〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 名場面編 2019年1月16日

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 名場面編 2019年1月16日

 
「凱旋」の章

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第4巻の「名場面編」。心揺さぶる小説の名場面を紹介する。次回の「御書編」は23日付、「解説編」は30日付の予定。(「基礎資料編」は9日付に掲載)

「団結」が広布の原動力

 〈1958年11月、山本伸一は青森支部結成の打ち合わせの折、支部長に内定した金木正と、九人の地区部長の内定者を前へ呼んだ〉
 
 伸一は、その壮年たちに言った。
 「では、金木さんを真ん中にして、みんなで囲み、肩を組んでください」
 皆、不可解そうな顔をしながら、金木を囲んで、円陣を組んだ。会場にいた、ほかの参加者も、何が始まるのかと、目を光らせていた。壮年の一人が確認した。
 「これで、いいんでしょうか」
 「はい。結構です。皆さん、どうか、この姿を忘れないでください。これが、今後、青森支部がめざす団結の姿です。支部長を中心にして、九人の地区部長が、しっかりと肩を組み合う。そうすれば、この輪を、誰も乱すことはできません。しかし、円陣が崩れて、九人の地区部長がバラバラになれば、すぐに攪乱されてしまいます。団結が力なんです」
 (中略)
 「地区部長になられる皆さんは、どこまでも支部長を守ってください。また、支部長になられる金木さんは、地区部長のために、支部の全員のために、尽くしていってください。同志を守れば、自分が守られます。それが仏法の因果の理法です。(中略)
 これから先、何かあったら、この円陣を思い出して、青森は信心根本に、団結第一で、日本一仲の良い支部をつくっていってください」
 (「春嵐」の章、26~27ページ)

黄金の輝き満つ日々

 一九五〇年(昭和二十五年)の秋霜のころであった。
 行き詰まった戸田の事業の打開の糸口を求めて、ある人を訪ねたが、不調に終わった。活路が、断たれてしまったのである。
 (中略)
 帰途、戸田と二人で川の流れに沿って歩いた。空には星が冷たく瞬いていた。夜空は美しかった。しかし、寒さが身に染みた。それは、世間の冷たさでもあった。
 (中略)
 伸一は、歩くうちに、靴が脱げそうになった。見ると、靴の紐がほどけていた。その靴も、既にすり減って、穴が開いていた。伸一は、かがんで紐を結び直しながら、何気なく、当時、流行していた「星の流れに……こんな女に誰がした」(JASRAC 出 1900392―901)という歌をもじって、「こんな男に誰がした」と口ずさんだ。その時、戸田が振り返った。彼の眼鏡がキラリと光った。
 「俺だよ!」
 こう言って、戸田は屈託なく笑った。明日をも知れぬ苦境のさなかにありながら、悠然と笑い、“責任は俺だよ”と言う戸田の、大確信にあふれた率直な言葉に、伸一は熱いものを感じた。彼は思った。
 “師の確信は、いつでも真実を語る。されば弟子も真実で応えねばならない”
 それは苦闘の時代ではあったが、師弟の道を歩む一日一日は、黄金の輝きに満ちていた。(「凱旋」の章、87~88ページ)

開拓の労苦こそ財産

 〈61年5月、山本伸一は記録映画の製作を発表する。作業を担当するのは、新設された広報局の飯坂芳夫らであった〉
 
 ある夜更けに、伸一が作業室に顔を出した。二人の青年が、黙々と仕事をしていた。会長の伸一がやって来たことさえ気づかなかった。伸一が声をかけると、驚いて、二人が顔を上げた。連日、遅くまで仕事をしているのであろう。その顔には疲労の色が滲んでいた。席を立とうとする、二人を制して、伸一は言った。
 「いや、そのままでいいよ。毎日、頑張ってくれて、ありがとう。ところで、今、一番困っていることはなんだい?」
 飯坂が答えた。
 「実は、撮影のためのフィルムが底をついてしまったことです。既に、予算は使いきってしまっておりますので……」
 (中略)
 伸一は、当面、必要なフィルムの費用を、飯坂に聞くと、自分のポケットマネーをはたいて寄付した。
 「飯坂君、今は大変だと思うが、開拓には苦労はつきものだよ」
 (中略)
 「人手もない、金もない、機材もない、時間もないという、ないないづくしのなかで、見事な作品を作り上げることができれば、人生の最大の財産になる。また、それが開拓者だ」
 (中略)
 「映画作りは、目立たないし、陰の力であるけれど、その影響力はすごい。家でも、土台というのは見えない。車でも、エンジンは人の目には触れない。人間の体にしても、心臓を見ることはできない。ものごとを支えている、本当に大切な力は、いつも陰に隠れているものなんだよ」
 (「青葉」の章、192~196ページ)

弟子を思う師の熱い心

 〈61年7月4日、山本伸一戸田城聖の墓前で、57年7月3日、選挙違反という無実の罪で逮捕された折のことを思い起こす〉
 
 彼が、決して忘れることができないのは、弟子を思う、熱い、熱い、師の心であった。羽田の空港で、大阪府警に出頭するため、関西に向かう伸一に、戸田はこう語った。
 「……もしも、もしも、お前が死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな」
 伸一は、羽田の空港での戸田の胸中を思うと、感涙に目頭が潤んだ。しかも、戸田は、伸一の勾留中、大阪地検に抗議に来ていたのである。
 戸田は、七月十二日に東京の蔵前国技館で、伸一を不当逮捕した大阪府警並びに大阪地検を糾弾する東京大会を行ったあと、やむにやまれぬ思いで、大阪にやって来た。
 (中略)
 戸田は、可能ならば、伸一に代わって、自分が牢獄に入ることも辞さない覚悟だった。弟子のためには、命を投げ出すことさえ恐れぬ師であった。
 彼は検事正に、強い語調で迫った。
 「なぜ、無実の弟子を、いつまでも牢獄に閉じ込めておくのか! 私の逮捕が狙いなら、今すぐ、私を逮捕しなさい」
 そして、伸一の一刻も早い釈放を求めたのである。
 (中略)
 今、戸田の墓前に立つ伸一の胸には、「権力の魔性と戦え! 民衆を守れ!」との、師の言葉がこだましていた。
 (「立正安国」の章、237~238ページ)

平和の光を全世界に!

