第45回SGI提言① 世界各地で相次ぐ異常気象の被害 2020年1月26日

第45回SGI提言① 世界各地で相次ぐ異常気象の被害 2020年1月26日

気候変動の問題に立ち向かう
グローバルな連帯の拡大を

 創価学会の創立90周年とSGI創価学会インタナショナル)の発足45周年を記念し、誰もが尊厳をもって安心して生きられる「持続可能な地球社会」を築くための提言を行いたいと思います。
 
 最初に述べておきたいのは、年頭以来、緊張が続くアメリカとイランの対立を巡る情勢についてです。
 両国の間で現在続けられている自制を今後も最大限に維持しながら、国際法の遵守と外交努力を通じて事態の悪化を何としても防ぐことを強く求めたい。そして、国連や他の国々による仲介も得ながら、緊張緩和への道を開いていくことを切に望むものです。

青年を先頭に、世界192カ国・地域で時代変革の波を大きく広げるSGIの友(昨年8月、東京・新宿区の創価文化センターで)
青年を先頭に、世界192カ国・地域で時代変革の波を大きく広げるSGIの友(昨年8月、東京・新宿区の創価文化センターで)

 世界では今、異常気象による深刻な被害が相次いでいます。
 昨年もヨーロッパやインドが記録的な熱波に見舞われたほか、各地で猛烈な台風や集中豪雨による水害が発生し、オーストラリアで起きた大規模な森林火災の被害は今も続いています。
 
 このまま温暖化が進むとさらに被害が拡大するとの懸念が高まる中、昨年9月に国連で気候行動サミットが行われました。
 国連加盟国の3分の1にあたる65カ国が、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするとの方針を表明しましたが、そうした挑戦を全地球的な規模に広げることが急務となっています。

アメリカ・ニューヨークの国連本部に設置された、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標を示すパネル
アメリカ・ニューヨークの国連本部に設置された、SDGs(持続可能な開発目標)の各目標を示すパネル

 気候変動は、単なる環境問題にとどまるものではありません。
 地球上に生きるすべての人々と将来の世代への脅威という意味で、核兵器の問題と同様に“人類の命運を握る根本課題”にほかならないものです。
 そして何より、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が強調するように、「私たちの時代を決定づける問題」(国連広報センターのウェブサイト)としての重みを持つものといえましょう。
 
 実際、気候変動の影響は貧困や飢餓の根絶をはじめとする国連のSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを土台から崩しかねないものとなっています。
 そこで焦点となるのは、負の連鎖に歯止めをかけることだけではありません。
 気候変動の問題は、誰もが無縁ではないものであるがゆえに、問題の解決を図るための挑戦が、これまでにないグローバルな行動の連帯を生み出す触媒となる可能性があり、その成否に「私たちの時代を決定づける問題」の要諦があると訴えたいのです。

 気候行動サミットと相前後して、若い世代を中心に時代変革を求める動きが広がったのに加えて、各国の自治体をはじめ、大学や企業が意欲的な取り組みを加速させようとしています。
 
 国際社会を挙げて平均気温の上昇幅を1・5度以内に抑えることを目指す「パリ協定」(※注1)の本格運用も、今月から始まりました。
 その推進を軸に気候変動の問題に立ち向かう連帯を広げる中で、SDGsのすべての分野を前進させるプラスの連鎖を巻き起こすことに、創設75周年を迎える国連の重要な使命もあるのではないでしょうか。
 
 そこで今回は、グローバルな行動の連帯を強固に築くために必要となる視座について、三つの角度から論じたいと思います。

②に続く

  * * * * *

 注1 パリ協定
 2015年12月、フランス・パリ郊外での気候変動枠組条約の第21回締約国会議で合意された国際協定。18世紀の産業革命前と比べて平均気温の上昇を2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力をすることを目指す。196カ国・地域が参加し、各国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を定めて、国連に実施状況を報告する仕組みとなっている。

小説「新・人間革命」に学ぶ 御書編 第15巻 2020年1月22日

小説「新・人間革命」に学ぶ 御書編 第15巻 2020年1月22日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第15巻の「御書編」。小説で引用された御書、コラム「ここにフォーカス」を紹介する。挿絵は内田健一郎

