〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 解説編 2019年1月30日

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 解説編 2019年1月30日

紙上講座 池田主任副会長
〈ポイント〉
①不屈の信心
②供養の精神
③成長の種子
ドイツの景勝・ライン川(池田先生撮影。1983年6月、ザンクト・ゴアールで)。先生の訪独は7回。第4巻の「大光」の章では、初訪問の様子がつづられている

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第4巻の「解説編」。池田博正主任副会長の紙上講座とともに、同巻につづられた珠玉の名言を紹介する。次回は、第5巻の「基礎資料編」を2月6日付に掲載予定。(第4巻の「基礎資料編」は1月9日付、「名場面編」は16日付、「御書編」は23日付に掲載)

 第4巻では、山本伸一創価学会の第3代会長に就任した翌年となる1961年(昭和36年)の模様が描かれています。学会はこの年の6月、年間目標であった200万世帯を達成。まさに旭日の勢いで、広布が大きく伸展した時でした。
 その一方で忘れてはならないことが二つあります。
 一つ目は、「大阪事件」の裁判が山場を迎えていたことです。57年(同32年)7月3日、伸一は事実無根の選挙違反の容疑で逮捕され、同年10月から裁判が始まりました。
 ところが、弁護士から「有罪は覚悟していただきたい」(40ページ)と言われるほど、裁判は厳しい状況でした。こうした中で、伸一は広布の指揮を執っていたのです。
 もう一つが「村八分事件」です。
 「春嵐」の章では、当時、各地で起きていた学会員への不当な村八分について描かれています。
 事件の原因はいずれも、学会員が神社などへの行事の参加や寄付を拒否した、というものでした。しかし、その本質は、学会の布教によって、寺院や神社の関係者が、自身の立場を脅かされるのではないか、という“恐れ”を抱いたことに起因するものでした。
 村八分事件の報告を受けた伸一は、「長い人生から見れば、そんなことは一瞬です。むしろ、信心の最高の思い出になります」(71ページ)と語ります。その真意は「同志にとって大切なことは、何があっても、決して退くことのない、不屈の信心に立つことである。そこにこそ、永遠に、栄光の道があるからだ」(同)との思いからでした。襲い掛かってきた大難を、“強き信仰の人に育てていくためのステップ”として捉えていたのです。
 私たちは「不屈の信心」を心に刻み、前進したいと思います。

映像制作の原点

 第4巻の「凱旋」の章では、供養の精神について記されています。見返りを求めず、法のために喜んで財物を施す行為を、「喜捨」といいます。
 この「喜捨」について、須達長者のエピソードを通して、「純真な信仰から生まれた、この喜捨の心こそ、まことの供養であり、そこに偉大なる福徳の源泉がある」(131ページ)、そして「喜捨の心は、境涯を高め、無量の功徳をもたらし、それがまた、信心の確信を深める。そこに、幸福の軌道を確立する、仏法の方程式がある」(133ページ)と記されています。
 当時、多くの同志は経済苦や病苦と格闘していました。会館の建設などを進める段階に来ていましたが、供養を呼び掛けることに、伸一はためらいを覚えます。
 しかし、彼は御書を繙いて思索を重ね、供養の門戸を全同志に開くことを決断します。そして、こう誓います。
 「たとえ、今は貧しくとも、未来は必ずや大長者となることは間違いない。また、断じてそうさせていくのだ。私は、仏を敬うように、この人びとに接し、その真心を讃え、励ましていかねばならない」(138ページ)
 この一文に、学会同志の供養に対する池田先生の心が表れているのではないでしょうか。この「心」に、学会の供養の原点があります。
 また「青葉」の章には、学会の映像制作について書かれています。伸一は、映像の可能性に着目し、記録映画の製作を提言します。そして担当者に対して、「近いうちに、総天然色(カラー)のニュース映画も作っていこう」「将来は、同志の体験談をもとにした劇映画やドキュメンタリーも作るようにしよう」(196ページ)と、未来への構想を語っています。
 これは、現在の学会の映像配信サービス「SOKAチャンネルVOD(ビデオ・オン・デマンド)」の原形ともいえます。
 この時の伸一の英断が、映像視聴を通した現在の学会の運動へとつながっていったのです。