 〈61年10月8日、ドイツ・ベルリンを訪問した山本伸一は、東西冷戦による分断の象徴である、ブランデンブルク門の前に立つ〉
 
 いつの間にか、雨はすっかり上がり、空は美しい夕焼けに染まっていた。
 荘厳な夕映えであった。太陽は深紅に燃え、黄金の光が空を包んでいた。
 (中略)
 辺りの塔も、ビルも、そして、閉ざされた道も、ブランデンブルク門も、金色に彩られていた。伸一は思った。
 “太陽が昇れば、雲は晴れ、すべては黄金の光に包まれる。そして、人間の心に生命の太陽が輝くならば、必ずや、世界は平和の光に包まれ、人類の頭上には、絢爛たる友情の虹がかかる……”
 彼は、ブランデンブルク門を仰ぎながら、同行の友に力強い口調で言った。
 「三十年後には、きっと、このベルリンの壁は取り払われているだろう……」
 伸一は、単に、未来の予測を口にしたのではない。願望を語ったのでもない。それは、やがて、必ず、平和を希求する人間の良心と英知と勇気が勝利することを、彼が強く確信していたからである。また、世界の平和の実現に、生涯を捧げ、殉じようとする、彼の決意の表明にほかならなかった。
 一念は大宇宙をも包む。それが仏法の原理である。
 “戦おう。この壁をなくすために。平和のために。戦いとは触発だ。人間性を呼び覚ます対話だ。そこに、わが生涯をかけよう”
 伸一は、一人、ブランデンブルク門に向かい、題目を三唱した。
 「南無妙法蓮華経……」 
 深い祈りと誓いを込めた伸一の唱題の声が、ベルリンの夕焼けの空に響いた。(「大光」の章、363~364ページ)

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

 【挿絵】内田健一郎

〈池田先生と共に 新時代を築く〉 2019年1月15日

〈池田先生と共に 新時代を築く〉 2019年1月15日

対話の花を地域に世界に
 

 年頭から全国各地、元気いっぱい、勢いを増して前進している様子を、何よりうれしく聞いている。
 思えば、あのトインビー博士は、2年越しの語らいの最後に、40歳ほど若い私の手を強く握り締め、未来を開く「平和への対話」を託してくださった。
 博士の声が胸に響く。
 ――ミスター池田が主張し、実践してきた「中道」にこそ、これからの人類の進むべき道があります。人類全体を結束させるために、さらに世界中に対話を広げていってください――と。
 「中道」とは、変転してやまない現実世界の真っ只中で、大宇宙を貫く根本の法則に則って、「人間主義の正道」「生命尊厳の大道」を選び取り、果敢に価値創造していく智慧である。創価の我らのこの智慧こそが、いよいよ混迷の世を照らし晴らす時代に入っている。
 異体同心で支え合い、励まし合い、護り合いながら、地域と日本の繁栄のため、世界の平和のため、人類の未来のため、断固として一つ一つ勝ち切っていこう!
 * * * 
 1954年(昭和29年)3月30日、戸田先生より私は青年部の室長の任命を受けた。
 この日の日記に、私は記した。一段、一段、学会の中核となって、広布の推進をせねばならぬ。妙法の流布をいたす。これ使命なり――と。
 そして、揺れ動く時代を見つめつつ、御書の一節を書き留めた。
 「結句は勝負を決せざらん外は此の災難止み難かるべし」(998ページ)
 社会の安穏なくして、民衆の安堵はない。自他共の幸福と平和へ、青年が先頭に立って、勇敢に行動に打って出る。このたゆまぬ挑戦にこそ、若き命の「人間革命」があり、「宿命転換」の勝利がある。それが、そのまま「立正安国」の勝利へ連動していくのだ。
 今、わが後継の友が、日本中、世界中で、それぞれの地域の“青年室長”の決意で正義の連帯を築きゆく姿は何と誇らしいことか。
 * * * 
 青年部の室長として、私が心肝に染めた御聖訓を、不二の愛弟子に贈りたい。
 「但偏に思い切るべし」「今まで生きて有りつるは此の事にあはん為なりけり、此れこそ宇治川を渡せし所よ・是こそ勢多を渡せし所よ・名を揚るか名をくだすかなり」「釈迦・多宝・十方の仏・来集して我が身に入りかはり我を助け給へと観念せさせ給うべし」(御書1451ページ)と。
 皆、法華経に説かれる「師子奮迅之力」を色心に漲らせ、病魔など吹き飛ばして指揮を執ってくれ給え!
 各地の宝の全同志に届けと、私と妻も強盛に題目を送っていきます。
 さあ、楽しく戦おう!