命ある限り語り抜く
御文

 命を法華経にまいらせて仏にはならせ給う(御書1299ページ、南無御書)

通解

 一切の仏は命を法華経に奉って仏に成ったのである。

小説の場面から

 <学生部員との懇談で、三島由紀夫の自決から、仏法で説く「帰命」に話が移ると、山本伸一は語った>

 「命はなんのために使うべきか。大聖人は、法華経のために身命を捧げるべきであると結論されている。(中略)

 法華経すなわち、正法のため、広宣流布のために身命を捧げるなかに、成仏という絶対的幸福境涯を確立する道があり、一切衆生を救う直道があるからです。

 でも、身命を捧げるとは、ただ死ぬということではない。広宣流布のために、全力で戦い抜くことです。そのなかで、熱原の三烈士や初代会長の牧口先生のように、殉教することもあるかもしれない。しかし、広布の使命を果たすために、生きて生きて生き抜き、命ある限り、動き、語り抜くこともまた『帰命』です。

 むしろ、“自分は今日一日を、広布のために全力で戦い抜いたのか。妥協はないか。悔いはないか”と問いつつ、毎日、毎日を勝ち抜くなかに、『帰命』の姿があります」(中略)

 彼は言葉をついだ。
 「私は青年時代、自身の決意を、こう日記につづりました。『革命は死なり。われらの死は、妙法への帰命なり』

 わが生涯を広布に捧げよう、戸田先生と生きようと、自ら決めた瞬間でした。(中略)以来、私は、どんな困難があろうとも、微動だにしません。実は、そこにこそ、自身の人間革命、絶対的幸福境涯への道がある」
(「蘇生」の章、67~69ページ)

久遠の使命の自覚
御文

 過去の宿縁追い来って今度日蓮が弟子と成り給うか(御書1338ページ、生死一大事血脈抄

通解

 あなたは、過去の宿縁から今世で日蓮の弟子となられたのであろうか。

小説の場面から

 <1955年(昭和30年)8月、札幌での夏季指導の折、山本伸一は御書を拝して同志の勇気を鼓舞した>

 「ここは、大聖人様と共に戦う弟子の、深い宿縁について述べられた箇所ですが、今、その御精神を受け継ぎ、広宣流布に生きる私たちにも同じことがいえます。

 私たちが今、この時に生まれ合わせ、ここに集って、活動に励んでいるのも、実は、過去世からの深い宿縁によるものなんです。決して偶然ではありません。私たちは、日蓮大聖人と、過去世で広宣流布をしていく約束をして生まれてきた。

 しかも、そのために、ある人はあえて貧乏の姿を現じ、ある人は、病気の悩みを抱えて出現してきたんです。
 そして、大闘争を展開する、待ち合わせの場所と時間が、昭和三十年八月の札幌だったんです。

 皆さんは、それぞれが貧乏や病の宿命を断ち切り、妙法の偉大さを証明するために、この法戦に集ってこられた。その強い自覚をもつならば、力が出ないわけがありません。御本尊に行き詰まりはありません。意気揚々と痛快に戦おうではありませんか!」(中略)

 伸一の講義を聴くうちに、メンバーは皆、久遠の使命を自覚し、広宣流布の流れを決する歴史的な闘争に、今、自分が参加している喜びに包まれるのであった。誰もが勇み立った。その歓喜が、戦いの勢いを加速した。
(「蘇生」の章、84~85ページ)

ここにフォーカス 「苦海」を「仏土の海」に

 「蘇生」の章に、「水俣病」から立ち上がる同志の姿が克明に描かれています。

 「水俣病」は、熊本県水俣市で発生した公害病です。化学工場から海に垂れ流されたメチル水銀が魚介類に蓄積され、それを食べた人が中毒性の神経疾患を発症しました。

 山本伸一は、公害問題に対して論文を発表。さらに、研究者と会い、公害について学んでいきます。

 1972年(昭和47年)8月、池田先生は公害研究の第一人者・宇井純氏と公害問題へのアプローチなどを巡って、6時間にわたって語り合いました。

 対談の折、氏は「被害者の手足となって働いてみると、解決の智慧がわく。庶民と切れたら、学問は終わりです」と語りました。この「庶民と共に」との信念は、先生と深く共鳴するものであり、学会の根本精神です。

