願しています。
竹岡 そして9月には、宣言発表の地・神奈川で「青年不戦サミット」を行います。広島・長崎・沖縄の3県をはじめ神奈川、各方面、さらに世界の青年部の代表が集い合い、核時代との決別を強く求める青年の声を結集してまいります。
前多 女性平和委員会では、被爆体験を伝える「草の根の映写会」を各地で開催しています。「平和への願いをこめて――広島・長崎 女性たちの被爆体験」や「知られざるヒロシマの真実と原爆の実態」「恒久平和を目指して 核兵器廃絶への挑戦」などをDVD・VODで視聴しています。
石渡 「これほど残酷なものとは思わなかった。世界の人々に見てもらいたい」「二度と戦争を起こしてはいけないと強く感じた」「証言者の言葉は、永遠に残していくべき」「こうした活動こそ、社会を大きく変えていく」など大きな反響を呼んでいますね。
原田 池田先生は綴られています。「世界地図には載っていない、一番、身近な『ご近所』から、人間の『尊厳』と『幸福』と『平和』は広がる」「狭い路地の奥にまで足を運んで、近隣の友と語り合い、地道に友好を拡大していく。その女性たちの勇敢で誠実な努力こそが、社会を変え、歴史を変え、世界を変える」
前多 まさに女性平和委員会として大切にしている精神です。「核兵器のない世界」の実現を願い、身近な所から、「草の根の運動」を広げてまいります。
浅井 7月7日、被爆者の皆さまの願いであった「核兵器禁止条約」が採択されました。核兵器の使用や開発、実験、製造、保有、移転、そして使用の威嚇などを禁止した、人類史上初の国際条約です。
石渡 SGIも市民社会の一員として、採択に貢献をしてまいりました。尽力されてきた世界の被爆者の方々、各国政府、国連、国際機関、NGOをはじめ、関係者の全ての皆さまに心から敬意を表します。
前多 禁止条約では2度にわたり、被爆者への言及がなされ、前文には「ヒバクシャの受け入れ難い苦しみと被害に留意する」とあります。また「宗教指導者」や「平和及び軍縮教育」への言及もあります。さまざまな意味で、画期的な条約であると思います。
伊藤 折しも今年は、戸田先生が、人類の生存を脅かす核兵器を“絶対悪”とした「原水爆禁止宣言」の発表から60年。この節目に禁止条約が採択されたことに深い意義を感じます。
浅井 国際反核法律家協会理事の山田寿則氏は、こう語っていました。「極めて先見性に満ちた宣言だと思います」「宣言が持つ深さ、あるいは、洞察の鋭さを認識するべきでしょう。この原点を外してはいけないし、むしろこの方向に向かって禁止条約は進むべきだと思います」と。
石渡 9月20日から「核兵器禁止条約」への各国の署名が始まります。歴史的意義を持つこの条約に、世界の全ての国が署名することを心から念願します。
竹岡 誰よりも、被爆者の皆さまがそれを切望しています。池田先生は語られています。「核時代に終止符を打つために戦うべき相手は、核兵器でも保有国でも核開発国でもありません。真に対決し克服すべきは、自己の欲望のためには相手の殲滅も辞さないという『核兵器を容認する思想』です」と。
原田 人類の悲願である「核兵器のない世界」の実現に向け、不可欠なのは、こうした意識変革の下支えです。私たちは、「一対一の対話」を軸に、志を同じくする人々と「民衆の連帯」をさらに広げ、「平和の潮流」を確かなものにしてまいりたい。
創大通信教育部スクーリング開講式への池田先生のメッセージ 2017年8月7日
SEIKYO online (聖教新聞社):随筆など
創大通信教育部スクーリング開講式への池田先生のメッセージ 2017年8月7日
「学は光、無学は闇。知は力、無知は悲劇」。我らのキャンパスの「学光の塔」に刻まれた、この創価教育の大精神を体現されゆく、誉れの通教生の皆さん方! 暑い中、また多忙のところ、日本全国、そして17カ国・地域から、誠に誠に、ご苦労さまです。
「学光の塔さながら通教生」「通教生さながら学光の塔」たる、尊き賢者の皆さん一人一人と、私は心の握手を交わしながら、きょうからの全スクーリングを見守らせていただきます。
来月は、日本と中国の国交正常化から45周年の佳節です。
