〈世界広布の大道――小説『新・人間革命』に学ぶ〉 第8巻 基礎資料編 2019年5月8日

〈世界広布の大道――小説『新・人間革命』に学ぶ〉 第8巻 基礎資料編 2019年5月8日

物語の時期 1963年(昭和38年)5月3日~1964年初頭
「激流」の章
         

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第8巻の「基礎資料編」。各章のあらすじ等を紹介する。次回の「名場面編」は15日付、「御書編」は22日付、「解説編」は29日付の予定。

「布陣」の章

 山本伸一の会長就任から3年、広宣流布は飛躍的な伸展を見せていた。1963年(昭和38年)5月3日の第25回本部総会を前に、伸一は、翌春の戸田城聖の七回忌に向かい、「今なすべきことは何か」を考える。そして、殉難も恐れず、民衆の幸福と人類の平和に生涯を捧げた、牧口常三郎戸田城聖の精神を伝え抜いていくことを決意する。
 本部総会では、組織が拡充され、新たな人事も発表されるなど、大前進の「布陣」が整えられていく。
 6月、人類初の女性宇宙飛行士テレシコワを乗せた人工衛星打ち上げのニュースが世界を駆け巡る。伸一は、女性が社会の第一線で活躍する時代の幕開けを感じる。また、女子部の要請を受け、「女子部に与う」を執筆する。
 20日、伸一は、鹿児島、宮崎の指導へ。徳之島から船で、奄美大島を初訪問。奄美大島会館の落成式に続いて、名瀬港に面した塩浜海岸の埋め立て地で、奄美支部の結成大会が行われる。伸一は、離島広布に戦ってきた同志を全力で激励。「私と同じ心で、同じ決意で」と、奄美の広布を託し、力走を続ける。

「宝剣」の章

 7月1日、男子部幹部会に出席した伸一は、戸田城聖の七回忌を期して、「本門の時代」すなわち広宣流布の本格的な展開の時代に入ることを宣言する。次いで5日、女子部幹部会では、女子部も、男子部も、それぞれ部員100万の達成を提案。また、「真心を込めて、一人ひとりのメンバーの個人指導を実践していっていただきたい」と呼び掛けた。
 翌6日、伸一は、伊豆の天城で行われた男子の水滸会、続いて女子の華陽会の研修に駆けつけ、青年の育成に全精魂を傾ける。
 彼は、男子部の結成12周年を記念して、青年部の新しい指針「青年よ世界の指導者たれ」を執筆する。それは、青年たちの眼を大きく世界へと開き、指導者への自覚を促す、精神の暁鐘となった。
 関西では、京都大学に学ぶ学生部員への「百六箇抄」講義を始める。講義を通し、伸一は受講生一人一人を広布の「宝剣」へと磨き、育てていく。
 25日、聖教紙上に、日達法主の訓諭が掲載。広布の息吹もなく、学会を批判する宗門の僧、法華講を戒めるものであった。伸一は、衣の権威に潜む魔性との闘争に挑んでいく。

「清流」の章

 7月28日、伸一は言論部の第1回全国大会に出席。席上、言論部の使命とは、悪質な意図をもって、民衆を扇動するような、邪悪な言論の噓を暴き、「人間の“幸福”と真実の“平和”のための新しい世論をつくりあげていくこと」であると訴えた。
 30日、彼は長野市で、中部第二本部の幹部会に出席する。また、31日の夜、東京では8月度の男子部幹部会が開かれ、「世界広布の歌」を発表。この歌は、伸一から贈られた青年部への指針「青年よ世界の指導者たれ」に応える、誓いの歌であった。
 9月には念願の新学会本部が落成。この新本部を中心に、学会は勇躍「本門の時代」へと突き進んでいく。さらに、伸一は、文化運動への基盤を着々と整え、「民主音楽協会民音)」を創立。民音の設立によって、新たな文化の創造がなされることに期待を寄せた。
 この頃、ある地方で、幹部の金銭詐取事件が発覚する。幹部の不祥事を通し、広布の組織を攪乱する魔の本質が明らかにされる。伸一は、試練を乗り越えた同志へ、生涯、信心の「清流」を貫いていこうと励ましを送った。

「激流」の章

 11月23日、アメリカのケネディ大統領暗殺の衝撃的なニュースが世界を走る。伸一は、ケネディが大統領として戦った“一千日”に思いを馳せ、地上から人間への差別をなくし、世界に永遠の平和を築き上げることを心に誓う。
 11月の本部幹部会では、明64年(昭和39年)を「団結の年」とすることが発表された。年末、学会の総世帯は400万世帯になんなんとしていた。驚嘆すべき大前進であった。
 64年1月、学会代表の韓国訪問が中止になる。韓国では、かつて日本が行った侵略と支配の歴史から、学会に対して根強い誤解があった。韓国の同志は、度重なる弾圧にも、「激流」にそそり立つ巌のように、いささかも揺るがなかった。粘り強く、信頼を勝ち取り、やがて、大統領から表彰されるまでになり、社会で実証を示していく。
 一方、伸一は韓国の同志に、日々、題目を送り続けるとともに、日韓の文化・教育の交流を推進していった。そして90年(平成2年)、ついに念願の韓国初訪問を実現。98年(同10年)には、SGI韓国仏教会本部を訪れ、メンバーとの出会いを果たす。

山本伸一の激励行 1963.5.3-同年末 ※第8巻に記された行事から

 川には源がある。御聖訓には「源遠ければ流長し」(御書1180ページ)と。創価学会にも精神の光源がある。それは、初代会長・牧口常三郎と第二代会長・戸田城聖が織り成した、燦然と不滅の光を放つ、師弟の不二の道である。その精神が脈打っている限り、広宣流布の流れは、永遠に世界を潤し続けるであろう。(「布陣」の章、7ページ)
 ◇ 
 戸田の七回忌を翌年に控えた1963年、山本伸一は、未来の大発展のために全国を東奔西走し、先師・牧口と恩師・戸田の精神を、同志の心に打ち込んでいった。

1963年10月18日 民音が創立

 1963年10月18日、民音民主音楽協会)の創立記念演奏会が開催された。民音は、61年、池田先生が東南アジア各国を初訪問した折、民衆と民衆の相互理解を図り、音楽・芸術の交流を進めることなどを目的として構想したもの。
 これまで、110カ国・地域から音楽家や芸術団体を日本に招へい。日本文化等を伝える派遣公演を、21カ国・地域で800回以上開催している。

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

 【挿絵】内田健一郎 【題字のイラスト】間瀬健治