 公害によって偏見にさらされ、人生を奪われた人の苦しみ、怒りは計り知れません。その「苦海」の中で、水俣の同志は友の幸福を願い、強く生き抜いたのです。

 池田先生は、和歌を詠んでいます。「水俣の/友に幸あれ/長寿あれ/仏土の海で/今世を楽しく」

 愛する郷土を「苦海」から「仏土の海」に――水俣の友が刻んできた蘇生の軌跡は、後世に生きる勇気を送り続けるに違いありません。

新刊『ワールド セイキョウ』 あす発売 2020年1月22日

新刊『ワールド セイキョウ』 あす発売 2020年1月22日

 創価学会の魅力を多角的な視点から伝える新刊『ワールド セイキョウ』の2020年春号(本社刊)が、あす発売される。

 特集1「人生100年時代の処方箋」では、芸術部の加藤茶さん・綾菜さん夫妻へのスペシャルインタビューを収録。茶さんの入会のきっかけや病魔との闘いを乗り越えたエピソードなど、学会員としての歩みを、ありのままに語る。

 併せて、北海道、富山、岡山、青森の友の信仰体験「ストーリーズ」を掲載する。

 特集2「国籍は“SEKAI”」では、インドの座談会の様子や、アフリカ各国での教学研さんの模様、シンガポールの社会貢献の取り組みなど、世界宗教として発展する創価学会を、五つの角度から伝える。「新入会の友」編では、2015年に入会したポーランド、ブラジル、ニュージーランドケニアのメンバーが、5年間にわたる信心の実践と成長などを語る。

 さらに、池田先生が友に贈る「人生の羅針盤」や、本紙の連載漫画「ちーちゃん家」のキャラクターが、学会の座談会を分かりやすく紹介する「座談会 行ってみました」などを収める。

 学会の真実の姿を美しいビジュアルと共に伝え、友人との語らいを豊かにする助けとなろう。

 オールカラー36ページ、A4判変型。今後、年2回程度発刊予定。250円(税込み)。全国の書店で発売。コンビニ通販サイト「セブンネットショッピング」「HMV&BOOKS online」での注文、受け取りも可能です。

1月の本部幹部会で紹介された池田先生の指針 創価の青年こそ人類の希望! 2020年1月21日

1月の本部幹部会で紹介された池田先生の指針 創価の青年こそ人類の希望! 2020年1月21日

世界の友と大前進!――今月は、SGI発足45周年の佳節を迎える。盛大に行われた本部幹部会には、海外19カ国・地域からも、同志が意気軒高に集い合った(11日、巣鴨の東京戸田記念講堂で)
世界の友と大前進!――今月は、SGI発足45周年の佳節を迎える。盛大に行われた本部幹部会には、海外19カ国・地域からも、同志が意気軒高に集い合った(11日、巣鴨の東京戸田記念講堂で)

 「世界広布新時代第45回本部幹部会」(11日、巣鴨の東京戸田記念講堂)の席上、2001年9月の本部幹部会での池田先生のスピーチ映像が上映された。「前進・人材の年」を勢いよくスタートし、本年の大勝利を誓い合う友の指針として掲載する。

「決意の炎」を 「人材の銀河」を

 一、世界の心ある知性の方々が絶大なる信頼を寄せてくださっているのが、わが青年部なのである。
 「創価学会の青年を見よ、ここに人類の未来の希望がある!」と。
 そのように、手紙に書いて送ってくださった方もいれば、著作や講演などで言及してくださった方もいる。
 対談集『希望の選択』(『池田大作全集』第110巻所収)をともに発刊したアメリカの「核時代平和財団」のクリーガー会長も、次のように語っておられた。
 「創価学会の青年の輝く瞳、輝く笑顔には、いつも心打たれます。そこには常に、何か新しいものを学ぼうとする探求心があります。常に社会に対する問題意識を持っており、常に、それに対する正しい答えを求め続けています。
 社会から孤立し、反抗さえ示している青年が世界に多く存在するなかで、創価学会の青年たちの人生に対する姿勢は、異例とさえ言えます」と。

