みずみずしい心で前へ! 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2020年1月5日

みずみずしい心で前へ! 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2020年1月5日

 【写真の説明】雲一つない青空。緑豊かな道の先に、真新しい国立競技場が堂々と姿を現した。完成目前となる昨年10月、池田大作先生が、都内でシャッターを切った。
 今夏、同競技場をメイン会場として開かれる「東京オリンピックパラリンピック」。世界中のアスリートが今、新たな歴史をつくろうと、自分自身の限界に挑戦している。
 いよいよ「前進・人材の年」が開幕した。本年は、広布の歴史において幾重にも意義を刻む年。今月はSGI発足から45周年、5月は池田先生の第3代会長就任60周年、11月には学会創立90周年を迎える。
 さあ、師と共に、世界の同志と共に出発しよう。わが“広布拡大の新記録”を目指して――。
 

池田先生の言葉

 壮大な世界広布は、
 いよいよ
 これからが本番である。
 戸田先生は、
 よく語られた。
 「大作、
 学会の本当の
 偉大さが分かるのは
 二百年後だ。
 二百年先まで考えて、
 広布の盤石な路線を
 つくっておくのだ」
 後継の師子が、
 いよいよ躍り出ている。
 宗教革命を受け継ぎ、
 民衆仏法の新時代を築く
 「本門の青年」の活躍こそ、
 新時代の希望である。

 前を見よ!
 我らの
 開拓すべき天地は広い。
 君よ、
 今日の責務を
 決然と果たしながら、
 今日より明日へ、
 日々新たに、
 また、日に日に新たに
 前進し抜いていくのだ!
 その執念の行動に、
 栄光の勝利があり、
 幸福がある。

 一日の勝利は、
 まず朝の出発で決まる。
 断じて
 「朝に勝つ」ことだ。
 すがすがしい心で、
 生き生きと
 仕事を開始することだ。
 ここに、
 連続勝利の
 秘訣があることを
 忘れてはならない。

 「新しい年がめぐってきて
 新しいわれらを
 発見するのです」――と、
 大文豪ゲーテは歌った。
 万年にわたる
 広宣流布の未来を開く
 重要な一年だ。
 その「新しい年」に
 ふさわしい
 「新しい自分自身」の
 人間革命の劇が、
 いよいよ始まったのだ。
 「自分には、
 これほどの力が
 あったのか!」と、
 自らも目を瞠るような、
 生まれ変わった
 みずみずしい息吹で
 戦おうではないか!

 ※ゲーテの言葉は『ゲーテ詩集』星野慎一訳(潮出版社)。

 太陽と   共に前進    創価かな

新年勤行会に贈られた池田先生の和歌 2020年1月4日

 太陽と
  共に前進
   創価かな
  虹のスクラム
   凱歌の天空へ
 

 みな使命
  みな最極の
   人華なり
  愛する国土に
   功徳の万花を
 

 わが生命
  妙法蓮華の
   大輪と
  咲きゆけ勝ちゆけ
   濁世 照らして

雲海を突き抜け、天高くそびえる堂々たる雄姿――東京・信濃町の学会本部別館から、太陽の光に照らされた白雪の富士山を望む。さあ、我らも王者の山のごとく、いかなる試練の烈風にも揺るがぬ信念の人生を歩もう!(1日)
雲海を突き抜け、天高くそびえる堂々たる雄姿――東京・信濃町の学会本部別館から、太陽の光に照らされた白雪の富士山を望む。さあ、我らも王者の山のごとく、いかなる試練の烈風にも揺るがぬ信念の人生を歩もう!(1日)

創価学会創立90周年・第3代会長就任60周年――「前進・人材の年」が開幕 2020年1月1日

創価学会創立90周年・第3代会長就任60周年――「前進・人材の年」が開幕 2020年1月1日

01:00

 さあ、新たな広宣流布の大海原へ出航! 師と共に、創価家族と共に!――2020年「前進・人材の年」が晴れ晴れと開幕した。
 
 池田大作先生は全同志の健康と勝利、全国・全世界の安穏と繁栄を祈念し、「新年の歌」を詠み贈った。
 
 本年は、5月3日に「池田先生の第3代会長就任60周年」、11月18日に「創価学会創立90周年」を迎えるなど、幾重にも意義深き節目を刻む。
 
 この一年、「皆が前進! 皆が人材!」の心意気で、一人一人が“わが人間革命”の勝利劇をつづりゆこう!

