小説「新・人間革命」連載完結に寄せて 2018年9月8日

小説「新・人間革命」連載完結に寄せて 2018年9月8日

原田会長の談話
命を削る「ペンの大闘争」に感謝

 小説『新・人間革命』が本日、ついに連載完結を迎えました。
 1993年8月6日に、池田先生が長野の地で執筆を開始されてから25年。64年12月2日に沖縄で筆を起こされた小説『人間革命』から数えれば、半世紀以上という長きにわたる執筆となります。
 池田先生が命を削る思いで続けてこられた「ペンの大闘争」に、池田門下を代表して、満腔の感謝を捧げるものです。
 池田先生の戦いを貫くものは、ひとえに、恩師・戸田城聖先生への誓願に、ほかなりません。
 戸田先生ご執筆の小説『人間革命』は、戸田先生の分身ともいうべき「巌さん」が、獄中で、生涯を広宣流布に生き抜く決意をしたところで終わります。
 獄門を出た戸田先生が、若き日の池田先生と出会ったのは47年8月14日。それからちょうど10年後の57年8月14日、池田先生は恩師と訪れた長野の地で、発刊まもない戸田先生の小説『人間革命』の単行本を読み終えた感動のままに、執筆の誓いを固められました。“先生の真実を記すことができるのは、私しかいない。また、それが先生の私への期待であり、弟子としての私の使命であろう”と。
 この峻厳な歴史に思いをはせる時、小説『新・人間革命』の完結とは、私たち門下にとって、その続編を自身の姿と行動でつづり始める“誓願の出発点”であると言っても、過言ではありません。
 『人間革命』『新・人間革命』は、広宣流布の歴史を通して「学会精神」を刻み残した「信心の教科書」です。一人一人が、山本伸一の分身たる思いで進むことが、“人間革命”の「精読」であり、「実践」となります。
 また、『人間革命』『新・人間革命』は、「未来を照らす明鏡」であります。先生はご自身の足跡を通し、未来永劫にわたって弟子が広布と人生に勝ち続けるための方途を、示してくださいました。
 さらに『人間革命』『新・人間革命』は、「師匠との対話の扉」でもあります。
 インドのある青年リーダーは、若い友から「池田先生にご指導を受けたいのですが」と尋ねられるたび、こう答えているそうです。「簡単さ。『NHR』を開こう!」と。
 「NHR」は「New Human Revolution」の略。つまり、『新・人間革命』を開くことは、先生と心で対話できる“扉”を開くことに通じる――というのです。
 『人間革命』『新・人間革命』を学び続ける限り、学会が永遠に勝ち栄えていけることは間違いありません。
 新たな人間革命の歴史を開く戦いを開始して、師恩に報いる弟子の道を貫こうではありませんか。

 

 

  9.8

   池田先生が中国への第一歩をしるしたのは、1974年5月。香港・羅湖駅から徒歩で国境をわたり、深圳の土を踏んだ▼そこで先生の一行を迎えたのは、中日友好協会などの3人の随行員。広州行きの列車を待っていた時、随行員の一人が日本語でおもむろに暗唱を始めた。「一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類の宿命の転換をも可能にする」。それは小説『人間革命』のテーマだった▼随行員は同書を読み込んでいた。「作者の私でも覚えていないんですよ」とユーモアで返す池田先生。両者の間には一気に友好のムードが広がり、広州へ向かう車中も語らいが弾んだ▼50年前の9月8日、先生は「日中国交正常化提言」を発表。当時の日本政府は依然、中国敵視政策をとっており、激しい非難や中傷にさらされた。だが、その9カ月後、先生は連載中の『人間革命』「戦争と講和」の章で「重ねて訴えておきたい」と改めて日中友好の重要性に言及。嵐にも揺るがない信念の言が日中に友好の「金の橋」を架けた▼『人間革命』『新・人間革命』は広布の歴史をつづり残しただけでなく、同時代に平和・文化・教育の光を送り続けた。その精神の光彩は、時とともに輝きを増すに違いない。(芯)