平和を愛する沖縄の天地で、アメリカ・核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長と語り合う池田先生(1998年2月26日、恩納村の沖縄研修道場で)
平和を愛する沖縄の天地で、アメリカ・核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長と語り合う池田先生(1998年2月26日、恩納村の沖縄研修道場で)

 私も、まったく、その通りであると自負している。
 私は、青年部の皆さんに申し上げたい。
 わが青年部よ、創価学会を頼む、と。
 胸を張って、これからも戦ってくれたまえ。
 わが青年部の拡大が、そのまま、人類の希望の拡大になるということを、忘れないでくれたまえ。

題目は大宇宙の根源の音律

 一、御書には、「日月天の四天下をめぐり給うは仏法の力なり」(1146ページ)――太陽と月が四天下(世界)をめぐるのは、仏法の力による――と説かれている。
 一瞬も止まることなく運行し続ける大宇宙も、すべて、妙法の律動にのっとっている。科学の探究が進むほど、仏法の英知と合致していくのである。
 大宇宙の根源の音律たる南無妙法蓮華経を朗々と唱えながら、社会の発展のため、世界の平和のため、人類の幸福のために、動き、語り、行動していく。これ以上に崇高な人生はない。

壮大なスケール

 一、先月(2001年8月)の16日、アメリカ航空宇宙局NASA)が、宇宙空間にある「ハッブル宇宙望遠鏡」を使って撮影した、地球から約5000万光年も離れた銀河の写真を発表した。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、おおぐま座にあるNGC3079銀河。右下は中心部の拡大画像。噴き出したガス状物質が、くっきりと=ロイター
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、おおぐま座にあるNGC3079銀河。右下は中心部の拡大画像。噴き出したガス状物質が、くっきりと=ロイター

 今回、NASAが撮影したのは、おおぐま座にあるNGC3079という銀河である。
 円盤形をした銀河の中心部において、まるで煮えたぎる釜の中から泡が噴き出るように、高温のガス状の物質が噴き出ている様子が観測されたのである。
 このガス状の噴出物は、およそ2000光年という高さにまで達している。それは、真っ赤な巨大な柱のように見える。
 じつに、壮大なスケールである。〈光年とは、光の速度で1年間に進む距離のこと。1光年は、約9兆4600億キロメートル〉
 そして、宇宙空間に放出されたガス状物質が、再び、雨のように銀河に降り注ぎ、やがて新しい星がつくられていく――というのである。
 私たちの太陽も、かつて悠久の宇宙のドラマの中から誕生した。そこに地球も生まれたのである。
 法華経には、壮大な宇宙観が説かれている。

率先の行動から新たな歴史が
新しい時代を切り開くのは、新しい力!――東京戸田記念講堂には新成人の代表の姿も(11日)
新しい時代を切り開くのは、新しい力!――東京戸田記念講堂には新成人の代表の姿も(11日)

 一、何事も、エネルギーがみなぎるところに、新しい何かが生まれる。広宣流布の組織もまた同じである。
 中心者をはじめ、皆のエネルギーが赤々と燃えたぎってこそ、「新しい人材」が生まれる。「新しい発展」が始まる。「新しい戦野」が広がり、「新しい勝利」の歴史がつくられていく。
 では、そのエネルギーとは何か。
 戦いへ立ち向かう「勇気」である。
 自分が率先する「行動力」である。
 皆を守ろうとする「慈愛」である。ある面から見れば、太陽も、月も、宇宙それ自体も、生命を育む慈愛に満ちた存在といえよう。
 さらに、断じて勝つという「執念」。
 そして、自分たちの使命の天地で、必ず広宣流布を成し遂げてみせるという「決意」である。銀河が噴き出す真っ赤な火柱のような「決意」である。
 その決意あるところ、きら星のような人材が連なり、美しい銀河のごとき「団結」が生まれる。「調和」が広がる。

「いよいよ これから」の心で広布へ
日本一の音楽隊・創価ルネサンスバンガードが、「前進・人材の年」の開幕を告げるファンファーレを(11日)
日本一の音楽隊・創価ルネサンスバンガードが、「前進・人材の年」の開幕を告げるファンファーレを(11日)