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉10 15日は中等部の結成記念日 皆が未来の「広布の大樹」 2019年1月14日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉10 15日は中等部の結成記念日 皆が未来の「広布の大樹」 2019年1月14日

受験生と家族に真心の配慮を
〈出席者〉
原田会長
永石婦人部長
竹岡青年部長
田中副未来部長(中等部長兼任)
尾身女子副未来部長(女子中等部長兼任)
使命深き皆の本舞台はいよいよこれから!――目標に向かって、勉学に、クラブ活動に、自分らしく挑戦する中等部の友(昨年8月に行われた総岡山中等部総会)

 竹岡 「創立90周年へ 創価勝利の年」の開幕を告げる本部幹部会が12日、にぎやかに開催されました。

 永石 会場には、新成人の代表やSGIの友の姿もあり、“日本一”の鼓笛隊・音楽隊による、新年を寿ぐ華麗な演奏・合唱に決意を新たにしました。

 竹岡 池田先生は、メッセージの中で、「法華経の兵法」を根本に戦い抜き、それぞれの天地で勝利の証しを打ち立てることを念願されました。

 原田 スピーチ映像の中でも先生は、仏法においても世法においても、勝ち続ける中に、楽しき幸福な人生があると強調されていました。人生は、全てが戦いです。であるならば、私たちは広布誓願の題目で、仏の大生命力を涌現させ、自身の生活の上でも、広宣流布の活動の上でも、絶対勝利の道を歩んでいきたい。

励ましの種を蒔く

 竹岡 1月15日は、中等部の結成記念日です。

 原田 今の中等部の世代は、学会創立100周年の2030年から、22世紀へと続く新たな世界広布の時代の「第一走者」です。

 田中 池田先生は、未来ジャーナルの連載「誓いの明日へ」(1月号)の中で「『創価勝利の年』の今年は、そのまま『未来部勝利の年』です」と、万感の期待を寄せられています。

 尾身 私たちも、中等部員と共に、大成長の一年にしていきます。

 竹岡 各地の未来本部長、担当者の方々も、日頃より、メンバーに真心の励ましを送ってくださり、心から感謝申し上げます。

 田中 今の中学生の世代はとても多忙です。担当者の方々から「会う機会をなかなかつくれない」という声も多く聞きます。

 尾身 クラブ活動や、学習塾に通うメンバーも多いです。私自身も、まずは、放課後や週末の予定を教えてもらい、どのタイミングなら会えるかを「知る」ことから始めています。

 田中 忙しいということは目的意識を持ち、何かに挑戦している証拠です。だから、私たちも学会活動や信心の目的をはっきり伝えることを心掛けています。

 尾身 また、中学生になると、小学生の時とは環境が劇的に変化します。教科ごとに先生がかわり、定期テストでははっきりと成績が出ます。クラブ活動では先輩・後輩の関係ができるなど、勉強や人間関係で悩んでいるメンバーも少なくありません。

 田中 私は、相手が好きなこと、得意だと思っていることの話題を通して、自信をもってくれるよう声を掛けています。また、今、頑張っていることをたたえるようにしています。

 永石 自分のことを認めてくれ、褒めてくれる人が身近にいることが、どれほど心強いでしょうか。

 原田 “広布の宝”である未来部員に最大のエールを送ってこられたのが池田先生です。小説『新・人間革命』には、未来部に語り掛ける場面が多くあります。第30巻〈上〉「雄飛」の章には「辛抱強く勉強に励むとともに、信仰の世界で、自分をつくっていくことを忘れず、広布の大樹へと育ってください」と。

 尾身 中等部員の中にも『新・人間革命』の研さんに挑戦しているメンバーが多くいます。感想を聞くと「先生の励ましの言葉一つ一つが、今の自分にも通じていて胸に迫ってきます」と語っていました。

 原田 先生はかつて「愛する未来部の皆さんに真実の歴史を伝え残すために、小説『新・人間革命』を、毎日、書きつづっています」と述べてくださいました。どれほど大きな期待であるか。

 田中 メンバーが先生と“対話”するかのように研さんする姿に、私自身が師弟の精神を学ばせていただいています。

 尾身 これからも、会合や訪問・激励の中で、『新・人間革命』を通して先生の言葉、先生の心を伝えるよう心掛けていきます。

 原田 御書には「物だね(種)と申すもの一なれども植えぬれば多くとなり」(971ページ)とあります。励ましの“種”を蒔き続けることで、必ず広布の人材群は広がっていきます。現在の各地の壮年、婦人のリーダーも、未来部時代から、さまざまな激励を先生から、いただいてきた人たちが数多くいます。私たちも、大切な、未来ある後継のメンバーを励まし抜いてまいりましょう。

体調管理を万全に

 永石 受験シーズンが本番を迎えました。本人はもちろん、ご家族にとって、最も大切な時期です。婦人部としても、保護者の方には、受験の直前は「会合をお休みしてもいい」と伝えたり、周囲には「長電話は控えるように」と呼び掛けるなど、受験生の家族の方に、十分な配慮をしていきたいと思います。正役職の方の場合、役割分担をするなど周囲が心配りをし、工夫をお願いします。

 原田 ご家族の方が、直接的に何かできるわけではないかもしれません。しかし、言葉を交わさなくても家族が家にいるだけで、お子さんの不安が解消されることもあるでしょう。また、家族の方が、唱題をする時間もできます。時に、親子で一緒に祈る時間をつくるなど、受験は、互いの信心を深める機会にもなります。受験生と、その家族に、一層の配慮をしていきましょう。

 竹岡 また、現在、インフルエンザが流行し、注意報レベルを超えたとの報道もありました。受験生はもちろん、皆が体調管理に万全を期してください。

 永石 厚生労働省は、「外出後の手洗い」、「適度な湿度(50~60%)の保持」、「十分な休養とバランスのとれた栄養摂取」、体調が悪い時には「人混みへの外出を控える」など、具体的な予防策を呼び掛けています。

