座談会 師弟誓願の大行進〉52 記録的な高温――命の危険がある暑さ 認識を改めて熱中症に万全の対策 2018年8月6日

座談会 師弟誓願の大行進〉52 記録的な高温――命の危険がある暑さ 認識を改めて熱中症に万全の対策 2018年8月6日

室内、夜間でも発症 高齢者、子どもは厳重注意
〈出席者〉
原田会長
長谷川理事長
永石婦人部長
酒井ドクター部長
平栗白樺会委員長
消防庁熱中症による救急搬送者の状況」(2017年)より作成

 原田 「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識」(日本経済新聞)と、気象庁が発表するほど、猛烈に暑い日が続いています。

 長谷川 今回の猛暑や豪雨は「異常気象」と言えるもので、東日本の7月の平均気温は、史上最高であったとも発表されました。

 原田 これまでとは認識を改めた「熱中症」への対策が必要です。そこで今回は、ドクター部、白樺会(看護者の集い)の代表を交え、熱中症を中心とした「夏の健康管理」について、語り合っていきたいと思います。

 酒井 はい。熱中症は従来、高温環境での労働や運動活動で多く発生していました。しかし最近では、日常生活の中でも増えており、「室内」や「夜間」でも発症しています。

 平栗 特に、体温調節機能が低下している高齢者や、まだ十分に発達していない子どもは、成人よりも熱中症のリスクが高く、注意が必要です。

 酒井 本年は、熱中症の患者が過去最多になると予想されています。実は例年、その半数近くが「高齢者」です。高齢者は、全身に占める水分の割合が低く、脱水状態になりやすいのが理由の一つです。そこでまずは、環境省が提唱する、主に高齢者を対象とした四つの質問を確認します。

 平栗 第一に「小まめに水分を取っていますか?」。“喉の渇きを感じない”“夜中にトイレに行くのが面倒”などの理由で、水分を補給しないことは危険です。人は加齢により、喉の渇きの感覚が鈍くなります。たとえ、渇きを感じなくても、小まめに水分を補給しましょう。

 酒井 第二に「エアコンを、上手に使っていますか?」。“エアコンは体が冷えるから嫌”“使い方が分からない”などの理由で使わない方がいます。しかし、エアコンや扇風機は、温湿度設定に気を付け、体に直接当たらないように風向きを調整することで、快適に使えます。これらが使用できない場合は、シャワーや冷えたタオルで、体を冷やすことも効果的です。

 永石 一方、エアコンで体が冷えすぎないよう、寝る前と起きてから「冷まし湯」を口にする方もいますね。また寝る直前ではない時間に、ぬるめのお風呂に漬かることも効果的です。

 平栗 お風呂は睡眠の質も高めます。その上で、質問の第三は「暑さに強いから大丈夫?」です。“暑さをあまり感じない”“汗をあまりかかない”と言う方がいますが、高齢になると暑さへの感覚が鈍くなり、体から熱を逃がす、発汗などの機能も低下します。暑い日は無理をせず、室内でも温湿度計を置き、部屋の温湿度が上がりすぎていないかを確認しましょう。

 酒井 最後に「部屋の中なら大丈夫?」です。“部屋の中なので対策はしていない”“夜は特に注意をしていない”と言う方がいますが、熱中症は、室内や夜間でも多く発生しています。すだれやカーテンで直射日光を遮る、必要に応じてエアコンを使用するなど、部屋に熱がこもらないよう心掛けましょう。

 平栗 子どもの熱中症について、特に注意すべき点として、晴れた日は、地面に近いほど気温が高いということです。たとえば、東京都心で気温が32度だった時、幼児の身長である50センチの高さでは、35度を超えています。ベビーカーも同様です。大人が暑いと感じている時、子どもはさらに高温の環境にいるのです。

 酒井 また、当たり前の話ですが、子どもが寝ているからといって、車の中に残し、その場を離れることなど、あってはなりません。エアコン停止から、たった15分で、車内が熱中症の危険レベルに達したとの実験結果もあるほどです。

声を掛け合うこと

 原田 環境省では現在、熱中症予防の五つの声掛けを訴えていますね。第一に、実際の気温を知り、適切な対策をすることです。

 長谷川 第二に、喉が渇く前に飲む、小まめに飲むことを習慣づけるため、飲み物を持ち歩くこと。第三に、暑さや疲れを感じたら、無理をせず、早めに涼しい場所に移動し、休息を取ることです。これには、疲れをためないための十分な睡眠も含まれます。

 原田 第四に、朝ご飯をしっかり食べる、バランスよく食べるなど、きちんと栄養を取ることです。夏バテで食欲がなくなった時は、夏野菜などの食材を使って、暑さで消耗したエネルギーを補給しましょう。

 永石 最後に、家族や近所同士で「水分取ってる?」「少し休んだ方がいいよ」などと、声を掛け合うことです。これは、まさに学会の同志の皆さまが日々、実践していることです。

 長谷川 また、汗をかいた時は、水分補給に加え、適度な塩分補給も大切になりますね。

 平栗 もしも、熱中症が疑われる時は、早期の対応が重要です。たとえば、「手足がしびれる」「めまいや立ちくらみがある」時は、涼しい所で休み、水分や塩分を補給しましょう。

 酒井 それでも、頭痛や吐き気、体のだるさが治まらなければ、衣服を緩め、太い血管のある脇の下や首筋、足の付け根を、ぬれタオルや保冷剤で冷やすようにしてください。その上で、意識がもうろうとしている場合は、すぐに救急車を呼んでください。

会合開催は賢明に

 原田 この暑さは、「9月上旬まで続く可能性がある」とも言われています。無事故第一の観点から、会合については日中を避け、午前中や夕方以降に開催するなどの工夫が必要です。場合によっては、開催を見合わせるなどの賢明な判断をお願いします。訪問・激励の際も、日中は電話にするなど工夫してください。

 永石 未来部の会合についても、「長時間にならない」「無理をさせない」などの心配りが必要ですね。

 原田 ともあれ、日々、全同志の健康を祈り、支えてくださっているドクター部・白樺の皆さまに、深く感謝申し上げます。御書には、「一日の命は宇宙の財にもまさる」(986ページ、通解)と仰せです。健康こそ宝です。池田先生は、「健康管理をし、事前に病を防ぐという姿にこそ、信心の智慧がある」と指導されています。皆で声を掛け合いながら、予防を心掛け、暑い夏を、元気に過ごしていきましょう。