人材育成の姿勢

 伸一は会長就任2年目のテーマとして青年部の育成を掲げました。「青葉」の章では、青年が成長する要件を挙げています。
 ここでは3点述べたい。
 1点目は、自身の使命を自覚することです。伸一は一部員であった頃から、戸田先生の構想を実現するために、学会の全責任を持とうとしてきました。「弟子として、師の心をわが心とし、学会のいっさいを自己の責任として考えてきた」「この見えざる無形の一念こそが、成長の種子といってよい」(156ページ)と書かれています。
 2点目は、師匠を定めることです。同章で、九州男子部のリーダーの姿を通して、こう記されています。「彼の行動は、師と仰ぐ伸一を基準にし、伸一の側に立って物事を考えていた」(162ページ)。“師と共に”との一念が成長の原動力となるのです。
 3点目は、両立に挑むということです。同章で、伸一は仕事と学会活動の両立に悩む青年に、「青年時代に、仕事も、学会活動もやりきったといえる戦いをすべきです。それが人生の基盤になるからです」(169ページ)と語ります。祈りを根本に、全てをやり切ると決めていくことから、勝利は開かれることを教えています。
 こうした青年の成長の要件とともに、第4巻では「青年を育成する側」の姿勢についても言及しています。たとえば、「立正安国」の章では、伸一が青年に触発を与え続けるために心掛けていたことが記されています。
 第一は「自分が、自身の原点であり、規範である師の戸田を、永遠に見失わないこと」(243ページ)。
 第二は「求道と挑戦の心を忘れることなく、自己教育に徹し、常に自分を磨き、高め、成長させていく」(同)。
 第三に「私心を捨て、人類の幸福のために生き抜く自らの姿を通して、青年の魂を触発していこう」(同)ということです。
 この心を、人材育成に携わる私たちも受け継いでいきたいと思います。
 ◇ 
 「青葉」の章では、61年6月に急逝した九州の婦人部長のことが紹介されています。彼女にはヨーロッパで仏法を弘めたいという夢がありました。
 伸一は同年10月、初の欧州指導の際、その子どもたちに絵皿の土産を買いました。その折、同行の友に、こう語っています。「皆、ともすれば、亡くなった人のことは、忘れてしまう。しかし、私は、一緒に戦い、苦労を分かち合ってくれた同志のことを、決して、忘れるわけにはいかないんだ。しかも、後に残された家族がいれば、なおさらだよ。私は、そうした家族を、生涯、見守っていきたいと思っている」(318ページ)と。
 学会は“真心の励ましの世界”です。この先生の思いを胸に、希望の連帯を広げていこうではありませんか。

名言集

●礼儀正しい行動
 仏法は最高の道理であります。その仏法を信奉する私たちは、常に、礼儀正しい行動を心がけていかなくてはなりません。(「春嵐」の章、8ページ)

●未来を開く一念
 青年にとって大事なことは、どういう立場、どういう境遇にあろうが、自らを卑下しないことです。何があっても、楽しみながら、自身の無限の可能性を開いていくのが信心だからです。
 もし、自分なんかだめなんだと思えば、その瞬間から、自身の可能性を、自ら摘み取ってしまうことになる。未来をどう開くかの鍵は、すべて、現在のわが一念にある。(「凱旋」の章、81ページ)

●寸暇を見つけて祈る
 苦しいな、辛いなと思ったら、寸暇を見つけて祈ることです。祈れば、挑戦の力が湧いてくるし、必ず事態を開くことができます。そして、やがては、自由自在に、広宣流布のため、活動に励める境涯になっていきます。(「青葉」の章、171ページ)

●組織の建設は心遣いに
 見事な組織をつくっていくといっても、人間としての思いやりであり、心遣いがすべてだ。そこに人は心を打たれ、頑張ろうという気持ちにもなる。(「立正安国」の章、262ページ)

●戦う時は「今」
 人生は長いようで短い。ましてや、青年時代は、あっという間に過ぎていってしまう。今、学会は、未来に向かって、大飛躍をしようとしている。広宣流布の大闘争の「時」が来ているんだ。時は「今」だよ。(「大光」の章、316ページ)

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

女子部・白蓮グループ指導集が完成 池田先生が「発刊に寄せて」贈る 2019年1月29日

女子部・白蓮グループ指導集が完成 池田先生が「発刊に寄せて」贈る 2019年1月29日

友情と連帯を大らかに広げる「勝利の女王」と輝け!
団結固く進む総埼玉白蓮グループの入卒式(27日、埼玉文化会館で)

 本年は、「女子部 永遠の五指針」発表から10周年。この佳節を記念し、華陽姉妹の中核・白蓮グループの指導集『勝利の女王 白蓮グループ』が発刊された。ここでは、「大らかに『友情と連帯』の勝利を!」と題する池田先生の「発刊に寄せて」を掲載する。指導集には、先生が贈ったメッセージや長編詩、随筆をはじめ、テーマごとにまとめた折々の指針や同グループの歴史も収録。順次、各地の白蓮グループのメンバーに配布される。非売品。