 原田 地域の友と互いに声を掛け合って、健康を祈り、充実の日々を過ごしていきましょう。

世界広布新時代第40回本部幹部会への池田先生のメッセージ 2019年1月13日

世界広布新時代第40回本部幹部会への池田先生のメッセージ 2019年1月13日

わが誓願の天地に平和と幸福の仏法勝負の証を!
法華経の兵法」で勝ち進め
御聖訓「悪は多けれども一善にかつ事なし」
兵庫・愛知・福岡を中継で結び 新成人が誓い
この一年も、共に勝利の歴史を!――2007年1月の本部幹部会でスピーチする池田先生
  

 一、法華経の会座さながらに、日本一の音楽隊、日本一の鼓笛隊の「平和の文化」の妙音が轟くなか、明るく笑顔が弾ける新春の本部幹部会、誠におめでとう!(大拍手)
 日本が一番冷え込む「寒中」の季節に、真夏の南半球から31時間の旅で駆けつけてくれたアルゼンチン、また、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、タイ、ラオス、そして韓国をはじめ、14カ国・地域の尊き同志の皆さん方、本当にありがとう!(大拍手)
 創価世界市民が、かくも麗しい「地球民族」のスクラムで前進しゆく晴れ姿を、牧口先生、戸田先生も、どれほど喜ばれていることでしょう。
 今年は、牧口・戸田両先生のお二人が初めてお会いされてより、100年の佳節となります。〈1920年1月頃に出会ってから100年目となる〉
 この師弟の出会いを淵源として、今、「人間革命の光の世紀」が開かれているのであります。
 戸田先生が牧口先生にお仕えし始めたのは、まさに20歳になろうとする時でありました。私が戸田先生にお仕えしたのも、同じ年代であります。
 うれしいことに、今日は、ここ東京・戸田講堂をはじめ、常勝・関西、堅塁・中部、先駆・九州などを結び、全国の希望に燃える新成人の代表も参加してくれています。 
 不思議にも、戸田先生と100年の歳月を経て、凜々しく誓いの門出を迎えた、宿縁深き地涌の若人たちが一人ももれなく栄光と福徳の人生を進みゆかれるように、皆でエールの大拍手を送ろうではありませんか!(大拍手)

日蓮仏法の真髄

 一、本日の「創価勝利の年」の出陣に当たり、二つの書を披露させていただきたい。
 『新・人間革命』の最終章「誓願」の章を、私は1982年(昭和57年)春の関西と中部の青年文化祭から書き起こしました。その反転攻勢の大行進のなか、中部の天地で記し留めた書であります。
 一つは、「仏法勝負乃証」。
 もう一つは、「法華経に勝る兵法なし」であります。
 御本仏・日蓮大聖人は仰せになられました。
 「夫れ仏法と申すは勝負をさきとし」(御書1165ページ)
 また、「仏法と申すは道理なり道理と申すは主に勝つ物なり」(同1169ページ)と。
 これこそ、大聖人から創価の三代の師弟が受け継ぎ、三障四魔、三類の強敵と戦い抜きながら、厳然と証明してきた日蓮仏法の真髄に他なりません。
 「一生成仏」も「広宣流布」も、永遠に「仏」と「魔」との大闘争であります。我ら真の日蓮門下は、この末法濁悪の世で断固として勝つことを誓い願って生まれてきました。
 そして、わが誉れの同志は、一人一人の生活と人生でも、立正安国の挑戦でも、一つまた一つ、絶対勝利の実証を示し切ってきました。
 だからこそ、世界宗教の大飛躍が成し遂げられたのであります。

師子王の心で

 一、思えば、古今東西呉子孫子諸葛孔明アレキサンダー、ナポレオン、さらに、現代の経営戦略等々、さまざまな兵法が探求されてきた。
 しかし、一人の人間が宿命を転換し、永遠の幸福を勝ち取る兵法はなかった。
 あらゆる民衆の連帯を築き、社会の安定と繁栄を勝ち開く兵法はなかった。
 そして、「妙法」という大宇宙の根本法則に則り、人類の境涯を高め、平和と共生の未来へ、勝ち栄えさせゆく兵法はなかった。
 そのために、大聖人が残し託してくださったのが、「法華経の兵法」なのです。
 「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし」(同1192ページ)との仰せのままに、あの不可能を可能にする「大阪の戦い」に臨む年頭、私が悩み抜き、祈り切って命に定めたことは、「法華経の兵法」を将軍学とすることでした。
 つまり、一念に「億劫の辛労」を尽くす精進行の題目が、どれほど力を発揮するか。
 御書根本に励まし合う絆から、どれほど「随縁真如の智慧」が湧き出ずるか。
 難を恐れぬ朗らかな「柔和忍辱の心」で、どれほど変毒為薬していけるか。
 不軽菩薩の如く「人を敬う」大誠実の振る舞いが、どれほど仏縁を広げるか。
 関西の誓いの友と私は、何よりも「師子王の心」の勇気で、仏菩薩も諸天善神も、悪鬼魔民さえも揺り動かしながら、ついに“まさか”を実現したのです。

異体同心で凱歌を

 一、幾多の難問に直面する地球社会は、いやまして法華経の兵法を渇仰しています。
 御書には、現証のリズムを「百日・一年・三年・七年が内に」(同911ページ)とも仰せです。
 重大な歴史の転換点に立つ今この時、我らは学会活動で鍛え上げた「法華経の兵法」に勝るものなしと胸を張り、御本仏から任された、それぞれの誓願の天地で、「百日・一年・三年・七年」と、「仏法勝負乃証」をいよいよ威風堂々と打ち立てていこうではありませんか!
 「悪は多けれども一善にかつ事なし」(同1463ページ)との御金言の通り、日本全国、そして全世界の創価家族と「異体同心」の凱歌を共々に誓い合って、出発のメッセージといたします。
 わが愛弟子たちの「健康長寿」と「絶対勝利」を、私は祈り抜いていきます(大拍手)。

