「パリ協定」実現のために

SEIKYO online (聖教新聞社):社説

〈社説〉 「パリ協定」実現のために 2017年6月2日

温暖化防止へ力合わせ身近な一歩

 東京の気温が鹿児島・屋久島並みになる――このほど気象庁は全世界で地球温暖化対策が全く進まない場合のシミュレーション結果を公表。それによると、日本の年平均気温が21世紀末には、20世紀末と比べて4・5度も上がり、東京(15・4度)は現在の屋久島(19・4度)と同程度になるという。
 先月下旬、アジア最大級の環境展が東京都内で開催され、公開ディスカッションが行われた。テーマは「パリ協定の実現をめざすエネルギー転換」。パリ協定とは、産業革命以前と比べた世界の平均気温の上昇を2度未満に抑える目標を掲げた国際枠組みのことで、昨年11月に発効し、日本も批准している。
 討論会では、2度未満に抑える道は残されており、2050年に世界の温室効果ガスを40~70%削減(10年比)し、2100年には排出をゼロかマイナスにとの主張が。そのカギはエネルギー転換にあり、太陽光や風力などの自然エネルギー原子力といった低炭素エネルギーからの供給を増やし、石油などの化石燃料に頼らないことの重要性を巡り、議論が交わされた。米国のパリ協定の去就にも注目が集まるが、いずれにせよ、地球温暖化対策は喫緊の課題である。
 学会の会館では、健康面に十分配慮した上で、省エネ・節電の取り組みを行っている。具体的には、空調を適正に使用するため、各会場に室温計を置き、夏季は会合会場の室温は26度(事務所やロビーなどは28度)を目安に運用。また、最大電力を抑制するための「半開事前運転」を実施している。さらに、会合終了時の空調の半分停止「終了時半開運転」などを推進してきた。
 会合参加者の健康と安全な運営が第一であることは言うまでもない。その上で、皆さんのご理解と、注意喚起の呼び掛けをぜひともお願いしたい。
 池田先生は、環境提言「地球革命への挑戦」において、①地球環境問題の現状を知り、学ぶこと②持続可能な未来を目指し、生き方を見直すこと③問題解決のために、ともに立ち上がり、具体的な行動に踏み出すためのエンパワーメント(力を与える作業)――の三つの段階を踏まえ、総合的に押し進めることが大切と指摘している。
 6月5日は「世界環境デー」。地球温暖化の危機が叫ばれて久しい。私たちは温暖化をはじめとする環境問題を改めて学び直し、ライフスタイルを振り返るとともに、身近な一歩へと行動を移し、積み重ねていきたい。