 常に友の幸福を祈れる白蓮の乙女は
  無限に心晴れわたる「幸福の女王」なり
 常に誓願に生き抜く白蓮の乙女は
  永遠に妙法と一体の「勝利の女王」なり
  
 妙法で結ばれた、うるわしき世界は、「清涼の池」に譬えられます。清らかにして涼やかな池のように、集い来る友が、皆、身も心も潤され、喜び舞いゆくことができる、妙なる力をたたえているからです。
 私たちは、苦悩の渦巻く現実社会の只中で、生命の蘇生のオアシスを、一つ一つ創り開いてきました。
 この創価の「清涼の池」に馥郁と咲き誇る人華こそ、わが誉れの白蓮グループの皆さんなのであります。
 このたび、尊き皆さん方との心の交流をまとめた一書『勝利の女王 白蓮グループ』が発刊の運びとなりました。「勝利の女王」とは、私が皆さんに贈った“白蓮”の別名です。
 懐かしい広布共戦の歴史を振り返るとともに、水の流れるが如くたゆみない皆さんのけなげな前進をねぎらい讃え、ここでは「勝利」の意義について、3点にわたり、エールを送ります。
 ◇ 
 第一に、賢き「振る舞い」の勝利です。
 御本仏・日蓮大聖人は、「一代の肝心は法華経法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり、不軽菩薩の人を敬いしは・いかなる事ぞ教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ、穴賢・穴賢、賢きを人と云いはかなきを畜といふ」(御書1174ページ)と仰せになられました。
 この通りの「人を敬う」不軽品の修行を現代に映しているのが、学会活動です。
 思えば、行事の運営など責任ある実践を通して人材の育成をと私が提案し、女子部に「整理班」が発足したのは、1957年(昭和32年)の5月のことでした。これが白蓮グループの前身です。
 この2カ月後、創価学会に襲いかかった大阪事件の折にも、女子部の友が毅然と立ち上がってくれました。
 あの大阪大会が終了した直後、場内に入り切れず、屋外で豪雨に打たれながら参加してくれていた同志の方々を思い、私は階段を駆け上がり、窓の前に立ちました。
 満腔の感謝を込め、風邪などひかないようにと祈りつつ、不二の尊き同志たちへ、私は深く深く合掌を捧げたのです。
 そのかたわらには、真剣なまなざしで「負けたらあかん」と決意を光らせる関西女子部のリーダーたちがいました。
 翌年の「3・16」の広布後継の式典の折にも、乙女たちが受付や案内、清掃などに凜々しく献身し、無事故の運営に当たってくれました。
 恩師・戸田城聖先生は慈父のごとく感謝と激励の声を掛けられながら、それはそれは、うれしそうに見守っておられたのであります。
 東日本大震災の際には、自宅や家族が大きな被害を受けながら、避難所や仮設住宅から会館に駆けつけ、着任して、同志を笑顔で出迎え、見送ってくれた白蓮の乙女たちの英姿がありました。
 この仏に等しい振る舞いに、東北の創価家族たちは涙しながら、復興への負けじ魂を奮い起こしたのです。
 東京牧口記念会館の「白蓮之歌碑」には、「星は光りて」の歌詞とともに、こう刻まれています。
 「君が歓喜の微笑みは 友に希望を与えゆく」
 「君が正義の歌声は 友に勇気を呼び起こす」
 人の振る舞いという仏法の真髄を若き生命で体現しゆく青春は、何と気高い日々でしょうか。
 その伝統は、世界中で継承されてきました。
 現在、世界広布の太陽と輝く女性指導者たちの多くも、女子部時代に白蓮グループで薫陶を受けたことを、何よりの誇りとし、原点としています。
 第二に、朗らかな「心の財」の勝利です。
 御聖訓には、「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり、此の御文を御覧あらんよりは心の財をつませ給うべし」(御書1173ページ)とあります。
 現代は、ともすれば、「今が楽しければいい」「自分さえよければいい」といった軽薄な風潮に流されがちな時代かもしれません。その中にあって、皆さん方は、来る日も来る日も、自行化他の題目を唱え、生命尊厳の大哲学を学び、友のため、法のため、社会のために真摯に行動しています。
 皆さんの地道にして誠実な着任も、一回また一回、どれほど計り知れない「心の財」を積んでいるか。
 この福運が、長い一生の、いな永遠に崩れざる幸福の土台となっていくことは、御書と法華経の上から、絶対に間違いありません。日々、「人間革命」しゆく皆さん方の境涯の輝きは、家庭も地域も、職場も社会も、さらに世界までも照らしていきます。
 ロシアの法華経研究の母であるヴォロビヨヴァ=デシャトフスカヤ博士は語られていました。
 「人間が境涯を高めながら宇宙に存在することによって、宇宙自体も浄化されていくと、私は考えるのです」と。
 まさしく、「心の財」を積み上げてきた清浄無比なる白蓮の生命は、一切を清らかに、希望へ、幸福へ、和楽へ、勝利へとリードしていけるのです。
 ◇ 
 第三に、大らかな「友情と連帯」の勝利です。
 「御義口伝」には説かれております。
 「喜とは自他共に喜ぶ事なり」「自他共に智慧と慈悲と有るを喜とは云うなり」(御書761ページ)と。
 ここには、人類の知性と良識が夢見てきた、人間共和の理想が明確に示されているといってよいでしょう。
 分断に苦しむ世界は、いやまして、あらゆる差異を超え、万人を結び合う智慧と慈悲の対話、そして歓喜の連帯を渇仰しております。
 日蓮仏法では、万人が「妙法蓮華」の当体として、自らの生命を自分らしく最大に光輝あらしめ、幸福と平和の大道を共々に進みゆくことを教えてくださっています。
 その最先端のみずみずしい桜梅桃李のスクラムこそ、白蓮を中心とする華陽の皆さんです。
 ゆえに、縁する友も、また後輩たちも、みんな、最も尊貴な白蓮華の生命を具えた、かけがえのない眷属として、一人ひとりを大切に、大らかに包容し、励まして差し上げてください。そして、地球社会の希望と光る「友情と連帯」を、いよいよ楽しく伸びやかに勝ち広げていただきたいのであります。
 さあ、世界を結ぶ白蓮姉妹を先頭に、新たな「女性の世紀」「生命の世紀」「平和の世紀」の門が、広々と開かれています。
 どうか、皆が満天の星のように、仲良く賑やかに福智の青春を乱舞しながら、「人間革命」の清新なる勝利の光を思う存分、放っていってください。
 大切な大切な宝の白蓮グループの乙女たちに、一人ももれなく、健康あれ! 和楽あれ! 栄光あれ! と、私は妻と祈り続けてまいります。
  
