〈世界広布の大道――小説『新・人間革命』に学ぶ〉 第7巻 基礎資料編 2019年4月2日

〈世界広布の大道――小説『新・人間革命』に学ぶ〉 第7巻 基礎資料編 2019年4月2日

物語の時期 1962年(昭和37年)8月1日~1963年4月
「早春」の章
         

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第7巻の「基礎資料編」。各章のあらすじ等を紹介する。次回の「名場面編」は10日付、「御書編」は17日付、「解説編」は24日付の予定。

「文化の華」の章

 偉大な宗教は、偉大な文化を生む。
 山本伸一は、広宣流布とは、仏法の慈光をもって民衆の大地を照らし、新しい「文化の華」を咲かせゆく運動であると考えていた。
 1962年(昭和37年)は、民衆文化の興隆に力が注がれた年であった。1月には東洋学術研究所(後の東洋哲学研究所)が創設されたのをはじめ、8月には教育部の全国大会が開催された。さらに、「富士吹奏楽団」なども相次ぎ結成される。
 各方面では、体育大会“若人の祭典”が開かれ、9月の本部幹部会では、文化局に新たに学術部と芸術部が誕生した。また、各地で音楽祭が盛大に催され、首都圏のメンバーを中心に第1回文化祭も行われた。伸一は、この見事な文化祭こそ、民衆勝利の姿であると賛嘆する。
 10月、ソ連キューバへの核ミサイル運搬を巡って、米ソ両国が一触即発の事態となる。“キューバ危機”である。
 11月、学会は、伸一が戸田城聖に誓った会員300万世帯を達成。伸一は、“次は、いよいよ600万世帯だ”と、広布大願への決意を新たにする。

「萌芽」の章

 63年(同38年)1月8日、伸一は未来のために、世界広布の布石を打とうと、世界一周の平和旅へ。
 最初の訪問地であるアメリカのハワイでは、ハワイ支部の結成式を兼ねたハワイ大会が開催された。伸一は、「ハワイに弘教の大法旗よ翻れ」と訴え、また、皆からの質問を受ける。
 一行は、ハワイのカウアイ島を訪れ、10日には、ロサンゼルスに到着。12日、アメリカの西部総会が行われ、席上、ロサンゼルス会館のオープンが発表される。
 伸一は、メンバーの、功徳と歓喜にあふれた姿を見て、厳しい冬の試練に耐え、いよいよ「萌芽」の春を迎えたと語る。
 13日の夜、彼はニューヨーク支部の結成大会となる東部総会に出席。国際政治のうえでも重要な立場にあるアメリカに、仏法が流布するということは、世界平和の大潮流をつくることになると、メンバーの活躍に期待を寄せた。
 伸一は、妙法の太陽に照らされて、アメリカの各地に、地涌の若芽が育っていることを確信し、ヨーロッパへ向かう。

「早春」の章

 1月15日、パリに到着した伸一は、翌日、ヨーロッパ総支部・パリ支部結成大会に臨む。ここには、結成されたばかりのドイツ支部などからも代表が参加。伸一は、ヨーロッパにも、太陽が輝く「早春」が訪れたと述べ、メンバーに、「皆さん自身が、家庭に、地域に、職場に、社会に、幸福と平和の春をもたらす太陽」であると訴える。
 激励行は、スイス、イタリアへと続き、22日には、キリスト教イスラム教が二大宗教として並び立つ中東・レバノンを視察する。
 さらに、タイなどを経由し、香港へ。伸一は、同行していたタイのバンコク支部の婦人部長から、警察に呼ばれ、活動の自粛を求められたとの話を聞く。彼は、諸外国にあって、学会への誤解をとき、理解を促していくために、自分が各国のリーダーと対話していこうと決意する。
 香港では、3地区が結成され、27日、一行は帰国の途に就こうとするが、飛行機のエンジントラブルのため、便を変更し、台湾の台北を経由することになる。そして、空港で、伸一の訪問を待ち望んでいた同志と対面し、激励する。

「操舵」の章

 1月24日夜、総本山に登山し、新潟駅に向かう学会員の乗った団体列車が、豪雪のため、新潟県の宮内駅で立ち往生する。車内で待機する会員に対し、地元同志は、吹雪の中、オニギリや味噌汁などを届け、懸命に支援を続ける。輸送班の青年たちは、皆を元気づけようと学会歌の指揮を執り、大合唱が広がる。その後、長岡駅でも止まり、28日午前0時過ぎ、運転が再開される。混乱は一切なく、信仰の力の証明となった。
 2月11日、伸一は、婦人部への指針「婦人部に与う」を書き上げる。彼はその中で、「創価学会婦人部こそ、妙法をだきしめた、真の女性解放の先駆者である」と綴る。
 4月9日、台湾の台北支部が政府の命令により解散となる。メンバーは“冬は必ず春になる”との思いで、弾圧に耐え抜き、27年後、晴れて団体登録される。そして、台湾社会に深く根差し、“優良社会団体”として表彰されるまでになる。
 伸一は、台湾の組織が解散させられたことで、いよいよ、世界広布は激浪の時代に突入したことを自覚する。広布の未来は、すべて、彼の「操舵」にかかっていたのだ。

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

【挿絵】内田健一郎 【題字のイラスト】間瀬健治