創価大学・女子短期大学入学式への池田先生のメッセージ 2019年4月3日

  1. 創価大学・女子短期大学入学式への池田先生のメッセージ 2019年4月3日
新時代の創造的世界市民と育て
向学と挑戦の青春を
新出発の喜びにあふれる創大・短大の新入生。「創立者への感謝を胸に勉学に励みます!」「親孝行できる人に成長します!」など決意を口々に

 一、武蔵野の天地に、新しい春が来ました。厳しい冬を越え、花は咲き、鳥も歌い、新入生の皆さんを歓迎しております。
 何よりも、皆さん一人一人こそが、躍動する希望の春の生命そのものなのであります。
 創価大学は49期生の皆さん、創価女子短期大学は35期生の皆さん、また大学院生の皆さん、さらに通信教育部の皆さん、そして留学生の皆さん、誉れの入学、誠におめでとう! 私の創立した大学に、よくぞ来てくれました。
 送り出してくださったご家族の方々にも、心よりお祝いと御礼を申し上げます。
 今日は、地元・八王子の方々からも深く愛されている、我らのキャンパスの桜並木を一緒に散策しながら語り合う思いで、簡潔に三つの指針を送ります。
 一、第一に、「地球民族の和楽のスクラムを広げよ!」と申し上げたい。
 思えば、わが創大の起工式を行ったのは、50年前の今日この日でありました。
 4月2日は、創価教育の源流である私の師匠・戸田城聖先生の祥月命日であります。
 起工式の折、私は、植樹してまもない桜など、1万6000本の苗木を見晴らしつつ、やがて桜梅桃李の花また花に彩られゆく未来のキャンパスに思いをはせました。
 とともに、戦後いち早く、わが恩師が提唱した「地球民族主義」という遠大な平和のビジョンを実現する大学へと発展させゆくことを、強く心に期したのであります。
 半世紀を経て、今、その通りになりました。スーパーグローバル大学として、世界との学術・教育交流も、60カ国・地域、200大学を超えております。
 皆さんには、かけがえのない自分自身を、第一級の力ある世界市民に錬磨し、使命の大空へ堂々と飛翔しゆく最高の環境とチャンスが、広々と開かれています。
 創大・短大の先生方、また職員の方々も一段とフレッシュな息吹で、皆さんを迎えてくれております。
 不思議な縁で集い合った世界の良き学友たちと互いに励まし切磋琢磨しながら、人類の平和と共生の縮図ともいうべき「地球民族の和楽のスクラム」を、仲良く朗らかに築き、広げていっていただきたいのであります。

自らの努力で

 一、第二に申し上げたいのは、「新時代を開く学びの新風を起こせ!」ということです。
 新しい時代は新しい英知から生まれる。そして、新しい英知をたゆみなく生み出すのが大学であり、その英知の新風を起こすのが、新入生の皆さんなのです。
 私の敬愛してやまない「現代化学の父」ポーリング博士も、大学の新1年生と共に学ぶことを、ことの外大切にされ、喜びとされていました。
 皆さんは今、胸に抱いているみずみずしい向学と探究、挑戦と独創の初心を、誇りとし、宝として、一日一日、いよいよ輝かせゆく学びの青春であってください。
 学ぶことこそ、青春の権利であり、人間の誉れなのであります。学ぶ生命には、断じて行き詰まりはありません。
 私が共に対談集を発刊した中国を代表する文豪・王蒙元文化相が語っていた至言が思い起こされます。すなわち「我、学ぶゆえに我あり」と言われるのであります。
 さらに王蒙先生は、青年たちへの期待と信頼を込めて、「学習は頭脳と魂に光と未来を与えてくれます」と語られました。
 とりわけ若き日、ご自身が異郷の地での逆境に負けず、学ぶ喜びを見いだし、語学を習得された体験を踏まえて、エールを送ってくださっております。
 「人生を生き抜くには、開かれた心を持つことです。異なる文化に対する関心を持つことです」「異なる言語を学ぶなかで、世界を感じ、生命を感じ、愛と信仰を、人間の力を、大自然の力を感じることです」と。
 ともあれ「新時代」とは、受け身で待つものでもなければ、流されるものでもない。
 若人こそが先駆して、自らの学びの努力で切り開いていくものでありましょう。
 「我らが学んだ分だけ、時代は進み、社会は勝ち栄える」との気概をもって、この平和のフォートレスから自在闊達なる知性の新風を巻き起こしてください。

民衆を照らせ

 一、第三に、「創造的生命の旭日を昇らせよ!」と申し上げたい。
 私の忘れ得ぬ友に、アカデミー・フランセーズ会員で、世界的な美術史家ルネ・ユイグ先生がいます。
 ルーブル美術館の人類の至宝をナチスの魔手から守り抜いた文化の闘士であり、東京富士美術館を最大に応援してくださった大恩人です。
 ユイグ先生の信条は「生命は創造が目的」(西野嘉章・寺田光徳訳『かたちと力』、潮出版社刊)ということです。
 だからこそ、私たちの「創価」つまり「価値創造」の哲学に限りない共鳴を寄せられていたのです。
 先生の盟友であるリディ・ユイグ夫人も、“一人一人が、まだ知らない自分自身の生命の内なる力と可能性を信じて開拓する。その時に、闇のように見える現実から暁に近づくことができる”と明晰に論じておられました。
 短大は明年の開学35周年、創大は明後年の開学50周年を目指して、いやまして「創造的世界市民」の育成に力を注いでおります。
 この学城で、思う存分、自らの創造的生命の旭日を決然と昇らせていってください。そして、大恩ある父母を包み、尊き民衆を照らし、さらには、いまだ混迷の闇深き世界を赫々と晴らして、人間主義の凱歌の暁を告げていただきたいのであります。
 結びに、わが命たる皆さんの健康と無事故、大成長を祈り、和歌を送ります。
  
 青春の
  旭日昇れ
   限りなく
   勝利の暁
    勇気の光で
  
 今日は、本当におめでとう!
 これから一緒に栄光の歴史を創りゆこう!(大拍手)