〈池田大作先生 四季の励まし〉

SEIKYO online (聖教新聞社):随筆など

池田大作先生 四季の励まし〉 和楽の家庭から希望の虹を 2017年7月30日

 
 

 人間は自分一人で
 生まれてくることはできない。
 たった一人で一人前の人間に
 なれるものでもない。
 家族のなかに生まれ、
 家族のなかで育ち、
 やがて一個の人間として
 成長していく。
 夫婦も、兄弟姉妹も、
 目に見えぬ一つの法則で
 結ばれているともいえる。
 その心の絆こそ、
 家族の結晶であるに違いない。

 お母さんの声、お母さんの手ほど
 美しいものはない。
 子どもをあやし、
 子どもを呼ぶ母の声。
 おむつを換え、ご飯をつくり、
 服を着させる母の手。
 「母の声」「母の手」に守られて、
 人は皆、大人になっていく。
 母の声が世界を結び、
 母の手が
 平和へとつながっていく時、
 どれほど
 美しい地球になることであろう。

 青年の皆さんは、
 どうか、親孝行であってほしい。
 明るい笑顔。ありがとうの一言。
 一本の電話……。
 親というのは、
 それだけで幸せな気持ちになって
 元気になるものだ。
 ちょっとした言葉や振る舞いで、
 感謝と愛情を示していくことが、
 生きる喜びの名曲となり、
 人生の名画となる。

 愚痴を祈りに変え、
 非難を励ましに変え、
 苦楽を共にする
 価値創造の家族から、
 地域や共同体を変革する
 希望が生まれる。
 和楽の家庭が築かれてこそ、
 真の平和社会が創出されていく。

 東京の空に、虹が大きな弧を描いた。七色の光は木々の緑を輝かせ、家々をやさしく包み込む。2002年(平成14年)5月、池田大作先生が新宿区内で撮影した一枚である。
 地域や社会の繁栄といっても、その基盤は家族や家庭にある。感謝を忘れず、互いを思いやり、支え合う。その中で、家庭は和楽の場となり、周囲にも安心と希望が広がる。ゆえに、創価学会は「永遠の五指針」の第一に「一家和楽の信心」を掲げる。
 ドイツの詩人ヘルダーリンは謳った。「虹は嵐のあとにでるからこそ美しい」(横田ちゑ訳)と。家族もまた、試練という嵐に、共に立ち向かう中で絆が強まり、幸福へと近づく。さあ、わが家から希望の虹をかけよう。「感謝」の二字を抱き締めて――。