 一、ともあれ、日蓮大聖人の仏法は、1000年、2000年という単位を超えて、「末法万年尽未来際」という宇宙的な次元のスケールに立っている。
 有名な「報恩抄」には、「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外・未来までもながるべし」(御書329ページ)と。
 さらに「御義口伝」には、「今日蓮が唱うる所の南無妙法蓮華経末法一万年の衆生まで成仏せしむるなり」(同720ページ)と仰せである。
 末法万年の広宣流布から見るならば、私どもの戦いは「いよいよ、これから」である。
 この大いなる気概で、創価学会は前進したい。永遠に「青年の心」で、生きて生きて生き抜きましょう!
 きょうは、遠くから、本当に、ご苦労さま! ありがとう!

今こそ「対話の選択」を 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2020年1月19日

今こそ「対話の選択」を 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2020年1月19日

  • 「1・26」SGI発足45周年

 【写真の説明】大空に向かって、ヤシの木が勢いよく伸びる。1995年(平成7年)1月、池田大作先生が学術講演や世界青年平和文化祭などの諸行事に出席するため、アメリカのハワイへ。その合間を縫って、撮影した。
 戦火の地から平和の潮流を――先生は60年前、日米開戦の地・ハワイに、世界広布の第一歩を刻んだ。
 同地のあいさつの言葉「アロハ」には、「人類愛」「寛容」「敬意」などの意味が込められている。それは、生命尊厳を説く仏法の精神に通じる。
 今月26日、SGI創価学会インタナショナル)の発足から45周年を迎える。生命尊厳の哲学が輝く“平和の新時代”を、私たちの対話で開こう。
 

池田先生の言葉

 平和は
 彼方にあるのではない。
 自分のいるその場所に、
 信頼と友情の世界を
 築き上げるのだ。
 その輪の広がるところに、
 世界のへいわがあるのだ。
 
 一方的に話すのは
 対話ではない。
 まず、相手を尊敬し、
 耳を傾けることだ。
 聞く、話す、また聞く。
 その胸襟を開いた応答が
 「思い込み」や「先入観」という
 心の壁を破っていく。
 相手も人間、
 こちらも人間である。
 そこに
 なんの差別もないと知れば、
 心と心が通い、信頼が生まれる。
 
 創価学会は、どこまでも、
 民衆の幸福と
 世界の平和のために、
 現実社会の変革に
 挑戦しゆく使命を貫く。
 そこに、
 「人間のための宗教」の
 精髄があるからだ。
 それは、
 仏教の根本精神でもある。
 仏教は、本来、
 自分一人が覚って、
 それで満足して終わる
 宗教ではない。
 「人々の幸福のために行動する」
 ――この実践があってこそ、
 真の覚りといえる。
 
 「暴力」か「対話」か――。
 世界の各地では、
 今なお熾烈な紛争が続き、
 憎悪と暴力の連鎖が続いている。
 だからこそ、
 私たちは「対話」を
 決して手放してはならない。
 断固たる「対話の選択」こそ、
 「平和の選択」となり、
 必ずや人類の
 「生への選択」に通じていくと、
 私は信じている。
 
 人が人を殺戮することのない、
 平和と不戦の世界を創っていく――
 それが、私たち創価の悲願だ。
 SGIの使命である。

本部幹部会での原田会長の話 一人立つ精神で拡大に挑戦 2020年1月17日

本部幹部会での原田会長の話 一人立つ精神で拡大に挑戦 2020年1月17日

  • 「前進・人材の年」開幕 世界広布新時代第45回本部幹部会から(要旨)
原田稔会長
原田稔会長

 一、学会創立90周年の開幕を告げる「世界広布新時代第45回本部幹部会」の開催、誠におめでとうございます(拍手)。
 また、本日は、19カ国・地域から、151人のSGIメンバーも参加されています。遠いところ、ようこそお越しくださいました。心より歓迎申し上げます。
 
 一、はじめに、昨年末の財務につきまして、広布部員の皆さまの尊き真心に、厚く御礼申し上げます。ますます皆さまが、福徳薫る幸福境涯を開かれますよう、真剣に祈念してまいります。
 