 恐れなく
  光り 勝ちゆけ
   試練をも
  笑い飛ばして
    生命の讃歌を
  
 2019年1月2日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉12 「今」の決意と行動が勝利の因に――さあ私の二月闘争に前進! 2019年1月28日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉12 「今」の決意と行動が勝利の因に――さあ私の二月闘争に前進! 2019年1月28日

インフルエンザが流行 体調管理に万全を
〈出席者〉
原田会長
長谷川理事長
永石婦人部長
志賀男子部長
大串女子部長
いかなる苦難も「法華経の兵法」で必ず勝ち越える!――全国の同志が、本年の勝利を決する「二月闘争」に勢いよく出発(19日、大阪の代表幹部会で)

 大串 聖教新聞の創刊2万号に、全世界の同志、各界の識者から祝福の声が相次いでいますね。

 原田 振り返れば、1万号の発行は1990年(平成2年)の7月。そこから2万号までの道は、学会が邪宗門と決別し、創価宗教改革を進める歩みそのものでした。

 長谷川 その年の12月に、第2次宗門事件が勃発。翌91年(同3年)、先生は全国各地を駆け巡り、創価の正義を師子吼し、全力でメンバーを励まされました。さらに、国内外の識者とも対話を重ね、理解の輪と正義の連帯を広げていかれました。

 原田 そして、5月3日からは、待望の小説『人間革命』第11巻の連載が、権力の魔性との戦いを描いた「大阪」の章から再開されました。まさに聖教新聞と共に先生は正義の言論戦で悪を砕き、同志に勇気を送り、鼓舞されたのです。

 永石 先生は後に、当時を振り返り、「日蓮仏法の正義を、創価の師弟の魂を、声も惜しまず、叫んで、叫んで、叫び抜いた。この時、学会は、もはや勝っていた。もはや勝利していたのであった」とつづられています。

 長谷川 あれから二十数年。正義の学会はますます大発展しています。

 原田 2万5000号、3万号に向けて出発した聖教新聞と共に、さらなる世界広布へ進みゆくこの時、最重要なことは、私たちの「今」の決意であり行動です。御書に「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」(231ページ)と仰せの通りです。

 志賀 青年部は、この1月、各地で意気軒高に対話拡大に挑戦してきました。入卒式を迎えた男子部大学校1、2期生をはじめ、新たな人材を先頭に、さらなる前進をしてまいります。

 原田 いよいよ「伝統の2月」です。「創価勝利の年」の戦いは、二月闘争の拡大で“もはや勝っていた”――そう、後に言い切れるよう、勝利の因をともどもに築いていきたい。

