ニホンガッコウ大学「名誉教育学博士号」授与に寄せた池田先生の謝辞(代読) 2017年10月

ニホンガッコウ大学「名誉教育学博士号」授与に寄せた池田先生の謝辞(代読) 2017年10月16日

 
1993年2月にパラグアイを初訪問した池田先生が、愛すべき後継の友一人一人に尊敬の眼差しを送り最大にたたえる(パラグアイ文化会館で)

 一、貴国パラグアイは、偉大なる「太陽の大地」にして「勇壮な歴史を誇る、伝説の大地」(詩人ルベン・ダリオ)と讃えられております。
 どこまでも澄み渡る青空、緑輝く大地、平和に流れゆく大河、そして、世界のいずこにも増して、朗らかで、友誼の心あふれる人々――今、私の心は、「太陽の大地」の誇り高き宝友と一緒にあります。
 憧れの貴国を、私が初めて訪問できたのは、1993年の2月でありました。
 奇しくも、その3月に創立されたのが、青少年を薫育する、貴「ニホンガッコウ」であります。
 校歌に、「全体人間になれと、無限の可能性を広げてくれる」「教育の絶え間ない向上を目指す、献身の教育に賞讃あれ」と謳われているように、崇高なる人間教育の理念を掲げ、若き英才を育んでこられました。そして、2008年12月に、世界市民を育成する先進的な知性の学城「ニホンガッコウ大学」が威風堂々とそびえ立ったのであります。
 貴大学からの最高に栄えある英知の宝冠を、私は貴国の良き市民、模範の国民として活躍する、敬愛するパラグアイの友をはじめ、世界192カ国・地域のSGIメンバーと共に、分かち合わせていただきます。
 誠に、誠にありがとうございます。(大拍手)

牧口先生の実践と響き合う理念

 一、貴大学のシンボルマークには、両手に抱かれた地球に、パラグアイと日本が描かれています。そこには、最も遠く離れた両国の心を一つに結び、人類に貢献しゆく人材を輩出しようとの、オルテガ総長ご夫妻の強い決意が輝き光っております。
 貴国のグアラニーの伝統の言葉に、「志を抱き続ければ、成し遂げられる」とあるように、総長ご夫妻は、幾多の困難を勝ち越えながら、今日の大発展を築いてこられたのであります。
 総長ご夫妻は、学生や児童と接する時は、実の父母のように、こまやかに心を配り、保護者であるご家族も折々に学校に招くなど、皆の絆を強め合うひとときを持たれていると伺っております。キャンパスに広がる人間教育の麗しき光景が目に浮かぶようです。
 それは、創価教育の創始者である牧口常三郎先生の理念とも深く響き合うものであります。
 教育の目的は「子どもの幸福」にあるとの信念に立った牧口先生は、若き日、寒さの厳しい北海道の小学校では、雪の降る朝でも外に出て、登校する子どもたちを迎えました。あかぎれで手を腫らした子がいれば、お湯を沸かし、手を温めてあげたといいます。
 また、東京の小学校の校長時代には、弁当を持参できない子どものために、無料の給食を先駆的に実施されるなど、さまざまな工夫をこらし、子どもたちを慈しまれました。
 「教育は最優最良の人材にあらざれば成功することの出来ぬ人生最高至難の技術であり芸術である」と牧口先生は宣言されています。
 そして、「自他共の幸福」を目指す人間教育の粘り強い推進によって、社会の矛盾や葛藤を打開しつつ、平和な社会の創造をと展望したのであります。
 この教育哲学もまた、貴大学の理念に深く通底していることに、私は感銘を深くしております。
 貴国が誇る世界的な作家であり、私どもSGIの草の根の教育運動にも深い共感を寄せてくださっていた、ロア・バストス先生は、述べられています。
 「大きな出来事というものは、時として目に見えない、ささやかなことから始まることが多いものだ」と。
 一人一人の若人を励まし、一人一人の人材を育てゆく教育は、「時として目に見えない」誠に地道な営みであります。
 しかし、その弛みなき挑戦の中にこそ、時代を変革し、社会を安定させ、前進させゆく、偉大なる原動力があるのではないでしょうか。

壮麗な人間共和と平和友情の花園を

 一、歴史を創るのは「水底のゆるやかな動き」である――これは、私が対談したイギリスの大歴史家トインビー博士の深き洞察でもありました。
 貴国の国名「パラグアイ」には、「大河の集まる国」との意義があると言われます。
 貴大学が、滔々と流れゆく大河の如く、尽きることのない幾多の優秀な人材を育み、世に送り出しながら、パラグアイの大地に、そして地球社会の沃野に、壮麗な人間共和と平和友情の花園を、いよいよ咲き広げていかれることを心から願ってやみません。
 私も、今日よりは、誉れ高き貴大学の一員として、先生方とご一緒に、生涯、全力を尽くしゆく決意でおります。
 その心情を、私の大好きなグアラニー箴言に託させていただきます。
 「勇者と船の帆は、最後まで屹立している」と。
 結びに、わが母校たる貴大学のますますの隆盛と、パラグアイの無窮の栄光、そして本日ご列席のすべての皆様方のますますのご健勝を、心よりお祈り申し上げ、私の謝辞とさせていただきます。
 ムーチャス・グラシアス!(スペイン語で「大変にありがとうございました!」)(大拍手)