上空から創価学会総本部のある東京・信濃町の一帯を望む。中央左には、本年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場であり、全世界からアスリートが集う国立競技場の姿が。その右下には、世界広布の中心道場たる広宣流布大誓堂がそびえる(階段状の建物)。右へ目を移すと、昨年11月に開館したばかりの言論城「創価学会 世界聖教会館」が立つ。かなたに王者の富士を仰ぎながら、「前進・人材の年」を堂々と出発!
上空から創価学会総本部のある東京・信濃町の一帯を望む。中央左には、本年の東京オリンピックパラリンピックのメイン会場であり、全世界からアスリートが集う国立競技場の姿が。その右下には、世界広布の中心道場たる広宣流布大誓堂がそびえる(階段状の建物)。右へ目を移すと、昨年11月に開館したばかりの言論城「創価学会 世界聖教会館」が立つ。かなたに王者の富士を仰ぎながら、「前進・人材の年」を堂々と出発!
世界広布60周年を祝賀 今秋、世界青年平和文化総会を開催

 創価学会の創立から90星霜――。
 
 今、日蓮仏法の人間主義の哲理は192カ国・地域へと広がり、人類を赫々と照らす。そして日本中、世界中で広布後継の大道を歩む創価の青年が、二陣三陣と躍り出ている。
 
 これもひとえに創価三代の会長、なかんずく池田先生の間断なき不惜身命の闘争あればこそである。
 
 10月2日には、世界広布のため、先生が初の海外訪問へ出発してから60周年を迎える。
 
 この佳節を祝賀して「世界青年平和文化総会」が今秋、開かれることが決定した。全世界から地涌の若人の代表が日本に集い、創立100周年に向けて、「前進また前進」の号砲を鳴らす。

各地で創価青年大会も

 また本年、列島各地で「創価青年大会」を盛大に行う。
 
 さらに男子部は“全国男幹”の愛称で呼ばれる「新時代全国男子部幹部会」を各地で開き、女子部は今月を中心に、本部・支部単位で「ロマン総会」をにぎやかに開催。学生部は3月に「全国学生部大会」を実施し、英知の陣列を強固にする。
 
 世界の各国・地域でも、本年、さまざまな記念行事や交流行事が行われる予定である。
 
 池田門下の青年を先頭に、生命尊厳と平和の地球を築きゆくロマンに燃えて、希望の大航海を開始したい。

友好深める年末年始に 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2019年12月29日

友好深める年末年始に 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」 2019年12月29日

 【写真の説明】天を突いて真っすぐに伸びる木々。黄金色の葉が輝いていた――。
 今月10日、池田大作先生が、東京・信濃町の総本部にほど近い、外苑東通りイチョウ並木(港区内)をカメラに収めた。
 イチョウは、現存する植物の中で最も古いものの一つ。太古の昔から姿を大きく変えることなく、種として存続しているため、「生きた化石」とも呼ばれている。また、中国には樹齢2800年といわれるイチョウもあるほど、生命力が強い。
 慌ただしい年末年始。無事故第一で、体調管理に留意しながら、生き生きと日々を送っていこう。そして家族や親戚を大切に、近隣、友人など、お世話になった方々と変わらぬ友情を育んでいきたい。

池田先生の言葉

 この一年間の
 大勝利、大前進、
 本当にありがとう!
 ご苦労さまでした!
 みんな、本当に、
 よく戦った。よく勝った。
 多くの団体や組織が、
 後退を余儀なくされている
 厳しい時代である。
 その中にあって、
 わが創価学会は、
 隆々と勢いを増し、
 前進また前進を
 続けてきた。
 見事な大勝利であった。

 広宣流布といっても、
 どれだけ
 悩める人々と会い、
 その中へ飛び込んで
 いくかにかかっている。
 一切衆生
 幸福のための仏法である。
 ゆえに徹して
 一人を大切にするのだ。
 励ますのだ。

 隣近所の人々との友情を
 大切にしていくことだ。
 地域に友人をつくり、
 友好の輪を
 広げていくことだ。
 それが人生を豊かにし、
 大きな価値を
 創造する力となる。