共々に手を携えて、両国間の金の橋を架けてきた宝の友人の一人が、中国教育学会の名誉会長を務められる顧明遠先生です。
この顧先生と私は対談集(『平和の架け橋』)の中で、“「生涯教育」こそ良き社会を築く鍵なり”と深く一致しました。
顧先生は、ここ創価大学で語られております。
「この瞬間も大きく変化している社会において、ただ学ぶということだけが、新しい創造を生み、不敗の地に立つことができる」
そして顧先生は、わが創大通信教育部の挑戦に、大いなる信頼と期待を寄せてくださっているのであります。
人生も社会も永遠に闘争です。しかし学び続ける勇者は、決して行き詰まらない。生き生きと常に価値を創造し、自他共に常勝不敗の道を開きながら、平和のスクラムを拡大していくことができる。
ともあれ皆さんが、こうして創大に集い合われたこと自体、幾多の困難に打ち勝った証しに他ならないと、私は感激しております。
特に本年は、九州をはじめ日本各地で記録的な大雨が続いています。東北や熊本も、震災からの復興へご苦労が絶えることはありません。
さまざまな苦難に不撓不屈の負けじ魂で立ち向かう学光の同志を、互いに大拍手を送り、讃え合いたいと思いますが、どうでしょうか!(大拍手)
どうか、水分補給など体調管理に十分気をつけながら、縁の学友と共に、楽しく有意義で、充実した一日一日をお過ごしください。
結びに、敬愛してやまない皆さんに、
勝ち光れ
学の宝塔
君なれば
と贈り、私のメッセージといたします。心身も頭脳も、ますます頑健にと祈りつつ(大拍手)。
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〈池田先生と共に 新時代を進む〉15
SEIKYO online (聖教新聞社):折々の指針
〈池田先生と共に 新時代を進む〉15 2017年8月6日
私が師・戸田城聖先生に初めてお会いしたのは、終戦から2度目の夏。父母が復員を待ちわびていた長兄の戦死の公報が届いた、2カ月半後のことであった。
命を賭して軍部政府と戦い抜かれた先生を信じて、19歳の私は、創価の平和闘争に身を投じた。
戦争は、どれほど多くの尊い生命を奪い、愛する家族を引き裂き、嘆きと悲しみの底に突き落としたか。
なかんずく、広島、長崎の被爆者の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみを、断じて忘るるな! これが、師の峻厳なる誡めであった。
― ◇ ―
核兵器は、世界の民衆の生存の権利を根源的に脅かす、まさしく“絶対悪”にほかならない。
戸田先生は、1957年の9月8日、仏法の生命尊厳の哲理の上から「原水爆禁止宣言」を神奈川で発表された。
核兵器の禁止と廃絶を時代の潮流に高めることを、青年への「遺訓の第一」として託されたのだ。
宣言から60周年となる本年の7月、ニューヨークの国連本部で「核兵器禁止条約」が採択された。核兵器の使用や保有を一切の例外なく全面的に禁止する、初めての国際条約となる。
「核兵器のない世界」は人類の悲願である。そのためにも、民衆の連帯をいや増して強め広げなければならない。頼もしいことに、次代を担う青年部、未来部が、尊き父母たちの「平和の心」を受け継いで、学び、前進してくれている。
生命尊厳の希望の大潮流を、さらに力強く未来へ創り起こしていきたい。
― ◇ ―
「立正安国論」に「汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か」(御書31ページ)と仰せである。
自他共の幸福への追求と世界の平和への貢献が、一体不二で連動しているのが、我らの広宣流布である。
今、真冬のブラジルからも、はるばると若き200人の地涌の宝友が、研修に来日してくれている。
忘れ得ぬブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁と私は約し合った。
――政治・経済次元のつながりよりも、はるかに高く、広く、強く、世界市民を結び合い、人類の命運さえも変える絆を結ぼう!と。
運命は変えられる。諦めなければ!
平和は勝ち取れる。青年が心一つに立ち上がれば!