 一、さて、このほど創立90周年記念事業の一環として、また、日蓮大聖人御聖誕800年を慶祝する意義も込め、新版の御書全集を、明2021年11月18日に発刊する運びとなりました。大変におめでとうございます(拍手)。
 これは池田先生に監修していただいて、現在の御書全集よりも文字を大きくし、改行や句読点も増やし、会話文には、かぎかっこを付けるなど、御書が、特に青年にとって、さらに読みやすくなるよう、組み直して刊行するものです。また、現在の御書全集が発刊された後などに発見された真筆の御書も新たに収録します。
 どうか楽しみにしていただきながら、行学錬磨の仏道修行に、一層まい進していきたいと思います。

晴れやかに開催された本部幹部会(11日、巣鴨の東京戸田記念講堂で)
晴れやかに開催された本部幹部会(11日、巣鴨の東京戸田記念講堂で)
一騎当千の青年の陣列を

 一、いかに時代が変わり、環境が変われど、永遠不変の根本精神が、学会にはあります。それは、「御書根本」「大聖人直結」の信心であり、師弟不二の「一人立つ精神」です。
 
 池田先生は、世界広布の第一歩をハワイの地にしるされた折、ただ一人、空港で先生を出迎えた青年を、男子部の班長に任命されました。その際、先生は青年に、こう指導されます。
 
 「日本で班長といえば百人ぐらいの部員がいるが、君には一人もいないことになる。でも、班長班長です。その自覚で、君が自分の力で班をつくっていくんだよ。それが本当の学会の組織なんだ。
 戸田先生は『青年よ、一人立て! 二人は必ず立たん、三人はまた続くであろう』と言われている。その精神で戦うのが学会の真実の青年です」
 
 このご指導に、学会精神の真髄が凝縮されています。創価の三代会長による一人立つ師子の闘争ありて、そしてまた、その師匠に呼応して立ち上がった青年の師子吼によって、今日の世界広宣流布があることを、私たちは、ゆめゆめ忘れてはなりません。
 
 10年前、学会創立80周年を前に池田先生は、青年たちに訴えられました。
 
 「(戸田)先生は、決して青年を甘やかされなかった」「師匠の期待と信頼に、私を中心に完璧に応えてきたのが、創価学会青年部の栄光である。この伝統を担い立ち、青年部が、すべてを勝ち開いていく時が、学会創立80周年であると、私は強く申し上げたい」と。
 
 創立90周年もまた、青年部が、学会の伝統を担い立ち、池田先生の期待と信頼に応え、一切を勝ち開いていく時であると確信いたします。
 
 また、先輩の壮年部・婦人部にあっては、放任主義も、過保護も、真の慈愛ではありません。青年部を一騎当千の人材に育てるべく、粘り強く祈り、温かく励まし、こまやかに指導してまいりたい。
 

訪問・激励と座談会の充実こそ要

 一、池田先生の会長ご就任60周年となる「5・3」を目指して、全国・全世界で弘教・拡大の大波が起こっています。
 この時に当たって、ともどもに銘記したいのは、一番地道な「訪問・激励」と「座談会」こそ、折伏・弘教の前進にあって最も大切だということです。
 
 池田先生のご闘争は常に、一人一人への信心指導、励ましからでした。
 東京・蒲田の「二月闘争」にしても、先生は、今のブロックに当たる「組」に焦点を当て、中心者の組長など最前線に立つメンバー一人一人への訪問・激励に歩き抜かれました。
 
 葛飾で総ブロック長として戦われた時も、「全会員が、しっかり勤行できるようにしていこう」との目標を掲げ、ある時はトラックの助手席に乗り、ある時は自転車で、駆け巡られました。
 会合に出られる際も、あえて早めに行き、始まる前に会場の近隣に住む同志の家を回られるほど、徹底されていました。
 先生の『若き日の日記』に「夜、N君の自転車をかり、葛飾のブロックを回る」と記された同じ日の箇所には、「午前中、腹痛にて困る」「午後(中略)身体の調子わるく」とも、また、「今月、生活費――赤字とのこと」とも記されています。
 
 ご自身が病魔と闘い、日々の暮らしを懸命に乗り越えながら、それでもなお、目の前の一人を励まし抜かれたからこそ、一人また一人と、自分も宿命に挑もうと折伏に立ち上がり、その結果として、未曽有の弘教・拡大があったのだと思えてなりません。