師との共戦を誓う

 志賀 聖教新聞では、先生が各地の友を励まされたスピーチや指針を紹介する「勇気の旗高く」の連載が好評です。

 原田 一回一回が感動的な内容です。その地域の方々だけでなく、皆が、自身に、わが地域に頂いた指導として研さんしていきたい。その共戦の誓いが必ず、眼前の戦いへの原動力となっていくからです。

 大串 18日付、京都の友への指導では「行動しかない。『百の言葉』より『一つの行動』である。議論ばかりしていても、行動がなければ『机上の空論』である」との指導が紹介されていました。青年部も率先の行動で、拡大の突破口を開いていく決意です。

 志賀 千葉の友への指導には「どこそこで、あの友が苦しんでいる。かの地域で仲間が奮闘している。そう聞けば、わが事のように祈る! 自他共の完勝のため、そこへ駆けつけ、共に戦う! この熱烈な同志愛があればこそ、あらゆる大難を乗り越え、学会は勝利し、また勝利してきたのだ」(14日付)とありました。私たちは、苦境に奮闘する友を励まし、日本中で勇気の対話を大きく展開していきたいと思います。

 原田 今、この時、池田先生と共に、学会と共に、広宣流布に戦えることがどれほど素晴らしいことか。寒風に胸張り進んでいきたい。大切なことは、一人一人が自身の目標を明確にし、「私の二月闘争」に勝利していくことです。

降雪・凍結に注意

 大串 全国でインフルエンザの流行が広がり、すべての都道府県で警報レベルを超えています。さらに、この時季に流行するノロウイルスによる胃腸炎などにも注意が必要です。

 永石 一年の中でも、最も寒さが厳しくなる時季となりました。体調管理にはくれぐれも気を配っていきたいと思います。

 長谷川 とりわけ、夜は厳しく冷え込みます。体調の優れない方、ご高齢の方など、会合参加については無理のないよう、声を掛け合っていきましょう。

 永石 併せて、降雪や路面凍結による事故にも細心の注意をお願いします。特に、聖教新聞の配達員の皆さまは、ご注意ください。

 原田 寒い季節だからこそ、「無冠の友」の皆さまの健康・絶対無事故を一層、真剣に祈念していきたい。体調不良や、悪天候の時などは決して無理をせず、無事故第一の配達に努めてください。

 永石 また、この時季は、いわゆる「ヒートショック」にも、細心の注意を払っていただきたいと思います。

 長谷川 温度差が血圧の激しい変動を招き、体調不良につながる現象ですね。寒い時季は、暖房の効いた暖かい部屋から、浴室など温度が低い部屋に入る時などに起こりやすいので警戒が必要です。

 志賀 入浴中に失神すると、溺水してしまうなどの重大な事故につながります。こうした事故は、ここ数年で急増しています。

 長谷川 特に高齢者に多いほか、高血圧・糖尿病・不整脈などの持病のある方も要注意です。

 大串 消費者庁は、安全な入浴方法の目安として、「湯温は41度以下、つかる時間は10分まで」を呼び掛けています。さらに、「入浴の前に脱衣所、浴室を暖める」「浴槽から急に立ち上がらない」「アルコール摂取後や食後すぐは控える」「精神安定剤睡眠薬などの服用後は危険なので避ける」ことも訴えていますね。

 原田 私たちは真剣な祈りを根本に、賢明な健康第一の生活を心掛けていきましょう。

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 御書編 2019年1月23日

〈世界広布の大道――小説「新・人間革命」に学ぶ〉 第4巻 御書編 2019年1月23日

 

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第4巻の「御書編」。小説で引用された御書、コラム「ここにフォーカス」と併せて、識者の声を紹介する。次回の「解説編」は30日付の予定。(「基礎資料編」は9日付、「名場面編」は16日付に掲載)

信心の至誠

【御文】
 福田によきたねを下させ給うか、なみだもとどまらず
 (御書1596ページ、衆生身心御書)