〈教学〉 1月度座談会拝読御書 大悪大善御書 2019年1月5日

〈教学〉 1月度座談会拝読御書 大悪大善御書 2019年1月5日

御書全集 1300ページ1行目~3行目
編年体御書 1431ページ1行目~3行目
地涌の菩薩の底力で妙法流布を
大願に生きる人は最も尊く、最も強い
拝読御文

 大事には小瑞なし、大悪をこれば大善きたる、すでに大謗法・国にあり大正法必ずひろまるべし、各各なにをかなげかせ給うべき、迦葉尊者にあらずとも・まいをも・まいぬべし、舎利弗にあらねども・立ってをどりぬべし、上行菩薩の大地よりいで給いしには・をどりてこそいで給いしか

本抄について

 本抄は、一部分のみが伝えられているお手紙です。
 そのため、いつ、誰に与えられたものか不明です。ただ、その内容から、悪世末法の中で、苦闘している弟子を激励するために、認められたと推察されます。
 日蓮大聖人の御在世当時は、一国を挙げた大謗法によって、三災七難が相次ぎました。さらに、大聖人が「立正安国論」で示された自界叛逆難、他国侵逼難も、それぞれ二月騒動、蒙古襲来として現実のものとなるなど、社会全体が騒然としていました。
 大聖人は本抄で、大悪は大正法が広まる大善の前兆であるとの御確信を述べられ、嘆いてはならないと励まされます。
 そして、成仏の法を聞いた迦葉や舎利弗が大歓喜して舞い踊ったように、妙法流布を誓って上行菩薩が大地から躍り出たように、普賢菩薩法華経の会座に勇んではせ参じたように、苦難の中にあっても、喜々として、広布に前進していくよう教えられています。

逆境は人間革命の好機

 今、自分が立っている現状を、どう見るのか、どう捉えるのか――一念の違いで、同じ状況であっても、喜びを感じることもあれば、嘆きを感じることもあります。
 本抄で大聖人は、「大悪をこれば大善きたる、すでに大謗法・国にあり大正法必ずひろまるべし」と、大悪をも大正法が広まる前兆と捉えていく、一念の大転換を教えられています。
 大聖人は本抄で、釈尊十大弟子である迦葉と舎利弗が、歓喜した姿を挙げています。
 「頭陀(欲望を制する修行)第一」といわれた迦葉も、「智慧第一」といわれた舎利弗も、共に法華経以前の教えでは、成仏できないとされていました。
 しかし、迦葉も舎利弗も、法華経の会座で成仏の法に出あい、“未来に仏に成る”と知り、躍り上がらんばかりに歓喜しました。自身が本来、仏であることに目覚める以上の喜びはないのです。
 希望の大法である妙法を持つ私たちは、信心を貫けば、最後は必ず幸福になれるのです。これ以上の喜びはありません。
 にもかかわらず、現実を嘆き、諦めて受け入れることは、自身の可能性を否定することにつながり、不幸の因を積んでしまうことになってしまいます。
 だからこそ大聖人は、「各各なにをかなげかせ給う」と、諦めや弱気を排していくように教えられているのです。
 “必ず良くしてみせる”との、決定した信心の人は、厳しき現実や逆境を、そのまま人間革命の好機としていけるのです。

喜び戦う信心に歓喜

 本抄では、迦葉、舎利弗の例に続き、地涌の菩薩の上首(指導者)である上行菩薩歓喜の姿が取り上げられます。
 迦葉や舎利弗は、自身が仏であると知った喜びでしたが、上行菩薩は一切衆生を救済する使命を帯びて、悪世に躍り出る歓喜です。
 地涌の菩薩は、自ら願い、あえて悪世、悪国に生まれて、妙法を弘めます。
 ゆえに、地涌の菩薩にとって、現実世界が自らの使命を果たすべき絶好の舞台になるのです。そこには絶望もなければ、嘆きもありません。むしろ、困難であればあるほど、大きな使命に生きる喜びにあふれ、生命の底力を発揮していくのが、地涌の菩薩なのです。
 大聖人は別の御書で、「日蓮と同意ならば地涌の菩薩たらんか」(1360ページ)と仰せです。地涌の偉大な生命力は、広布に生きる学会員一人一人に、厳然と具わっています。
 さらに大聖人は、「願くは我が弟子等・大願ををこせ」(御書1561ページ)と、誓いの人生を門下に教えられています。それは、誓願を立てることが、大悪を大善に、悪国を大正法の広まる仏国へと変えていく、歓喜の力、根源の力を引き出すカギだからです。
 池田先生は、「『広宣流布の大願』と『仏界の生命』とは一体です。だからこそ――この誓いに生き抜く時、人は最も尊く、最も強く、最も大きくなれる」と語っています。
 どんなに状況が悪かろうが、嘆かず、怯まず、“いよいよ、これからだ!”と、喜び戦う信心に、踊躍歓喜の大生命力が沸き起こってくるのです。

生きる力を奪う謗法

 大聖人が鎌倉で弘教を開始された当時、異常気象や大地震などの天変地異が相次ぎ、大飢饉、疫病なども続発。人々は苦しみにあえいでいました。
 大聖人は民衆救済のため「立正安国論」を著し、時の実質的な最高権力者の北条時頼に提出しました。
 その中で、天変地異が続く原因は、人々が正法に背いて邪法を信じる謗法にあり、最大の元凶は念仏であると指摘。人々が正法に帰依しなければ、三災七難のうち、まだ起こっていない自界叛逆難、他国侵逼難の二つが起こるであろうと警告しました。
 ところが幕府は、大聖人の諫言を無視しただけでなく、念仏者たちと結託。大聖人を亡き者にしようと、迫害を加えていきました。
 このように、万人成仏の教えである法華経を否定し、法華経の行者を迫害する状況を、大聖人は「大謗法・国にあり」と仰せになっていると拝せます。
 念仏は、死後の救済を願う教えです。人々を現実から逃避させ、生きる力を奪います。それと対極にあるのが、生きる力を沸き立たせる大聖人の仏法です。
 池田先生は「闇が深ければ深いほど、自分自身の生命を、太陽のごとく光り輝かせ、現実の暗闇を明々と照らしていく。これが創価の人生である。仏法の人生であり、真実の人生である」と語られています。
 地域や職場にあって、自らが輝くことで、人々に希望を送る生き方こそ「真実の人生」なのです。