あなたは知ってた? 木星は太陽の周りを回っていない
あなたは知ってた? 木星は太陽の周りを回っていない
あなたは知ってた? 木星は太陽の周りを回っていない
c Hubble Heritag
サリナ・ヨーン(Salina Yoon)の絵本『Space Walk』は、娘のお気に入りの1つだ。仕掛けをめくり、言葉遊びをしながら、それぞれの惑星について楽しく学べる。
多い日は1日に3回以上、娘に読み聞かせている絵本だが、いつも眉をひそめてしまうのが、この一文だ。
「太陽の周りを回るすべての惑星のうち、1番大きいのが木星です」
ガスを主成分とする巨大な木星は、事実、太陽系最大の惑星だ。その質量は、太陽系の他のすべての惑星、月、小惑星、彗星などを合計した重さの2倍以上ある。
しかし、厳密に言えば、木星は太陽の周りを回っていない ?? なぜなら、圧倒的に大き過ぎるからだ。
宇宙空間では、小さな物体と大きな物体があったとき、小さな物体が大きな物体の周りを周回するのではなく、両方の物体がその共通重心を回る。
質量が太陽の33万分の1しかない地球のような脆弱で小さな惑星の場合、その共通重心は太陽の中心にとても近いため、それがわずかにずれていることに我々は気付かない。まるで、地球が円を描いて太陽の周りを回っているかのように見える。
同じことが、太陽系の大半の物体に当てはまるのだ。
ところが、木星は非常に大きいため、その共通重心は1.07太陽半径、つまり太陽の表面から約3万マイル(約4万8000キロメートル)離れたポイントにある。
太陽と木星の共通重心は、太陽の表面から約3万マイル離れたところにある。c NASA/SDO; Business Insider 太陽と木星の共通重心は、太陽の表面から約3万マイル離れたところにある。
木星の重量は太陽の約1000分の1だが、太陽と木星がそれぞれ共通重心を回るほどには十分重い。
2つの軌道を表したNASAのGIF画像がこちら(実際の縮尺とは異なる):
その距離とサイズははるかに異なるものの、こうして木星と太陽は共に宇宙空間を動いている。
今度子どもに読み聞かせる本に、木星が太陽の周りを回っていると書いてあったら、そのページは無視してしまおう。
全国未来部夏季研修会への池田先生のメッセージ
SEIKYO online (聖教新聞社):随筆など
全国未来部夏季研修会への池田先生のメッセージ 2017年8月2日
わが師・戸田城聖先生と初めてお会いしてより70年の8月を、今朝、私は万感の思いで迎えました。
当時の私と同じ年代の心凜々しき高等部の友が、日本全国より、創価大学へ集い合ってくれているからです。恩師が10代の私に授けてくださった後継の旗を、奇しき縁で結ばれた君たち、あなたたちに譲ることができるからです。
皆、祈り、学び、挑戦と努力を重ねて、参加を勝ち取ってくれ、本当にありがとう!
私の心を分かち合ってくれる担当者の方々の尊い献身に、厚く感謝申し上げます。男女青年部また学生部をはじめ、陰で支えてくれている皆さん方、お世話になります。
誇り高き「正義の走者」の皆さんに、きょうは三つの創価後継の「道」を託したい。
第一に、「平和の未来へ羽ばたく『英知の翼の道』」です。
「英知を磨くは何のため 君よ それを忘るるな」――私が創価大学生に贈った指針です。皆さんが日々、勉学に挑んでいることは、とても地味に思えるかもしれない。しかし、ひとたび自らの使命を深く自覚するならば、今、地道に磨いている英知は、全て未来へ羽ばたく翼となります。これからの人類の平和を創る希望の力なのです。
私が対話を重ねた中国の文豪・王蒙先生は、80代の今も学び続け、語られています。
「進まざれば後退。これが学習の特質です」と。
何があっても前へ前へ! 倒れても、また立ち上がって、たくましく朗らかに前へ!
学べ、学び抜け! 創価のメロスは、不屈の「英知の走者」であっていただきたい。
第二に、「共々に勝利の前途を照らしゆく『友情の光の道』」です。
日蓮大聖人は、「人のために火をともせば・我がまへあきらかなるがごとし」(御書1598ページ)と仰せになりました。友情の火をともすことは、そのまま互いの前途を照らす光となるのです。
