〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉58 良質な睡眠、賢明な食生活 健康第一で英気を養う夏に 2019年8月1日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉58 良質な睡眠、賢明な食生活 健康第一で英気を養う夏に 2019年8月1日

「がん検診」は積極的に受診
〈出席者〉
原田会長
永石婦人部長
酒井ドクター部長
松岡白樺会書記長
働き盛りの年代、特に女性のがんの割合が高い。早期発見のため、積極的に「がん検診」の受診を(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」、2013年。グラフは厚生労働省「がん対策推進企業アクション」のHPより)

 原田 梅雨が明け、いよいよ本格的な暑さの到来です。テレビ等でも連日、熱中症対策が呼び掛けられています。この夏も、健康第一の日々を送っていけるよう、ドクター部、白樺会の代表を交え、語り合っていきたいと思います。

 酒井 はい。熱中症予防の第1は「暑さを避ける」ことです。特に、気温が急上昇した日は注意が必要です。日中の外出をできるだけ控え、室内でもエアコンや扇風機を使い、湿度や温度の調整をしましょう。

 松岡 第2は「小まめな水分補給」です。外出時だけでなく、室内でも、気付かないうちに脱水や熱中症になります。目まいや足がつるなどのサインを見逃さず、のどの渇きを感じなくても、小まめに水分・塩分を補給しましょう。

 原田 どのくらい水分を取ったか、自分では分かりづらいものです。そこで、あらかじめ1日に飲む量を決め、飲み切ることが提唱されていますね。

 松岡 目安は、1日1・2リットルといわれます。熱中症は適切な行動で防げます。特に高齢者の方に声を掛けながら、“自分は大丈夫”と過信せず、暑い夏を皆で乗り切っていきましょう。

冷房を上手に活用

 原田 ところで、疲労を回復し、夏バテを防ぐためには、何が大事ですか。

 松岡 まず、気を付けることは「冷房による体の冷やし過ぎ」です。室内と室外とで急激な温度変化を繰り返すと自律神経が乱れ、体調を崩しやすくなります。

 永石 冷房の温度は28度程度が理想と聞きます。もしも、温度調整ができないような場合は、エアコンの風を直接受けないようにしたり、羽織るものを持ち歩いたり、ストレッチをして血の巡りをよくするなど工夫するといいそうですね。

 酒井 「栄養」「睡眠」も重要です。夏は、さっぱりしたものが好まれますが、暑さで疲れやすく、汗でミネラルを失いがちな体には、特に、タンパク質とビタミンB1が必要です。

 松岡 タンパク質が豊富な食材は、肉や魚、卵、大豆製品。ビタミンB1が多く含まれるのは、豚肉、ウナギ、レバー、豆類です。

 酒井 しょうがや大葉などの香味野菜、カレーなどの香辛料を利かせた料理は食欲を増進させてくれ、夏バテ予防に効果的です。

 永石 きゅうりやトマトなどの夏野菜には水分が多く、ほてった体を冷やす働きがありますね。賢明な食生活で、夏を元気に過ごしていきたいと思います。

 原田 では、「良い睡眠」を取るためには、どのような工夫が必要ですか。

 酒井 たとえば、午前0時前の就寝です。特に寝入って最初の3時間は、体を修復してくれる成長ホルモンの分泌が高まるため重要です。良質な睡眠を確保できるよう、タイマーなどを利用し、上手にエアコンなどを活用しましょう。

 原田 寝る1~2時間前の入浴は、良質な睡眠に効果的と聞きます。

 松岡 ぬるめの湯船にゆっくり漬かると副交感神経が優位になり、リラックスして熟睡しやすくなります。さらに、寝る前のストレッチも快眠に有効です。

 永石 寝る直前まで、スマホやテレビを見ているのはよくないといいますね。

 酒井 睡眠へ導くホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられますので、控えた方がよいと思います。

 松岡 また、日常的に睡眠が不足していると、1日よく寝ただけでは体調は戻りません。

 酒井 休日の寝だめは、かえって、体内リズムを乱し、不調を来しやすくなります。一方、15分程度の昼寝には効果があります。

 原田 ともあれ、健康のため、自分にあったもの、できそうなものから、まず一つ実践してみることが大切ですね。また、分かっていても、ついやってしまう健康に悪い習慣を、まず一つやめてみる。その一歩が大事ですね。

早期発見で治る病

 永石 最近、働き盛りの若い方、特に女性のがんが目立ちます。中でも、乳がんの話を聞きます。

 酒井 乳がんは早期発見できれば、多くの方が治るといわれます。自分で見つけられる数少ない病気で、60%以上の方がセルフチェック(自己検診)で見つけています。入浴や就寝時に自己検診を行い、少しでも気になることがあれば、病院で相談しましょう。

 松岡 ただ、日本の乳がん検診受診率は40~69歳で34・2%と低いままです。“誕生月に検診を受ける”など、忘れない工夫をしてみるのはどうでしょうか。

 永石 小さいお子さんのいるお母さんが、子どもを預けることができないなどの理由で、自分のことが後回しになり、受診の機会を逃してしまっている場合もあります。行政によっては、一時保育などのサービスが利用できますので、自分自身と家族のため、必ず検診を受けましょう。

 酒井 乳がんだけでなく、子宮頸がん、大腸がん、肺がん、胃がんなどでも、がん検診は有効です。必ず受診してください。

 原田 池田先生は、「健康を維持するためには、平凡なようであっても、細かい点に注意することである。生活の基本を大事にすることである」と言われています。御書に「一日の命は三千界の財にもすぎて候」(986ページ)と仰せです。かけがえのない一日一日を元気に過ごすため、英気を養う夏にしていきたい。