世界19カ国・地域からSGIの友も参加
世界19カ国・地域からSGIの友も参加
歓喜の体験を語り広げよう

 一、そして、そうした励ましの決勝点は、座談会であります。
 小説『新・人間革命』第27巻「激闘」の章には、先生が座談会に自ら出席し、示された、“座談会・永遠の指針”が記されています。そこには、こうあります。

 「仏法の法理を生活の場で実験証明した結果が、生き生きと語り合われる座談会には、仏法を社会に開く実践的展開があります。
 ゆえに、広宣流布の前進は、座談会に始まり、座談会に終わることを、深く銘記していただきたいのであります」とのご指導です。
 
 歓喜あふれる体験、確信あふれる指導が呼び起こす、感動・感激には、“内”も“外”もありません。共に心を通わせ、共に心を定める座談会こそ、折伏・弘教の現場であり、人材育成の本舞台です。

 「励まし革命」と「座談会革命」で、「皆が前進!」「皆が人材!」の弘教・拡大を推進していきたい。
 さあ、「伝統の2月」へ、私たちもまた、寒風に負けじと胸張り、「広布の山」を雄々しく駆け上がっていこうではありませんか(拍手)。

世界広布新時代 第45回本部幹部会の池田先生のメッセージ 2020年1月12日

世界広布新時代 第45回本部幹部会の池田先生のメッセージ 2020年1月12日

2001年9月の本部幹部会でスピーチする池田先生(八王子市の東京牧口記念会館で)
2001年9月の本部幹部会でスピーチする池田先生(八王子市の東京牧口記念会館で)
恩師の出獄から75年

 一、創立90周年を開く、喜び満ちあふれる新春の本部幹部会、誠におめでとう!

 そしてSGI発足45周年を祝賀し、厳寒の中、遠路をいとわず勇んで集ってくださった、アメリカ・オセアニア、ブラジル、欧州、香港、タイ、韓国をはじめ、世界広布の尊きリーダーの皆さん方、本当にありがとう!(大拍手)

 一、それは1945年の1月。法難のゆえに、ここ巣鴨の東京拘置所に囚われていた戸田先生は、師匠・牧口先生の殉教を告げられました。悲嘆と憤怒の淵から、戸田先生は「妙法の巌窟王」となって立ち上がられたのです。

 牧口先生の大誓願を受け継いだ戸田先生は、出獄して「城聖」と名乗られ、戦後の荒野で一人、広宣流布を成就しゆく学会の城を再建していかれました。

 それから75星霜――。

 牧口・戸田両先生への満腔の報恩感謝を込めて、「前進・人材の年」の最初の幹部会に当たり、一幅の書を、この師弟の大城で掲げさせていただきたい。

 「創価人材乃城」――ある年の「立春」すなわち「春立つ日」に寄せて書き留めたもので、きょう、初めて披露いたします(大拍手)。

本部幹部会の席上、紹介された「創価人材乃城」の書
本部幹部会の席上、紹介された「創価人材乃城」の書
一人一人が宝塔

 一、我ら創価の師弟が築き上げてきた「城」――。

 それは、何よりもまず、「民衆の城」であります。

 歴史上、権勢の象徴として、庶民を睥睨してきた城は、少なくありません。

 だからこそ、「万人成仏」の妙法に則って、民衆の、民衆による、民衆のための「人材の城」を築かなければ、権力の魔性に翻弄される人類の不幸の流転はいつまでも断ち切れない。これが、戸田先生の断固たる決心でありました。

 今月の座談会で拝読したように、日蓮大聖人は「末法に入って法華経を持つ男女の・すがたより外には宝塔なきなり」(御書1304ページ)と宣言されております。この御本仏のお心のままに、苦難の庶民の真っただ中に飛び込んで、一人一人の生命を最も尊貴な宝塔として林立させてきた城こそ、広布の民衆城にほかなりません。