池田先生の指針から 「不退の人」が「勝利の人」

 私どもの創価広宣流布運動は、世界中から地涌の菩薩を呼び出し、大いなる平和と希望のうねりを広げゆく「民衆の大行進」ともいえましょう。
 「大悪をこれば大善きたる(中略)各各なにをかなげかせ給うべき」(御書1300ページ)と悠然と宣言なされた御抄には、さらに、「上行菩薩の大地よりいで給いしには・をどりてこそいで給いしか」(同ページ)と仰せです。
 地涌の菩薩のリーダーである上行菩薩は、舞を舞うが如く大地から勇んで踊り出てきたと言われています。しかも、この上行菩薩一人だけではありません。「同時に涌出せり」(法華経452ページ)です。無量無数の地涌の菩薩が一緒に躍り出たのです。
 法華経には、虚空会の一座の人々が、地涌の菩薩が無量の国土の虚空に遍満する姿を見たと説かれています。自由で、快活で、しかも整然と、そして壮大な舞台で――それは、まさに、歓喜また歓喜の波動が広げる「地涌の大行進」です。
 (2013年11月号「大白蓮華」に掲載の「勝利の経典『御書』に学ぶ」)
 ◇ ◆ ◇ 
 何があろうと、わが信仰の戦闘を続行しゆく「不退の人」こそが「勝利の人」です。
 牧口先生は叱咤なされた。
 「大聖人は『大悪をこれば大善きたる』『各各なにをかなげかせ給うべき』と仰せである。
 どんな時、どんな場合でも、それをバネとして、大きく転換していけ!」
 少しも嘆かない。前へ前へ進む信心こそ、「大悪」を打ち破り、「大善」に転じ切っていく力です。
 「進まざるは退転」である。もう一歩、あと一歩と忍耐強く攻め抜く。勝利をつかむ最後の一瞬まで前進をやめない。この心が大切なのです。この一念が勝敗を決するのです。
 (『御書と師弟』第2巻「不退転の信心」)
 ◇ ◆ ◇ 
 異体同心なればこそ、わが学会は断じて負けない。絶対に行き詰まらない。必ずや万事を成就し、皆が尽きることのない大功徳を受け切っていけるのです。
 これまでも、ありとあらゆる苦難を我らは異体同心で乗り越えてきました。これからも、全国・全世界の創価家族が地球を包みゆく異体同心の団結で、「大悪をこれば大善きたる」(御書1300ページ)の実証を勝ち示していこうではありませんか!
 (2018年7月10日付本紙、本部幹部会・九州総会へのメッセージ)

参考文献

 ○…『勝利の経典「御書」に学ぶ』第7巻「減劫御書」(聖教新聞社刊)
 ○…『御書と師弟』第3巻「動執生疑」(同)

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉9 女子部「訪問ロマン総会」が活発 深き祈りと行動で希望のドラマを! 2019年1月10日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉9 女子部「訪問ロマン総会」が活発 深き祈りと行動で希望のドラマを! 2019年1月10日

新成人の門出を皆で祝福
〈出席者〉
原田会長
永石婦人部長
竹岡青年部長 
大串女子部長
千尋女子部書記長
一人一人の声に耳を傾け、温かな励ましで、女子部全員と絆を結ぶ「訪問ロマン総会」。一人と会い、一人と語らい、幸の連帯を!

 竹岡 “創価勝利の年”が開幕し、各地で勢いよく、出発の集いが開催されています。

 原田 その先頭を走るのが、女子部の皆さんです。華陽のスクラムの拡大へ、活発に「訪問ロマン総会」が行われていますね。

 永石 寒風の中、はつらつと訪問・激励に歩く女子部の皆さんの姿が、各地で感動を呼んでいます。

 大串 「さあ、友のもとへ! 祈って動けば、希望のドラマが始まる。ロマン輝く青春の語らいが生まれる。友情の花園と咲き薫る」――池田先生が先月の「新時代を進む」の中で、「訪問ロマン総会」について、つづってくださったことが最大の力になっています。

 千尋 先生は、「なかなか会えない人もいる。心ない反応が返ってくる場合もあるだろう」と、女子部の心に寄り添ってくださり、「しかし、真心からの声は種となって、相手の命の大地に蒔かれている。いつか必ず花開く時が来るのだ」と励ましを送ってくださいました。

 原田 「最高の仏道修行に励む誇りに胸を張り、賢く朗らかに進んでいただきたい。学会活動で『心の財』を積む日々ほど、尊貴な青春があろうか。誠実にして福運ある女性には、誰も敵わない」とも呼び掛けてくださっています。善き友と支え合い、励まし合う絆を強めていくことは、幸福への確かな軌道です。孤独や不安を深める現代社会で、共に笑い、悩み、進む連帯が、どれほど尊いか。

 大串 婦人部の方々と一緒に、訪問・激励に歩いている地域も多くあります。中には、これまで一度も会うことができなかったメンバーに、初めて会うことができたケースもあります。「婦人部の皆さんの応援を受け、勇気をもって挑戦することができています!」とのうれしい報告を多数聞いています。