創価学会は、生命の尊厳に目覚めた一人一人が、悩める友のために、友情の火、励ましの火をともし、民衆の勝利の前途を照らしてきたスクラムです。かけがえのない、この光の道を、皆さんは胸を張って進み、地球の明日を輝かせていただきたいのです。
とりわけ、今回の研修の仲間とは、仲良く楽しく、一生涯の絆を築いてください。
最後に、「信仰の無敵のエンジンで勝ち進む『栄光の巌の道』」です。
戸田先生は、「生きるならば、大哲学、大思想、大宗教を持ち続けて、栄光の一生を飾れ!」と叫ばれました。直弟子の私は、その通り、70年間、走り抜いてきました。
それは、御書に「魔競はずは正法と知るべからず」(1087ページ)と仰せの如く、一番正しいからこそ、一番魔が競い起こる苦難の道でありました。
しかし、正義の信仰とは、この世で最も尊く、最も強い無敵のエンジンです。私は、この究極の信念の力で、どんな試練も圧迫も、創価の同志と乗り越えてきたのです。
不二の弟子である皆さんもまた、題目を唱え抜きながら、行く手に立ちはだかる、あらゆる巌を断固と勝ち越え、前人未到の峰に栄光の旗を翻していただきたいのです。
ともあれ、21世紀の開幕の時に生まれ出でた黄金世代の皆さんを、私は地涌の本命と定め、ずっと見守り続けていきます。この三日間、見違えるように大成長して、帰ったら、送り出してくれたご家族や地域の方々に、最高に晴れ晴れとした笑顔で、「ありがとう!」と伝えていただくことをお願いして、私のメッセージとします。
従藍而青の愛弟子の君たち、あなたたちに健康あれ! 勇気あれ! 凱歌あれ!(大拍手)
永遠なれ創価の大城〉22
SEIKYO online (聖教新聞社):随筆など
〈随筆 永遠なれ創価の大城〉22 未来部と共に成長 2017年8月1日
「従藍而青」を信じ 師子を育てゆこう
新たな生命が、この世に生まれることは、何という希望であろうか。
門下の子どもの誕生を喜ばれた御聖訓が、私の胸にこだまする。
「法華経流布あるべきたね(種)をつぐ所の玉の子出で生れん目出度覚え候ぞ」(御書一一〇九ページ)
わが未来部は一人ひとりが妙法の宝塔であり、広宣流布を担い立つ「玉の子」として、今この時に躍り出てくれた。
◇
恩師・戸田城聖先生の出版社で私が働き始めたのは、二十一歳の時である。大変な毎日だったが、楽しくて嬉しくて仕方がない仕事があった。
少年誌の編集である。
“全ての子らが、正義を愛し、平和を愛する、よき人生を”と願った。
よき言葉、よき物語を、子どもたちに届けようと、日本を代表する作家たちのもとを勇んで訪れ、誠心誠意、思いを伝えて、執筆や連載を快諾してもらった。
依頼した作家の原稿が締め切りに間に合わず、自ら「山本伸一郎」のペンネームで、大教育者・ペスタロッチの伝記を書いたことも懐かしい。
ペスタロッチは叫ぶ。
「少年・少女が成長して、花咲いてゆくのをみることは名状し難い喜びではないか」と。
私も同じ思いだった。ありがたくも今、「未来ジャーナル」や「少年少女きぼう新聞」を通して、若き宝友と心の対話を続けることができている。
使命の花を咲き開かせていく未来部の友の姿に接する時、私の胸は、はち切れんばかりの喜びに満たされるのだ。
七月の本部幹部会で、少年少女部、中等部、高等部の代表メンバーが、力強い演奏と共に、創価の希望の歌声を爽やかに響かせてくれた。
一人ひとりが、勉強に、クラブ活動に、親孝行にと、挑戦を重ねて迎えた、感動のステージであった。家族の病や、学校でのいじめなどに負けず、祈りと勇気で勝ち越えた友もいると伺った。
合唱してくれた歌は未来部歌「正義の走者」。
第一次宗門事件の渦中の一九七八年(昭和五十三年)七月、私が岡山の地で作詞した歌だ。
〽君も負けるな いつの日か
共々誓いし この道を
嵐も吹雪も いざや征け……
「君よ」ではなく、「君も」と綴った。
若きメロスよ! 君には、同じ志を抱き、嵐に挑む友がいる。
君たちが進む道を開きゆかんと、苦難の道を走る創価の父母がいる。
君たちの成長と勝利を厳然と見守り、楽しみに祈り待つ人がいる。
ゆえに絶対に負けない。負けてはならない。同志と共に、父母と共に、「君も」また、断じて正義の道を踏破するのだ!