【通解】
 福田に、すばらしい善根の種を蒔かれたのか。厚い志に涙もとまらない。

●小説の場面から

 〈会長就任1周年を目前にしたある日、山本伸一は供養の精神について思索する〉
 広宣流布に尽くすことは、福田に善根の種を蒔くことである――それは、伸一が青春時代から、強く確信してきたことでもあった。
 彼は、戸田城聖の事業が窮地に追い込まれ、給料の遅配が続くなかで、懸命に広布の指揮を執る戸田を守り、仕えてきた日々を思い起こした。
 伸一は、広宣流布に一人立った師子を支えることは、学会を守り、広布を実現する道であると自覚していた。
 彼は、自分の生活費は極限まで切り詰め、給料は、少しでも、広布のため、学会のために使うことを信条としてきた。それは伸一の喜びであり、密かな誇りでもあった。
 そのために、オーバーのない冬を過ごしたこともあった。ようやく出た給料の一部を、戸田の広布の活動のために役立ててもらったこともあった。
 そして、その功徳と福運によって、病苦も乗り越え、今、こうして、会長として悠々と指揮を執れる境涯になれたことを、伸一は強く実感していた。
 彼は人に命じられて、そう行動してきたわけではない。それは、自らの意志によって、喜び勇んでなした行為であった。
 また、広宣流布のために生涯を捧げようと決めた伸一の、信心の至誠にほかならなかった。(「凱旋」の章、136~137ページ)

仏法者の使命

【御文】
 須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か
 (御書31ページ、立正安国論

【通解】
 一身の安泰を願うなら、まず世の静穏、平和を祈るべきである。

●小説の場面から

 〈1961年8月の夏季講習会で、伸一は「立正安国論」を講義する〉
 「ここには、仏法者の姿勢が明確に示されている。
 自分の安らぎのみを願って、自己の世界にこもるのではなく、人びとの苦悩を解決し、社会の繁栄と平和を築くことを祈っていってこそ、人間の道であり、真の宗教者といえます。
 社会を離れて、仏法はない。宗教が社会から遊離して、ただ来世の安穏だけを願うなら、それは、既に死せる宗教です。
 本当の意味での人間のための宗教ではありません。
 ところが、日本にあっては、それが宗教であるかのような認識がある。宗教が権力によって、骨抜きにされてきたからです」
 (中略)
 「社会の安穏を願い、周囲の人びとを思いやる心は、必然的に、社会建設への自覚を促し、行動となっていかざるを得ない。
 創価学会の目的は、この『立正安国論』に示されているように、平和な社会の実現にあります。
 この地上から、戦争を、貧困を、飢餓を、病苦を、差別を、あらゆる“悲惨”の二字を根絶していくことが、私たちの使命です。
 そこで、大事になってくるのが、そのために、現実に何をするかである。実践がなければ、すべては夢物語であり、観念です」
 (「立正安国」の章、288~289ページ)

ここにフォーカス/立正安国の精神を胸に

 小説『新・人間革命』第4巻「立正安国」の章では、山本伸一が「立正安国論」を講義する場面が描かれています。
 「立正」とは「正を立てる」、つまり正法の流布であり、生命の尊厳という哲理を、人々の胸中に確立し、社会の基本原理としていくことです。「安国」は、「国を安んずる」こと。その意味は、社会の繁栄と平和を実現することです。
 日蓮大聖人直筆の「立正安国論」には、「くに」を表現する際に、「国構え(囗)」に「民」と書く「囻」という字が多く用いられています。そこには、「安国」といっても、民衆一人一人の幸福を離れて社会の繁栄はない、という大聖人の国家観が表れています。
 「立正安国論」は、世の中の惨状を嘆く客と、主人との対話形式で執筆されています。それは、日蓮仏法が「対話の宗教」であることを示しています。
 中国・冰心文学館の王炳根前館長は、「池田会長が提唱し、自ら実践しておられる『対話の姿勢』と『対話の精神』は、さまざまな紛争を解決し、調和の世界を構築する“宝の道”でありましょう」と述べています。
 立正安国の精神を胸に、私たちが日々、繰り広げている「一対一の対話」は、地味で、目立つことのない労作業かもしれません。しかし、この「対話の道」こそ、崩れない平和を築く“宝の道”なのです。

