創価栄光の集いへの池田先生のメッセージ 2019年10月5日

創価栄光の集いへの池田先生のメッセージ 2019年10月5日

新たな価値創造の挑戦へ

 一、若き創価世界市民の英知と連帯が輝く創大祭、白鳥祭、誠におめでとう! 誉れの留学生たちの躍動するスクラムも、何よりうれしい。陰で人知れず、無事故・大成功の運営に尽くしてくれている尊き役員の皆さん方も、本当にありがとう!
 一、私が青春時代から心の親友と敬愛してきた民衆詩人ホイットマンは語りました。「この地球上の全ての国々、そこに住む人々は、身も心も多様に見えるけれども、同じ家族の一員だ」と。
 世界各国の英邁な知性の先生方、また、日本の各界を代表される柱の先生方が見守ってくださっている本日の集いは、まさしく多彩な「地球家族」「地球民族」の友情の虹かかる広場といえましょう。
 講堂前に蝶と戯れるホイットマンも微笑み、わが創大生、わが短大生、そして、わが留学生を祝福してくれているに違いないと思うけれども、みんな、どうだろうか!(大拍手)
 今回、皆さんは、創大祭のテーマに「今! 人間主義の大連帯を」、白鳥祭のテーマに「勇気の光彩 幸の未来へ」と掲げました。建学の精神を真摯に体現し、母校愛を漲らせながらの青春の前進に、私は心から敬意を表します。
 このテーマを踏まえつつ、私は、「人類の新たな価値創造の大道を朗らかに!」と申し上げたい。
 ホイットマン生誕200周年の佳節である本年、研究の第一人者であられるケネス・プライス博士をお迎えできたことは、この上ない光栄であります。誠に誠に、ありがとうございます(大拍手)。プライス博士の忘れ得ぬ洞察の一つに、ホイットマンは「恵まれない境遇に育ちながら、一個の人間が世界のために、いかに大きな力を発揮できるか」を証明したとありました。
 これこそ、私がお仕えした恩師・戸田城聖先生の「人間革命」の哲学とも響き合うホイットマンからの希望のメッセージなのであります。
 ホイットマンは高らかに詠いました。
 「見えるあたり、光の世界は、わたしの目にもたしかに壮大――空も星も壮大だし、/大地も壮大、永続する時間と空間も壮大」「しかしもっと遥かに壮大なものは目に映らぬわたしの魂で、これらのものをことごとく わが内に収め、新たな価値を賦与してくれる」(酒本雅之訳『草の葉』岩波書店)と。
 何ものにもまして壮大な広がりを持った、この人間生命の限りなき可能性、なかんずく「価値創造」の力に、人類は今再び、目を向けるべき時が来ているのではないでしょうか。
 それは、ITをはじめ目覚ましく進歩する科学技術も、急速なグローバル化に伴う世界情勢の変化も、的確に鋭く認識しながら、一つ一つを、民衆の幸福のため、そして地球全体の平和と共生のために生かし、リードしていく智慧であり、勇気であり、慈悲であります。
 世界市民の要件ともいうべき、この智慧と勇気と慈悲を、一人一人の内奥から引き出し、錬磨し、結集していく推進力こそ、人間教育の真髄でありましょう。

精神を耕す対話

 一、光栄にも、今日(4日)は、「創価教育」を深く探究してくださっているアメリカのデポール大学、スペインのアルカラ大学、カナダのオタワ大学の先生方をお迎えしております。
 創価教育の父であり、平和の信念に殉じた牧口常三郎先生も、どれほどお喜びであるか。私たちは感謝と連帯の大拍手をお送りしたいのであります(大拍手)。
 もちろん、人生にも社会にも、課題・難題は山積しております。
 しかし、創立500年を超す伝統を誇るアルカラ大学ゆかりの大文豪セルバンテスが語った信条を、私たちも強く分かち合いたいと思うのであります。
 すなわち「うろたえていて幸せをつかめるものか。運命はおのが手で切り開くべきものであろう」(荻内勝之訳『ペルシーレス』筑摩書房)と。
 前人未踏の大道を進みゆく私たちの開拓の旅には、かけがえのない道づれがあります。それは「対話」であります。
 セルバンテスの名作『ドン・キホーテ』は、主人公と、その友サンチョ・パンサの冒険の旅であるとともに、二人の生き生きとした対話の旅でもありました。あたかも大地を耕すように、対話は精神を耕して賢明にし、豊かな収穫をもたらすことを示しているのであります。
 「平和のフォートレス」の創立者として、私は世界に対話の道を開いてきました。あらゆる差異を超えて、人間への「信頼」と「学び」という対話の大道を、さらに大きく、さらに広々と、さらに縦横に開いてくれることを、私は、愛する創価同窓の友に託します。

全ての経験に“学び”がある

 一、本日は、アフリカの名門ケニアのナイロビ大学からも、先生方がお越しくださっております。
 母校のナイロビ大学で教壇に立たれ、わが創大の名誉博士でもあられる、偉大な「環境の母」ワンガリ・マータイ博士は自身の信念を語られました。
 すなわち、「すべての経験に学びがあり、どんな状況にも希望の光はある」「何かを成し遂げたことのある人は誰でも、何度も打ちのめされた経験をもっている。だが皆、起き上がって進み続けるのであり、それこそ私がいつも心がけていたことだった」(小池百合子訳『UNBOWED へこたれない ワンガリ・マータイ自伝』小学館)と。この言葉を、皆さんに贈りたい。
 そして今日からまた、たくましく朗らかに、最良の世界市民と学び合い、切磋琢磨しながら、日々、新たな価値創造に挑戦していただきたいのであります。
 かけがえのない青春の一日また一日、皆さんが勇気ある探究と友情の光彩で、人間主義の大連帯を築き広げ、人類の幸の未来を創り開くことを、私は最大の楽しみとして祈り、応援してまいります。
 みんな、健康で、無事故で、充実の秋を勝ち飾ってください。親孝行もよろしくお願いします(大拍手)。