 一念が変われば、
 自分が変わる。
 自分が変われば、
 環境が変わり、
 世界が変わる。
 この大変革の
 根源をたずねれば、
 御本尊に向かう自分自身の
 「祈り」の革命的深化に
 ほかならない。
 祈りは、いわゆる
 「おすがり信仰」とは
 全く違うのだ。
 祈りとは本来、
 「誓願」である。
 「必ずこうする」という
 誓いであり、
 明確な目標に
 挑み立つ宣言である。

 年末年始は、
 多忙な日々が続く。
 どうか、ご家庭を大切に、
 お体を大切にされながら、
 最高に充実した、
 最高に楽しい、
 よいお正月を
 迎えていただきたい。

〈座談会〉さあ、勢いよく「前進・人材の年」へ! 異体同心の団結で拡大の実証 2019年12月26日

〈座談会〉さあ、勢いよく「前進・人材の年」へ! 異体同心の団結で拡大の実証 2019年12月26日

  • 今日の自分は、昨日の自分に非ず
  • 〈出席者〉原田会長、長谷川理事長、永石婦人部長、西方男子部長、大串女子部長

 長谷川 いよいよ、学会創立90周年、池田先生の第3代会長就任60周年の2020年を迎えます。私たちは、明年の「5・3」「11・18」を目指し、大いに弘教・拡大に挑戦していきたいと思います。
 
 原田 御書に「大願とは法華弘通なり」(736ページ)と仰せです。弘教・拡大が日蓮仏法の魂です。「学会は、永遠に折伏の団体である」「折伏をする人こそが一番、偉く尊い」――これが、根本の精神です。
 
 西方 池田先生は青年時代から、折伏の師匠である戸田先生のもと、「前進また前進」の闘争で広布開拓の道を開いてきました。
 
 原田 「伝統の2月」の淵源となる東京・蒲田支部での闘争では、1カ月に201世帯という前代未聞の折伏を成し遂げました。低迷していた文京支部を、月に431世帯の拡大ができる第1級の支部へと発展もさせました。“この支部が前進しなければ、学会は前進しない”との確信に立ち、歴史を築いたのです。
 
 長谷川 私たちも「私の前進なくして、世界広布の前進はない」との強い自覚で、生き生きと広布に奔走していきたいと思います。
 
 西方 先生はまた、男子部の第1部隊長として、1年3カ月で当初の4倍の部員数へと拡大されました。札幌でも日本一の夏季地方折伏を成し遂げ、山口でも延べ22日間で世帯数を約10倍に発展させています。
 
 永石 こうした闘争があって、戸田先生の願業である75万世帯の弘教は結実したのです。
 
 大串 さらに池田先生は、第3代会長に就任されて以来、「君は世界に征くんだ」との戸田先生の遺言を胸に、各国への仏法流布を進められました。192カ国・地域の創価の連帯は今、社会の希望です。
 
 長谷川 御聖訓に、「よき師」と「よき弟子」と「よき法」の三つが合致して、広宣流布の祈りは成就するのであると明言されています(御書550ページ)。池田先生の闘争は、広布の師匠と心を合わせ、「法華経の兵法」で戦うならば、断じて勝てることを教えてくださっています。
 
 原田 私たちは、池田門下の誇りも高く、異体同心の団結で、弘教・拡大の結果を示し、「5・3」「11・18」を祝賀していこうではないですか。

韓国と日本の青年部による交流研修会。「折伏の前進」「人材の拡大」は世界同時進行――さあ、世界の友と一緒に、学会創立90周年の峰を登りゆこう!
韓国と日本の青年部による交流研修会。「折伏の前進」「人材の拡大」は世界同時進行――さあ、世界の友と一緒に、学会創立90周年の峰を登りゆこう!
訪問・激励に歩く

 長谷川 明年は「折伏」とともに、「人材の拡大」に総力を挙げて取り組む年です。
 
 永石 先生は、いついかなる地でも、サーチライトで照らすように、人を見つけ、励ましを送ってきました。「皆が人材」との大確信で、真心の激励に徹し、人材を育んできたのです。
 
 原田 新しい人材こそ広布伸展の力です。昨年から「励まし週間」を設定し、「訪問・激励」を強化してきました。「人材の年」の明年こそ、リーダー率先で、その真価を発揮していきたいと思います。
 