半世紀超す執筆に思う 識者が語る/インドネシア記録博物館 創立者 ジャヤ・スプラナ氏

●「人間主義」宣揚する魂の記録

 私は、インドネシア国内のさまざまな「記録」を収集する「インドネシア記録博物館」を1990年に創立しました。
 2006年から1年半にわたって、インドネシア各地で「自然との対話――池田大作写真展」が開かれ、国内の写真展として過去最高となる、42万人の入場者を数えました。この時、わが博物館は、新記録の認定証をお贈りいたしました。
 創価学会のことは、その前から知っておりましたが、池田大作氏のことを知れば知るほど、高潔な人格と行動に尊敬の念を深めました。昨年、インドネシア創価学会の文化行事にも出席し、池田氏の平和・文化・教育における業績について、より深く理解することになりました。
 私が池田氏を心から尊敬してやまない理由として、氏が「人間主義」を宣揚し続けているということがあります。
 人間の精神性を高め、文明の発展に貢献することを価値とする考え方が「人間主義」です。これは経済や文化など、人間のあらゆる営みの源泉となるべき精神でもあります。
 池田氏は、自らの行動で生き方の範を示し、慈悲をもって他者に接し続けてきました。50年以上にわたる小説『人間革命』『新・人間革命』執筆の闘争も、「人間主義」を宣揚する、池田氏前人未到の偉業の一つだといえるでしょう。
 私も長年、執筆活動を行っており、16年からは毎日、インドネシアのオンラインの新聞に寄稿を続けています。だからこそ、池田氏の執筆記録の根底には、記録という「数字」を超越した、計り知れない「魂」があることが、よく分かります。
 インドネシア記録博物館は昨年9月、わが国の文化を世界に宣揚してきた功績をたたえ、池田氏に顕彰状を贈呈しました。
 記録博物館では通常、数字としての記録に対して顕彰を行っており、むしろ、池田氏の小説が日本の新聞小説で最長の連載となることこそ、表彰すべきなのかもしれません。しかしながら、池田氏の行動の価値は、数字としての記録を超越していると考え、顕彰させていただいた次第です。
 池田氏が世界中の共感者と心を一つに行動を続け、世界に真の平和をもたらすことを、私は願い、期待しています。
 
 Jaya Suprana 1949年、インドネシア・バリ島生まれ。インドネシア記録博物館の創立者。音楽家、作家などとしても長年、活躍してきた。

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

本部幹部会で紹介された池田先生の指針 最後は「信心強き人」が勝つ 2019年1月22日

本部幹部会で紹介された池田先生の指針 最後は「信心強き人」が勝つ 2019年1月22日

幸福 希望 広布は行動の中に
万年に輝く栄光の歴史を
牧口先生「体験はダイヤモンド 実験証明なき宗教は観念論」
イギリス・ロンドン郊外のタプロー・コート総合文化センターで同志を励ます池田先生。同センターにはチャーチル首相が植えた杉の木も(1994年6月)

 「世界広布新時代第40回本部幹部会」(12日、巣鴨の東京戸田記念講堂)の席上、1993年1月の新春幹部会での池田先生のスピーチ映像が上映された。勇気の対話拡大に走る友への指針として掲載する。

 一、遠いところ、また寒いなか、本当にご苦労さまです。
 文永12年(1275年)正月24日、日蓮大聖人は、大田乗明への御手紙にこう仰せである。
 「抑俗諦・真諦の中には勝負を以て詮と為し世間・出世とも甲乙を以て先と為すか」(御書1002ページ)
 ――そもそも俗世間においても、真実の世界である仏法においても、勝負が肝要であり、世間も出世間(仏法)も、甲乙(勝劣)を決することを最も大切なこととするか――と。
 世間においても、仏法においても、何が勝れ、何が劣るかを明らかにせねばならない。そして、正義は邪義に絶対に負けてはならない。
 一、仏法も、社会も、人生も、「勝つか負けるか」――これが根本となる。
 個人も、一家も、団体も、すべて「勝負」である。戦闘である。ゆえに、大聖人は御書に教えてくださっている。「世間でも勝ちなさい。仏法でも勝ちなさい」――と。
 「勝つ」なかに「幸福」もある。「希望」もある。「広宣流布」もある。
 ゆえに、大聖人直結の誉れの同志は、絶対に負けてはならない! 断じて勝たねばならない!
 学会はこの「断じて勝つ」信心を貫いたゆえに、あらゆる障害を乗り越え、奇跡と言われる大勝利、大発展を成し遂げたのである。

仏法も社会も勝負

 一、また大聖人は、弘安3年(1280年)正月11日、南条時光にこう仰せである。
 「花は開いて果となり・月は出でて必ずみち・燈は油をさせば光を増し・草木は雨ふればさか(栄)う・人は善根をなせば必ずさかう」(同1562ページ)
 ――花は開いて、やがて実となり、月は出るごとに必ず満ち、灯は油をさせば光を増し、草木は雨が降れば繁る。(それと同じように)人は善根を積めば必ず栄える――。
 仏法は道理である。
 私どもは、法のため、人のため、広宣流布のために、日々、懸命に行学に励んでいる。
 その真心の信心が、しんしんと降り積もる雪のように、わが身の善根とならないはずがない。「信心」強き人は、最後は必ず勝つ。必ず栄えていく。三世永遠に、無量の福運に包まれ、物心ともに、幸福に満ちみちていくのが仏法である。そうなるに決まっているのが、信心なのである。
 ゆえに信心は、まじめに、地道に貫くことである。
 仏のことを「能忍」という。広布のさまざまな労苦を、あるいは無理解な周囲の声を、「能く忍び」、耐え抜き、乗り越えてこそ、永遠の勝利者となる。
 また仏の別号に「世雄」とある。民衆を救う“世の英雄”として、苦しい戦いも勇敢に戦闘し、勝つ人が仏なのである。
 反対に、要領よく立ち回るだけの人は、表面は良いように見えても、福運はつかない。善根は積めない。
 だれであろうと、どんなに高い地位にあろうと、学会を利用するだけの人間、学会員を裏切る恩知らずの人間は、善根を、すべて失ってしまう。
 「始めは事なきやうにて終にほろびざるは候はず」(同1190ページ)――始めは何もないようであって、ついには滅びないものはない――と仰せのように、最後は必ず滅びていく。

