台湾・中華大学の名誉教授称号授与式から 池田先生の謝辞(代読) 2018年7月31日

台湾・中華大学の名誉教授称号授与式から 池田先生の謝辞(代読) 2018年7月31日

世界に挑むなら、まず自分が変われ
率先垂範の人材の連帯を
王陽明の言葉「行動が伴わなければ、真に知るとは言えない」
台湾・中華大学からの「名誉教授」称号授与式。劉学長は“全人類の平和・文化・教育に貢献する池田先生の歩みに連なりたい”との真情を述べた(創大本部棟で)

 一、はじめに、先月の大阪北部地震、また西日本豪雨などの災禍に際し、台湾の方々からいち早く、温かなご厚情を寄せていただいております。苦難に直面した時、助け合い、励まし合い、支え合う人間の絆が、どれほど尊く有り難いか。改めて、心より御礼を申し上げます。
 一、貴・中華大学の校歌には、誇り高く謳い上げられております。
 「大いなる中華 多士済々たり 新竹の君子よ 共に手を携えて大学建設を」
 「勤勉・質朴・誠実・正真にして ここに真理を学ばむ」
 「勤勉・質朴・誠実・正真にして ここに善を行はむ」
 この精神のままに、貴大学は「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる科学技術都市・新竹の天地にあって、最先端の総合大学として、多士済々の逸材を育成され、新時代をリードしてこられました。
 きょう、光栄にも、この偉大な知性の殿堂より、最高に誉れある「名誉教授」の称号を賜りました。
 この喜びと栄誉を、私は信頼してやまない模範の世界市民として、社会貢献に徹する台湾SGIの宝友たちと、謹んで分かち合わせていただきます。誠に誠に、ありがとうございます(大拍手)。

事業は人にあり

 一、偉大な教育者であられる劉維琪学長は、台湾経済の発展と革新に大きな貢献を果たされた指導者でもあられます。
 2015年に、台湾高速鉄道の経営が危機に瀕した折、卓抜した手腕とリーダーシップを発揮し、見事な財政再建を果たされたことも、有名であります。
 日本を代表する実業家・松下幸之助先生と私との往復書簡集『人生問答』の中国語版が台湾で刊行された際には、貴重な序文まで寄せてくださり、「人間」という存在への深き理解なくして、社会や事業の発展もないという対話の主題を、的確に指摘していただきました。
 劉学長の洞察のごとく、まさに松下先生が繰り返し強調されていたことは、「人づくり」にほかなりません。「事業は人にあり、人をまず養成しなければならない、人間として成長しない人を持つ事業は成功するものではない」(松下幸之助『一日一話』PHP研究所)と。
 昨年の貴大学での卒業式で、劉学長が英国・ウェストミンスター寺院の、ある聖職者の墓碑に刻まれた言葉を紹介されたことを、私は感銘深く伺いました。
 すなわち、若き日には、世界や国を変えたいと大きな夢を抱き、晩年には、せめて家族を変えたいと努力したが、結局、何もかなえられなかった。いよいよ人生の幕を閉じるに当たり気づいたことは、まず自らを変えることができていれば、周囲を変えることもできたのではないか、という遺言なのです。
 劉学長は、このエピソードを通して「自分をチェンジ(変える)、世界にチャレンジ(挑戦)」との言葉を青年たちに贈られました。なんと素晴らしい青春の門出へのはなむけでありましょう。
 台湾をはじめ、私が世界の友と分かち合う民衆運動の主題も――「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」であります。
 とりわけ、貴大学は「サンシャイン・ユース」と呼ばれる、挑戦の息吹に満ち、革新的な知性と芸術的感性、そして心身ともに優れた、全人的な青年の育成を、教育目標に掲げてこられました。

駿馬のように社会で躍動せよ

 多くの卒業生が、輝く太陽のごとく、清新な光を放ちながら、社会で活躍し、それぞれの分野で高い評価を得ているのも、貴大学の教育理念の正しさと確かな成果を端的に物語るものでしょう。
 中国の大思想家の王陽明は、「行動が伴わなければ、真に知っているとは言えない」「行動こそ知の完成である」と教えております。
 創価教育の父である牧口常三郎先生も、「知行合一した人格が教育者の理想的資格」と力説しておりました。
 貴大学の校章には、若々しく躍動する駿馬の姿が描かれております。ここからも「一馬当先」(率先垂範)して、社会の発展を牽引しゆく知性と行動の人材を育てる、との建学の理念が伝わってくるのであります。
 教職員も学生も一体となって、「人間革命」即「時代変革」へ邁進しゆく大学こそ、民衆の希望ではないでしょうか。
 先般、私は、アルゼンチンの平和の闘士エスキベル博士と共に、人道にかなった社会の建設のために行動する世界の青年の連帯を呼び掛けました。
 私どももまた、率先垂範の行動によって、尊敬する貴大学の先生方と共に、世界で活躍しゆく「サンシャイン・ユース」の育成に、さらに力を入れて取り組んでまいる決意でおります。
 一、貴大学のキャンパスがそびえるのは、私も名誉ある市民の一人に加えていただいている新竹市です。「新竹」――新しい若竹は、伸びゆく生命力の象徴です。とともに、竹は一本一本がしなやかに屹立しつつ、しかも地中の茎でつながり、支え合っているゆえに、激しい風が吹いても耐えることができます。
 人間の社会もまた、同じでありましょう。世界を結ぶ教育交流の意義もここにあります。
 人間教育の母なる大地に立って、深き友情と信頼で結ばれた若き世界市民たちが、共に手と手を携えていけば、いかなる時代の嵐にも揺らぐことのない、人類の幸福と地球社会の平和に貢献しゆく確かなる大連帯を、必ずや盤石に築いていくことができます。
 きょうは、うれしいことに、台湾からお迎えしている最優秀の留学生の友が、わが創大生、わが短大生の代表と共に出席してくれております(大拍手)。
 「サンシャイン・ユース」の壮大な連帯のロマンを、劉学長とご一緒に21世紀の若き世界市民に託して、私の御礼のあいさつとさせていただきます。
 貴大学の永遠無窮の発展と栄光を、心よりお祈り申し上げます。
 謝謝!(中国語で「ありがとうございました!」)(大拍手)