 長谷川 「励まし週間」は、「座談会の週」や「本部幹部会(中継行事)」の前に設定されています。その意味で、「人材拡大」の一つの指標は、「座談会・本幹中継の参加者が増えたかどうか」です。
 
 原田 リーダーの活動の眼目は、一人と会うことです。“会合と個人指導の比率を2対8に”との指針を実践し、「創立90周年は、自分史上最高の訪問・激励ができた。その結果、盤石な人材の城が築けた」との歴史を、皆で打ち立てていきましょう。
 
 永石 明年1月を中心に女子部の「ロマン総会」が開催されます。次代を担う華陽の乙女たちの成長を心から応援していきます。
 
 大串 ありがとうございます。各地の新記録となる人材の拡大を成し遂げ、池田先生の誕生月である1月を祝賀してまいります。

週刊誌で連載開始

 西方 朝日新聞出版のニュース週刊誌「AERA」誌上で、作家の佐藤優氏による連載「池田大作研究――世界宗教への道を追う」が開始されました。
 
 大串 佐藤氏は、池田先生について知ることが、「現下の日本と世界を知る上できわめて重要」「間違いなく、私にとっての大きな仕事になる」と語り、毎週4ページを書き下ろす予定だと聞いています。
 
 永石 発売中の合併増大号に掲載された第1回には、「創価学会では、師匠と弟子が一体であるという師弟不二が重要な概念になる。すべての創価学会員が池田と師弟不二の関係で結びついている。これが創価学会の強さだ」(敬称略)と、学会の師弟についても触れられています。
 
 大串 連載は、来年の8月まで続くそうですね。人気作家による有名雑誌での連載が楽しみです。
 
 永石 うれしいことに、1月2・3日には、創価大学が3年ぶり3度目となる箱根駅伝に出場します。
 
 西方 先日の壮行会で主将は、“応援してくれる方々の思いをたすきに込めて走ります”と決意を述べていました。例年、厳しい冷え込みとなりますので、無理をせず、テレビ等で観戦し、エールを送っていきたいと思います。
 
 原田 ともあれ、私たちは楽しく「新年勤行会」に集い合い、「折伏の前進」「人材の拡大」のスタートダッシュを切っていきたい。
 
 長谷川 先生は、過日の全国最高協議会へのメッセージの中で、創立100周年へのこの10年、眼前の戦いを一つ一つ勝ち越え、「末法の令法久住」を盤石に決していきたいと強調されました。
 
 原田 大事な10年の始まりです。「今日の学会は、昨日の学会に非ず」との指針のままに、「今日の自分は、昨日の自分に非ず」の決意で、新たな前進を開始していきましょう!

小説「新・人間革命」に学ぶ 第14巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2019年12月25日

小説「新・人間革命」に学ぶ 第14巻 解説編 池田主任副会長の紙上講座 2019年12月25日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第14巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。

紙上講座 池田主任副会長
03:59
ポイント
①渓流から大河へ
②主体者の自覚
③師と同じ心で

 『新・人間革命』執筆開始より10周年となった2003年(平成15年)8月、池田先生は「起稿10周年」と題する随筆を発表しました。その中で、執筆に対する思いを記されています。

 「私の胸には、言論の闘争の決意がたぎっている。広宣流布の大道は、今つくるしかないからだ」

 「『真実』を明確に書き残すことが、未来の人びとの明鏡となる」

 それから15年が経過した昨年8月、先生は全30巻の執筆を終えられ、私たちに「世界広布の大道」を示してくださったのです。

 この随筆は、第14巻「大河」の章の連載中に書かれたものでした。同章は、1970年(昭和45年)5月3日、山本伸一の第3代会長就任10周年となる本部総会の場面から始まります。

 その1カ月前に行われた戸田先生の十三回忌法要で、伸一は、学会が750万世帯を達成したことを述べ、「広宣流布の流れは、遂に渓流より大河の流れとなりました」(287ページ)と、恩師に報告します。「広宣流布の波が広がり、人間主義に目覚めた民衆勢力が台頭し、時代の転換点を迎えた」(288ページ)のです。

 この転換期に起こったのが、「言論・出版問題」でした。学会批判書を書いた著者に対して、学会の幹部が事実に基づく執筆を要望したことを、言論弾圧として騒ぎ立てたのです。それを口実に、政党や宗教勢力が、学会攻撃の集中砲火を浴びせました。

