第45回SGI提言① 世界各地で相次ぐ異常気象の被害 2020年1月26日

第45回SGI提言① 世界各地で相次ぐ異常気象の被害 2020年1月26日

気候変動の問題に立ち向かう
グローバルな連帯の拡大を

 創価学会の創立90周年とSGI創価学会インタナショナル)の発足45周年を記念し、誰もが尊厳をもって安心して生きられる「持続可能な地球社会」を築くための提言を行いたいと思います。
 
 最初に述べておきたいのは、年頭以来、緊張が続くアメリカとイランの対立を巡る情勢についてです。
 両国の間で現在続けられている自制を今後も最大限に維持しながら、国際法の遵守と外交努力を通じて事態の悪化を何としても防ぐことを強く求めたい。そして、国連や他の国々による仲介も得ながら、緊張緩和への道を開いていくことを切に望むものです。

青年を先頭に、世界192カ国・地域で時代変革の波を大きく広げるSGIの友(昨年8月、東京・新宿区の創価文化センターで)
青年を先頭に、世界192カ国・地域で時代変革の波を大きく広げるSGIの友(昨年8月、東京・新宿区の創価文化センターで)

 世界では今、異常気象による深刻な被害が相次いでいます。
 昨年もヨーロッパやインドが記録的な熱波に見舞われたほか、各地で猛烈な台風や集中豪雨による水害が発生し、オーストラリアで起きた大規模な森林火災の被害は今も続いています。
 
 このまま温暖化が進むとさらに被害が拡大するとの懸念が高まる中、昨年9月に国連で気候行動サミットが行われました。
 国連加盟国の3分の1にあたる65カ国が、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするとの方針を表明しましたが、そうした挑戦を全地球的な規模に広げることが急務となっています。

アメリカ・ニューヨークの国連本部に設置された、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標を示すパネル
アメリカ・ニューヨークの国連本部に設置された、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標を示すパネル

 気候変動は、単なる環境問題にとどまるものではありません。
 地球上に生きるすべての人々と将来の世代への脅威という意味で、核兵器の問題と同様に“人類の命運を握る根本課題”にほかならないものです。
 そして何より、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が強調するように、「私たちの時代を決定づける問題」(国連広報センターのウェブサイト)としての重みを持つものといえましょう。
 
 実際、気候変動の影響は貧困や飢餓の根絶をはじめとする国連のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを土台から崩しかねないものとなっています。
 そこで焦点となるのは、負の連鎖に歯止めをかけることだけではありません。
 気候変動の問題は、誰もが無縁ではないものであるがゆえに、問題の解決を図るための挑戦が、これまでにないグローバルな行動の連帯を生み出す触媒となる可能性があり、その成否に「私たちの時代を決定づける問題」の要諦があると訴えたいのです。

 気候行動サミットと相前後して、若い世代を中心に時代変革を求める動きが広がったのに加えて、各国の自治体をはじめ、大学や企業が意欲的な取り組みを加速させようとしています。
 
 国際社会を挙げて平均気温の上昇幅を1・5度以内に抑えることを目指す「パリ協定」(※注1)の本格運用も、今月から始まりました。
 その推進を軸に気候変動の問題に立ち向かう連帯を広げる中で、SDGsのすべての分野を前進させるプラスの連鎖を巻き起こすことに、創設75周年を迎える国連の重要な使命もあるのではないでしょうか。
 
 そこで今回は、グローバルな行動の連帯を強固に築くために必要となる視座について、三つの角度から論じたいと思います。

②に続く

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 注1 パリ協定
 2015年12月、フランス・パリ郊外での気候変動枠組条約の第21回締約国会議で合意された国際協定。18世紀の産業革命前と比べて平均気温の上昇を2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力をすることを目指す。196カ国・地域が参加し、各国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を定めて、国連に実施状況を報告する仕組みとなっている。