 そして、学会の会館は、まさしく地域社会の繁栄と安穏に貢献する民衆城であります。

 25年の歳月を刻んだ阪神・淡路大震災、また10年目に入る東日本大震災、さらに各地の災害に際して、会館は被災された方々の避難所になるとともに、救援・復興への献身の城となってきました。わが友の真心の奮闘と励ましが、どれほど大きな「レジリエンス(困難を乗り越える力)」を発揮してきたことか。

 尊き「負けじ魂」の戦いは、今も、たゆまず続いております。

あの国この地域で“よき市民”の連帯を広げるSGIメンバーが朗らかに
あの国この地域で“よき市民”の連帯を広げるSGIメンバーが朗らかに

 一、この民衆の城は、揺るぎない「平和の城」でもあります。

 分断や対立を深める不安定な時代にあって、創価世界市民は、生命尊厳によって立つ中道の哲学の力、人間主義の対話・言論の力、心と心をつなぐ文化・教育の交流の力で、あらゆる差異を超えて友情を結び、平和を広げてきました。各界から寄せられる信頼と期待は、いやまして高まっております。

 本年、創設75周年を迎える“世界の希望の砦”たる国連を、私たちは、一段と力強く支援しつつ、「SDGs(持続可能な開発目標)」を推進し、「桜梅桃李」の多彩な個性を生かし合いながら地球民族の連帯を拡大していきたい。 

 「立正安国」即「世界平和」の大城から、人類の尽きることのない価値創造の前進へ、「英知と哲理の鐘」を打ち鳴らしていこうではありませんか!

あす13日は成人の日。本部幹部会の会場には新たな門出を迎える新成人の代表の姿も
あす13日は成人の日。本部幹部会の会場には新たな門出を迎える新成人の代表の姿も
「令法久住」を託す

 一、さらに、この民衆の城は、希望みなぎる「青年の城」なのであります。

 創立以来、一貫して、わが学会ほど、青年を愛し、青年を信じ、青年を育て、青年の晴れ舞台を開いてきた世界はないと、私は自負しております。

 大聖人は、地涌の菩薩について「大地の底にかくしをきたる真の弟子あり・此れにゆづるべし」(同905ページ)と仰せになられました。

 法華経と御書に照らし、まさに「今この時」を願って、日本中、世界中に躍り出た誓いの若人たちが、いかに不思議な宿縁と使命と大福運を帯びているか。

 創立100周年への十年の先頭に立つ、誇り高き青年部・未来部の友の「熱と力」に、私は「令法久住」の一切を託します。

 きょうは、晴れがましい新成人の代表も、本当におめでとう!(大拍手)

 また、生命の宮殿を光らせる女子部の「ロマン総会」の大成功を祈ります。

 我らの「正義と勇気の旗」に、新たな地涌の青年を陸続と糾合しながら、「幸福勝利の門」を限りなく開いていきたいと思うが、みんな、どうだろうか!(大拍手)

昨年の全日本吹奏楽コンクールで2年連続13度目の“日本一”に輝いた音楽隊の創価グロリア吹奏楽団が、堂々たる演奏を披露。大学4年のある楽団員は「『前進・人材の年』を勝ち開く誓いを、一音一音に込めました。社会で実証を示す人材に成長します!」と
昨年の全日本吹奏楽コンクールで2年連続13度目の“日本一”に輝いた音楽隊の創価グロリア吹奏楽団が、堂々たる演奏を披露。大学4年のある楽団員は「『前進・人材の年』を勝ち開く誓いを、一音一音に込めました。社会で実証を示す人材に成長します!」と

 一、一人一人の生命が「城」であり、心が「城主」の存在です。ゆえに「城の主剛ければ守る者も強し」(同979ページ)と示されているように、強き信心の一念で誓願の題目を唱えゆくところ、諸天を動かし、良き眷属を増やせないわけがありません。わが生命を、さながら「金剛不壊の城」とそびえ立たせていけるのであります。

 さあ、この一年、「皆が前進!」「皆が人材!」と悔いなく戦い切って、朗らかに「人間革命」「宿命転換」の功徳の花を満開に咲かせ、共々に「常勝歓喜」の勝ち鬨を上げよう!

 そして無敵の異体同心の団結で、人類の命運を担い立つ「創価人材乃城」を、いよいよ勝ち栄えさせていこうではないか!と申し上げ、私のメッセージといたします(大拍手)。