 千尋 今回の訪問の際に活用する「ロマンカード」には、小説『新・人間革命』第30巻〈下〉「誓願」の章にある、「広宣流布の永遠の前進にあって、『福徳の門』を開き、『希望の門』を開き、『常勝の門』を開くのは、女性です。なかんずく女子部です」との言葉が刻まれています。

 永石 この指針が発表されたのは、2000年12月14日、関西で行われた本部幹部会の席上でした。この場で先生は、「21世紀を『女性の世紀』に」と提唱されたのです。

 原田 とりわけ先生は、女子部こそ、広宣流布の花であり、宝であると言われ、皆で励ましを送り、最大限に応援していこうと呼び掛けられました。

 千尋 うれしいことに、この時のスピーチの模様は、今回リニューアルされた、SOKAチャンネルVODの番組「希望の華と舞え! 池田華陽会」にも収められています。

 大串 この番組ではさらに、本年が10周年となる創価女子会館への初訪問(2009年6月4日)の際のスピーチの模様なども視聴することができます。

 千尋 先生はこの時、女子部の健康と幸福と勝利のため、共に唱題してくださいました。そして、「題目こそが絶対勝利の力」であり、「師弟の心を合わせた祈り」「同志の異体同心の祈り」から勢いが生まれ、新しい前進が始まると、教えてくださったのです。

 大串 今、訪問ロマン総会を通じ、かつてない訪問・激励の渦が、女子部中に起こっています。「大阪の戦い」の際、何台もの自転車を乗りつぶし、大阪中を駆け回った池田先生のように、私たち女子部は、訪問・激励に動きに動き、一人一人の友との強い絆を結んでまいります。

信心から離れない

 竹岡 さて、14日は「成人の日」です。この日を中心に、記念の勤行会を開催し、新成人の皆さんの門出を祝福してまいります。

 永石 小説『新・人間革命』第16巻「入魂」の章に、山本伸一会長が、新成人の皆さんに励ましを送る様子が描かれています。そこでは、「長い人生です。皆さんの未来には、いろいろなことがあるでしょう。学生であれば就職もある。また、恋愛、結婚、女性であれば出産もある。さらに、転勤や倒産、病気、家族の死など、何があるかわからないのが人生です。しかし、何があっても学会から、信心から、決して離れないことです。そこにしか、本当の幸福の道はないからです」と、信心の重要性を訴えられています。

 原田 新成人の皆さんの可能性は無限です。だからこそ、幸福勝利の人生を歩んでいけるよう、信心の基盤を築いてもらいたい。皆で、そのための励ましを送っていきましょう。

聖教新聞2万号へ

 竹岡 来る1月20日付で、聖教新聞が「創刊2万号」を迎えます。

 原田 1951年4月20日の創刊から68年。無冠の友をはじめ、聖教新聞を支えてくださる全ての皆さまのおかげで、この日を迎えることができます。

 永石 本年11月18日には、師弟勝利の言論城「世界聖教会館」も完成の予定です。記念すべき年に、師弟共戦の新たな節目を刻めることに感動しています。

 竹岡 先生は、聖教新聞が2万号を迎えることについて、「言わずんばある可からず」(御書17ページ)――「言わずにはおれない」との立正安国の師子吼を放ちながら、これからも皆で、「人間革命の『黄金の日記文書』を勝ちつづろう」と呼び掛けられています。

 原田 広宣流布のため、皆の幸せのため、師弟の勝利のため、本年も、一人一人が、人間革命の大光を放ちながら、「学会創立90周年」へ、勝利、勝利の歴史を開いていきましょう。

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 基礎資料編 2019年1月9日

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 基礎資料編 2019年1月9日

物語の時期 1961年2月14日~10月8日
「凱旋」の章
   

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第4巻の「基礎資料編」。各章のあらすじ等を紹介する。次回の「名場面編」は16日付、「御書編」は23日付、「解説編」は30日付の予定。

「春嵐」の章

 1961年2月14日にアジア訪問から帰国した山本伸一は、16日に愛知の豊橋市で開催された豊城支部の結成大会を皮切りに、各地の会合に出席していく。3月7日には、関西男女青年部のそれぞれの幹部会へ。さらに翌8日には、関西の3総支部の合同幹部会に臨み、力強く学会歌の指揮を執る。この時、伸一は、権力の魔性との激しい攻防戦のさなかにあった。57年の参議院議員大阪地方区の補欠選挙で、選挙違反を指示したとの事実無根の容疑が掛けられた「大阪事件」の裁判が、大きな山場に差し掛かっていたのである。
 16日、青年部の第1回音楽祭であいさつに立った伸一は、「我々は、戦おうじゃないか!」との恩師・戸田城聖の言葉を通して指導。この頃、各地で、神社・仏閣への寄付や行事への参加を拒んだ学会員に対する、村八分などの不当な仕打ちが深刻化していた。伸一は、広布伸展に合わせて嵐が吹き始めたことを思い、全同志を、いかなる大難にも屈せぬ、強き信仰の人に育て上げなくてはならないと決意する。
 4月2日、彼は、春嵐の中で行われた戸田の四回忌法要に臨む。