私は、この万感の思いを歌詞に託した。
誓いのバトンを受け取ってくれた当時の未来部の友は今、広布と社会のリーダーと光っている。
未来部躍進月間――。「学会の永遠性の確立」の急所は、まぎれもなく、未来部の育成にある。
伝統となった「E―1グランプリ」をはじめ、読書感想文や作文のコンクール、また「少年少女希望絵画展」も、皆で最大に応援していきたい。
◇
人間教育において大事なポイントに、一方的に教えるのではなく、「共に学び、共に成長する」ということがある。これは、創価教育の父・牧口常三郎先生が先駆的に示されていた点でもある。
学会の庭には、先輩も後輩も一体となって前進するなかで、人づくりの智慧が蓄積されてきた。
各地の創価ファミリー大会なども、子どもたちと一緒に学会の歴史や活動の意義を学び、信心を深められるようにと、多彩に工夫されている。
特に、壮年・婦人部の未来本部長、青年部の二十一世紀使命会、学生部の進学推進部長をはじめ、育成に尽力してくださる方々には、心からの敬意と御礼を申し上げたい。教育本部や国際本部等の尊いサポートにも、いつも感謝している。
今、世界中で未来部世代の活躍が目覚ましい。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、奮闘する十代のアスリート(競技者)たちの姿も眩いばかりだ。
将棋界でも、中学生棋士の連勝記録が日本中の話題となった。
実は、戸田先生も将棋がお好きだった。折々に、私も相手をさせていただいたものである。
思い出深いのは、戦後の混乱の不況下で、戸田先生の事業が暗礁に乗り上げ、私が編集長を務めていた少年誌などの休刊が決まった日のことだ。
先生は、いつものように、親しい来客に「一局どうだ」と、愉快そうに将棋を指しておられた。
その泰然自若とされた王者の雄姿に、私も「何があろうと変わるまい。自分の今なすべきことを、なすまでだ」と、腹を決めたものである。
◇
将棋の駒の「歩」は、じっと動かなければ、「歩」のままだ。しかし、一歩また一歩と、前へ進み、ひとたび敵陣に突入すると「と金」に成り、「金」と同じ働きをする。
「桂馬」の動きは、面白い。いざという時まで動かないことで、敵の攻めを封ずることもある。
駒それぞれに特性がある。一つとして意味のない駒はない。戦い続けていくならば、本来備わっている偉大な力を発揮することができる。
人間も同じであろう。
仏法は、桜梅桃李すなわち、一人ひとりが己の個性を伸ばし、開花させていく生き方である。
未来部時代、また青春時代は、鋭敏であるゆえに、人と比べ、一喜一憂してしまうこともあるだろう。だが、決して悲観などすることはない。
妙法と共に、広宣流布という偉大な誓願の人生に生き抜く時、誰もが、自分にしかない無限の可能性の花を、必ずや悔いなく咲かせ切っていくことができるからだ。
将棋の起源は、古代インドの「チャトランガ」という盤上ゲームにあったとされる。それが中国をはじめ東アジアに伝わる中で、日本では「将棋」へと姿を変えていった。
「仏法東漸」――インド発祥の仏教が東へ伝来してきた歴史と重なるようで、興味深い。
先日、大発展するインドの地涌の若人二百人が、「先駆」の誉れも高き九州を訪れた。
各地での交流交歓会で、歓迎の歌声や笑顔を広げてくれたのは、凜々しき未来部であった。
国を超え、民族を超えて、同じ志を分かち合い、励まし合って進む、桜梅桃李の人華の園よ! 人類が願ってやまない理想の人間共和の縮図が、ここにこそあるのだ。
この歓喜を、崇高さを、希望を、私たちは、自信満々と若き世界市民に伝えていきたい。
御書には、「譬えば鳥の卵の内より卵をつつく時・母又同じくつつきあくるに・同じき所をつつきあくるが如し、是れ即ち念慮の感応する故なり」(八一〇ページ)と仰せだ。
親が懸命に力を尽くし抜いた時、子も、その祈りに応えようとして、硬い卵の殻を割ることができる。生命の次元で、心と心は感応し合う。
親の信心は、必ず子に伝わる。たとえ、時間がかかっても、回り道を重ねても、絶対に伝わる。
飾る必要はない。失敗を恐れなくてよい。信念を曲げず、自ら決めた道を朗らかに進む。その親の生き方こそ、子に贈る「最上の宝」なのだ。
◇
植物の「藍」から生まれ出る「青」は、重ねて染め抜くことで、藍にも増して色鮮やかに光る。同様に、後継の友を、自分以上に立派に、そして陸続と成長させるのだ。
この「従藍而青(青は藍より出でて而も藍より青し)」の法理を、関わる側が信じ抜くことだ。
「師子」を育てられるのは「師子」だけだ。
「子どもを育てること、それ自体が平和のための仕事である」
これは、忘れ得ぬ平和研究の母・ボールディング博士の信条であった。
一人の未来部の生命を輝かせゆくことは、地球社会を希望で照らす平和の大事業なのである。
いよいよ「未来部夏季研修会」が、八王子市の創価大学で始まる。
世界各国でも未来部員が一堂に会し、有意義な研修会が行われている。
イタリアの研修会では、皆で御書を学んだ。教材は、かつて私が高等部に講義した「生死一大事血脈抄」。講師は、当時、講義を受けた高等部第一期生のリーダーである。半世紀を経て、滔々たる人材育成の大河は全世界に広がり、その伸展は世界同時進行である。
さあ、創価の宝、人類の希望の未来部を励まそう! 共に成長しよう!
広宣流布の永遠の流れを確立する聖業に連なる誇りを胸に前進し、充実と鍛えの夏を、健康第一で送ろうではないか!
地涌の義は
未来部にあり
世界まで
誉れの人材
育つ嬉しさ
(随時、掲載いたします)