 「言論・出版問題」は、「伸一の会長就任以来、初めての大試練」(293ページ)でした。しかし、伸一は「最も理想的な社会の模範となる創価学会をつくろう」(同ページ)という決意を一段と深くします。障魔の嵐を、「未来への新たな大発展の飛躍台」(同ページ)としていきました。

 試練に敢然と立ち向かう勇気を奮い起こす時、広布を阻む逆風を、追い風に転じることができます。「烈風に勇み立つ」精神で前進し続けてきたところに、「学会の強さがある」(253ページ)のです。

流れそれ自体

 「言論・出版問題」の渦中から、21世紀の広布の未来を見据え、伸一は布石を打っていきます。その一つが、時代に即応した組織改革です。

 70年5月3日の本部総会で、伸一は「広宣流布は、流れの到達点ではなく、流れそれ自体であり、生きた仏法の、社会への脈動」(298ページ)と語り、何か終着点があるかのような広宣流布観を一変させます。

 そして、「社会に信頼され、親しまれる学会」(同ページ)をモットーに前進することを呼び掛け、「地域社会と密接なつながりをもち、社会に大きく貢献していく意味」(305ページ)から、地域を基盤としたブロック組織へ移行することを発表します。それまで、学会の組織は、居住地と関係なく、入会した会員は紹介者と同じ組織に所属し、活動することを主軸としてきました。その分、団結は強いものがありました。

 それに比べて、ブロック組織は、「人間関係を深めることの難しさ」(306ページ)が最大の課題でした。しかし、伸一は、現代社会が抱える人間の孤立化という問題を乗り越えるために、「学会員が中心になって、地域社会に、人間と人間の、強い連帯のネットワークをつくり上げなければならない」(同ページ)と考えていました。ブロック組織への移行は、地域に開かれた学会の組織を築くためであり、社会の未来を開くためでもあったのです。

 この新しい段階に当たって、伸一が憂慮したのは、皆の一念の改革がなされていくか、ということでした。その「一念の改革」とは、「一人ひとりが『自分こそが学会の命運を担い、広宣流布を推進する主体者である』との、自覚に立つこと」(310ページ)であり、「会長の伸一と、同じ決意、同じ責任感に立つこと」(311ページ)です。

 この「主体者の自覚」にこそ、「すべての活動の成否も、勝敗の決め手もある」(同ページ)からです。

太陽に照らされた緑の庭園。その向こうに、青い海が広がる。池田先生が和歌山・白浜町の関西研修道場でシャッターを切った(1984年6月)。この訪問の折、先生は和歌山駅で少年少女合唱団のメンバーを激励。「はればれと 天の歌声 父祈る」と詠んだ
太陽に照らされた緑の庭園。その向こうに、青い海が広がる。池田先生が和歌山・白浜町の関西研修道場でシャッターを切った(1984年6月)。この訪問の折、先生は和歌山駅で少年少女合唱団のメンバーを激励。「はればれと 天の歌声 父祈る」と詠んだ
ありのままを語る

 烈風が吹き荒れる中、伸一が打ったもう一つの布石が人材育成――特に未来部への激励です。

 悪を許さぬ、純粋な正義の心が失われてしまえば、「『大河の時代』は、濁流の時代」(293ページ)と化してしまいます。ゆえに、彼は、若い世代の中核となる人材育成に精魂を注ぎます。

 箱根の研修所で行われた、未来部の代表メンバーの研修会で、伸一はこの研修所が、学会の歴史の中で、どんな意味を持っているかを語ります。

 参加者の中には、小学生もいました。しかし、「広布後継の指導者になる使命をもった人」(322ページ)として、学会の真実の歴史を、ありのままに語っていきます。

 さらに、皆の質問に答え、人間としていかに生きるかを訴えます。「こちらが真剣に語ったことは、しっかり受け止められるはずである」(332ページ)と信じて、メンバーの胸中に成長の種子を蒔いていきました。

 その後も、伸一の未来部への励ましは続きます。ある時には、「君が山本伸一なんだ。君が会長なんだ。私の分身なんだ。自分がいる限り大丈夫だと言えるようになっていきなさい」(352ページ)と万感の期待を語っています。