「凱旋」の章

 戸田の四回忌法要の翌4月3日から、伸一は群馬、新潟、東京、愛知、埼玉、島根、広島での支部結成大会などに相次いで出席。会合の前後には、時間を割いてメンバーの激励に徹した。
 群馬の高崎では、前年に自作の詩(別掲)を贈って励ました青年たちと再会し、その成長を喜ぶ。さらに、戸田が戦後初の地方指導で訪れた桐生も訪問。ここでは、学会と別の組織をつくり、活動を進めようとしたメンバーが行き詰まり、深い反省の末に学会に入会するエピソードが紹介されている。
 中部では、岐阜へも足を運び、支部長や居合わせた同志と懇談。島根の松江では、口べたなことに不安を抱えていた支部長へ「声仏事」と認めて贈った。広島の福山では会場に入れなかった友を気遣い、会合終了後に場外に出て、一人一人を励ます。
 会長就任から1周年。激闘の365日を走り抜いた伸一は、139支部、総世帯数191万余りという、大飛躍の結果をもって、5月3日の本部総会に凱旋を果たす。

「青葉」の章

 本部総会を終えた伸一は、青年部幹部との懇談の席上、この年を「青年の年」にしたいと提案する。彼は、青年部を中心に、新しい広布の流れをつくることを、会長就任2年目のテーマとしていた。
 九州をはじめ、各地の青年部の方面総会に出席。行く先々で青年たちとの出会いをつくった。京都の舞鶴では、仕事と学会活動の両立に悩む男子部員に対し、「いかなる状態にあっても、必ず、すべてをやりきると決め、一歩も退かない決意をもつことです」と語り、その苦労が全て生涯の財産になることを訴える。
 伸一は、神戸、兵庫の2支部合同の結成大会で、学会の広布の歩みを収めた記録映画の製作を発表する。彼は、青年部の室長時代から、学会の主要行事(「3・16」の式典など)を、映画フィルムに収めるように推進してきた。伸一は、その製作の責任者に、青年部のリーダーを抜てき。また、第4回学生部総会では、“世界を友情で結びゆけ”と期待を寄せた。
 6月度の本部幹部会では、この年の目標に掲げていた200万世帯の達成が発表される。

「立正安国」の章

 伸一は7月4日、戸田の墓前で深い祈りを捧げる。前日の3日は、16年前に恩師が生きて獄門を出た日である。それはまた、4年前に自身が不当逮捕された日でもあった。彼の胸には「権力の魔性と戦え! 民衆を守れ!」との師の言葉がこだまし、「大阪事件」の裁判で、断じて、無罪を勝ち取る決意を固める。
 9日、方面別の青年部総会の掉尾を飾る東北の総会へ。午後に行われた男子部の総会で、「広宣流布の総仕上げは、東北健児の手で」と訴える。29日、長野県の霧ケ峰高原での「水滸会」の野外研修では、人類の平和と幸福のために、世界の檜舞台に雄飛をと語った。翌日の「華陽会」の野外研修では、バレーボールのパスを通して、心一つに団結する意義を強調する。7月、女子部は部員20万を、男子部は30万を突破する。
 8月の恒例の夏季講習会で、伸一は「立正安国論」を講義する。
 秋のヨーロッパ訪問を前に、人間と人間を結ぶヒューマニズムの哲学を広め、世界の立正安国の道を開くことを誓う。

「大光」の章

 10月5日、伸一はデンマークコペンハーゲンに欧州訪問の第一歩をしるす。移動の車中、同国復興の父グルントヴィと後継者コルが、広く民衆に高等教育の機会を開いたことを思い、先師・牧口、恩師・戸田の遺志を受け継ぎ、創価教育を実現する学校を設立しなければと、誓いを新たにする。ホテルでは、同国に出張中の男子部のメンバーを激励する。
 7日、西ドイツ(当時)のデュッセルドルフに入った訪問団一行は、ライン川の岸辺で、ナチスによるユダヤ人迫害を巡って語り合う。
 翌日、一行は西ベルリン(当時)に赴き、東西ベルリンの境界線付近を視察。自由を奪い、同胞や家族を引き裂く壁を前に、伸一の脳裏には、“人間の生命に潜む魔性の爪をもぎ取れ”との精神が込められた、戸田の「原水爆禁止宣言」が蘇る。
 美しい夕焼け空の下、分断の象徴であるブランデンブルク門を仰ぎながら伸一は、「三十年後には、きっと、このベルリンの壁は取り払われているだろう……」と、同行の友に言う。それは、世界の平和の実現に、生涯を捧げ、殉じようとする、彼の決意の表明にほかならなかった。

「師弟の誓願」実現へ 1961年6月――200万世帯突破

 〈恩師・戸田城聖から託された300万世帯達成へ、広布の指揮を執る山本伸一。会長就任1年余りの61年6月、学会は200万世帯を突破する〉
 二百万世帯の達成は、この年の一年間の目標であった。それをわずか半年で達成してしまったのだ。ここにまた一つ、広宣流布の未曾有の金字塔が打ち立てられたのである。
 地位や財力、権力を使っての勧誘ではない。無名の民衆が、人びとの幸福と平和を願い、誠実と情熱をもって、それぞれの立場で仏法を語り説くという、地道な活動の積み重ねによって成就されたものである。それは、伸一と心を同じくした、同志の発心がもたらした壮挙であった。(「青葉」の章、228ページ)

詩「希望に燃えて」

 希望に燃えて 怒濤に向い
 たとい貧しき 身なりとも
 人が笑おが あざけよが
 じっとこらえて 今に見ろ
  
 まずは働け 若さの限り
 なかには 侮る者もあろ
 されどニッコリ 心は燃えて
 強く正しく わが途進め
  
 苦難の道を 悠々と
 明るく微笑み 大空仰ぎゃ
 見ゆる未来の 希望峰
 ぼくは進むぞ また今日も

 これは、19歳の池田先生が戸田先生と出会った直後に詠んだもの。「凱旋」の章では、山本伸一が60年3月に群馬の高崎を訪れた折、青年たちにこの詩を贈って激励する場面が描かれている。

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

 【挿絵】内田健一郎 【題字のイラスト】間瀬健治