 メンバーは今、社会のさまざまな分野で活躍しています。その「弟子の勝利」(353ページ)は、伸一の「厳たる勝利の証」(同ページ)でもありました。

 池田先生は自らの手で未来部員を本物の人材へと育て、現在の世界広布新時代を開かれました。師匠の闘争を受け継ぎ、次の50年、100年の広布の未来を開く人材を育てていくのは、私たちです。

 「烈風」の章に、1969年(昭和44年)12月、伸一が高熱を押して出席した、和歌山の幹部会のことがつづられています。その50周年の佳節を記念する和歌山の大会が先日、50年前と同じ会場で開催されました。

 この大会で、未来部のメンバーが合唱を披露しました。大切なのは、当日へ向け、練習会を重ねる中で、家族や同志が未来部のメンバーに、和歌山広布史などを通して、信心の大切さ、師匠を持つ人生の素晴らしさを語っていったということです。

 明「前進・人材の年」は、「会長就任60周年」「学会創立90周年」と幾重にも意義を刻む年です。先日、先生は「(学会創立)100周年へ向かう10年は、人類にとって重大な分岐点となる10年である」と述べられました。師匠と同じ心で、次代の学会を担う人材をはぐくみ、万代にわたる広布の流れを開いていこうではありませんか。

音楽隊・鼓笛隊合同演奏会で、池田先生が鼓笛隊のメンバーを励ます。「使命」の章では鼓笛隊の歴史が記されている(2002年11月17日、創価大学池田記念講堂で)
音楽隊・鼓笛隊合同演奏会で、池田先生が鼓笛隊のメンバーを励ます。「使命」の章では鼓笛隊の歴史が記されている(2002年11月17日、創価大学池田記念講堂で)
名言集
●宗教の生命

 布教は、宗教の生命であります。布教なき宗教は、もはや“死せる宗教”であります。(「智勇」の章、8ページ)

●生の歓喜と躍動

 平和とは、単に戦争がない状態をいうのではなく、人と人とが信頼に結ばれ、生の歓喜と躍動、希望に満ちあふれていなければならない。(「使命」の章、127ページ)

●人間のため

 「広宣流布」とは、文芸も、教育も、政治も、すべてを人間のためのものとして蘇らせる、生命復興の戦いなのである。(「使命」の章、175ページ)

●強い決意と真剣さ

 大ざっぱであったり、漏れがあるというのは、全責任を担って立つ真剣さの欠如といってよい。絶対に失敗は許されないとの強い決意をもち、真剣であれば、自ずから緻密になるものだ。(「烈風」の章、192ページ)

●前進の積み重ね

 歴史的な壮挙を成し遂げるといっても、その一歩一歩は、決して華やかなものではない。むしろ地道な、誰にも気づかれない作業である場合がほとんどです。だが、その前進の積み重ねが、時代を転換していく力なんです。(「大河」の章、342ページ)

 

小説「新・人間革命」に学ぶ 御書編 第14巻 2019年12月18日

小説「新・人間革命」に学ぶ 御書編 第14巻 2019年12月18日

  • 連載〈世界広布の大道〉
イラスト・間瀬健治
イラスト・間瀬健治

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第14巻の「御書編」。小説で引用された御書、コラム「ここにフォーカス」を紹介する。挿絵は内田健一郎

難は生命を鍛える研磨剤
御文

 我並びに我が弟子・諸難ありとも疑う心なくば自然に仏界にいたるべし、天の加護なき事を疑はざれ現世の安穏ならざる事をなげかざれ、我が弟子に朝夕教えしかども・疑いを・をこして皆すてけんつたなき者のならひは約束せし事を・まことの時はわするるなるべし(御書234ページ、開目抄)

通解

 私と私の弟子は、多くの難があろうとも、疑う心を起こさなければ、自然に仏界に至るであろう。諸天の加護がないからと、疑ってはならない。現世が安穏でないことを嘆いてはならない。私の弟子に朝に夕に教えてきたが、難にあって疑いを起こし、みな退転してしまったようである。愚かな者の習いは、約束したことをまことの時には忘れるのである。

小説の場面から

 <1969年(昭和44年)12月、山本伸一は大阪から三重の松阪会館へ。「開目抄」の一節を拝して指導した>

 「『いざという時』にどうするか。実は、その時にこそ、日ごろの信心が表れるんです。(中略)日々、忍耐強く、黙々と、水の流れるように信心に励むことです。自分の生命を、磨き、鍛え抜いて、信心への絶対の確信を培っておくことです。それができてこそ、大事な時に、大きな力が出せるんです」
 一人ひとりの決意を促すように、伸一は語っていった。
 「では、『いざという時』とは、どういう時をいうのか――。個人にとっては、自分や家族が大病にかかったとか、不慮の事故、事業の倒産に遭遇するなどといった、一大事の時がそうでしょう。これは、自分の過去遠遠劫からの宿業が出たことであり、まさに宿命転換のチャンスなんです。
 また、信心を反対されたりすることも、『いざという時』です。さらに、学会が法難を受けるなど、大変な事態に陥った時です。
 幸福を築くには、何があっても崩れることのない、金剛不壊のわが生命をつくり、輝かせていく以外にない。そして、難こそが、生命を磨き鍛える最高の研磨剤なんです。
 したがって、大難の時こそ、自身の宿命転換、境涯革命の絶好の時といえる。ゆえに、勇んで難に挑む、勇気がなければならない。臆病であっては絶対になりません」(「烈風」の章、228~229ページ)

聖教の発展を心に期して
御文

 仏は文字に依って衆生を度し給うなり(御書153ページ、蓮盛抄)

通解

 仏は文字によって衆生を救われるのである。

小説の場面から

 伸一は、会長に就任してからの、この十年余りの間、いつも、聖教新聞のことが頭から離れなかった。
 彼の一日は、妻の峯子とともに、配達員等の無事故を懸命に祈り、インクの匂いも新しい、届いたばかりの新聞に、くまなく目を通すことから始まるのである。
 伸一は、朝、聖教新聞を目にすると、すぐに翌日の紙面のことを考えた。
 “明日の一面のトップはなんだろうか”“社説は何を論ずるのだろうか”“どんな記事があるのだろうか”……。
 戸田城聖が魂を注いでつくり上げた新聞を大発展させていくことが、自分の責任であり、義務であると、彼は決めていたのである。
 だから、率直に、聖教新聞についてアドバイスをすることもあった。また、編集部から寄稿の要請があれば、どんなに多忙ななかでも、懸命に原稿を書いた。(中略)
 日蓮大聖人は、「仏は文字に依って衆生を度し給うなり」と仰せだが、仏法の哲理を、人びとに正しく伝え抜いていくうえでも、聖教新聞の担う役割は極めて大きい。
 さらに、現代は情報が氾濫しており、ともすれば、その情報の洪水に押し流されて、自らがものを考え、自身の価値観を確立できないでいることが少なくない。
 それだけに、情報を見極める哲学の“眼”をもつことが極めて重要になる。そのための新聞が、聖教新聞であるといってよい。(「大河」の章、365~366ページ)

ここにフォーカス/学会の強さの源泉

 1969年(昭和44年)から70年にかけて、学会は激しい非難にさらされました。学会批判書の著者に、事実に基づいた執筆を要望したことなどが、言論弾圧とされたのです。
 評論家の田原総一朗氏は、著書『創価学会』(毎日新聞出版)の中で、「『言論・出版問題』と呼ばれるようになるこの事件で、創価学会も大きなダメージを受け、間違いなく衰退すると誰もが確信した」「私もその一人である」と記しています。
 氏がそう予測したほど、学会攻撃は、すさまじいものがありました。しかし、その烈風を勝ち越え、学会はさらに発展を遂げていきます。その要因を探ろうと、「言論・出版問題」の後、氏は多くの婦人部員を取材します。すると皆、こう語ったと述べています。「私たち一人ひとりが池田先生とつながっている」。この「師弟の絆」こそ、学会の強さの源泉にほかなりません。
 「言論・出版問題」の渦中、伸一は若き人材を薫陶していきます。彼は記者会見で宣言します。「学会がどうなるか、二十一世紀を見てください。社会に大きく貢献する人材が必ず陸続と育つでしょう。その時が、私の勝負です!」
 21世紀の今、伸一が手塩にかけて育成した若人は、各界の第一人者として活躍しています。その社会貢献の人材は、二陣、三陣と続き、世界を潤す大河となっています。