燦然たる人生劇

 一、初代会長・牧口先生は、戦時中の昭和17年(1942年)、功徳の実証に満ちあふれる学会員の体験談を喜ばれ、心からたたえられた。(『牧口常三郎全集』第10巻)
 「斯る体験談の発表は、全く命がけの結果であり、ダイヤモンドの様なものである」と。さらに先生は「今までの宗教は観念論ばかりで実験証明はなかった」と言われ、この悪しき宗教史を変えゆく事業が、創価学会の使命であることを訴えられたのである。
 私どもは、この一年、燦然と輝くダイヤモンドのごとき、福徳に満ちた大勝利の人生劇を、ともにつづってまいりたい。
 一、ところで、イギリスのチャーチル首相が、独裁者・ヒトラーと本格的な戦いを開始したのは何歳か――それは、65歳の時であった。
 首相就任の折、彼は獅子吼した。
 「われわれの目的はなんであるかとお尋ねになるならば、私は一言でその問いに答えましょう――勝利、この二字であります!」(ロバート・ペイン著『チャーチル』佐藤亮一訳、文化放送出版部)
 世界的に有名なスピーチである。
 “目的は何か――勝つことである”と。最後の勝利を信じて戦ったチャーチルが、常に人々と「V」(ビクトリー。勝利)サインを交わしたことは有名である。
 一、当時、ヒトラーの狂気は、ほしいままにヨーロッパを蹂躙していた。イギリスの情勢は極めて厳しかった。
 ある日、悪化する戦況の報告を聞いた後、チャーチルは静かに口を開いた。
 「さあ、これでおもしろくなった」――と。
 苦境に立たされれば立たされるほど、彼は、ますます闘争心を奮い起こし、悠然と指揮をとったのである。
 “今こそ、私の出番だ。力の見せどころだ”“大変であるほど、やりがいがあるではないか!”
 世界は“イギリスの運命は、近く終わりを告げるだろう”と見ていた。しかし、彼は人々に呼びかけた。(下院演説と放送で)
 「もし、イギリス帝国が千年の久しきにわたって存続するならば、『これぞ彼らのもっとも輝かしいとき』と後世の人をして言わしめよう」(加瀬英明編『チャーチル名言集』講談社
 “「彼らは最も輝かしい勝利の歴史をつくった」――千年先の未来において、こう言われるような戦いをしよう!”というのである。
 今、この時の戦いが、万年の果てまで「最も輝かしい歴史」となることを確信して進みたい。

世界に希望の灯を

 一、ロンドンへの激しい空襲は続いた。食糧や武器も不足した。激動と混乱――。
 戦況の報告を聞いた彼は、厳然と言った。
 「イギリスが絶対に征服されずに、決然とナチに抵抗している事実を目のあたりにみることによって、踏みにじられ、絶望のどん底に苦しむヨーロッパの数億の男女の胸に、否、その境界を遠く越えて全地球上の自由を愛する人々の胸に、希望の灯が点じられ、やがてこの灯が燎原の火のごとく燃えさかることは間違いあるまい」(同)――。
 “私たちの戦いで、人々の胸に希望の灯を!”――と。
 私どもの戦いも、さらに赫々と世界の民衆の胸に「希望の灯」を点火している。そして万年の未来の民衆の胸にも点火している――この意気で、勝利また勝利の前進を広げてまいりたい。
 本年一年の、皆さまのご活躍とご健康、そして輝かしい栄光を念願し、私の新春のごあいさつとさせていただく。
 きょうは、本当にありがとう!(大拍手)

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉11 人間の尊厳を守り、平和と幸福を実現―― 立正安国が日蓮仏法の根幹 2019年1月21日

〈座談会 創立90周年を勝ち開く!〉11 人間の尊厳を守り、平和と幸福を実現―― 立正安国が日蓮仏法の根幹 2019年1月21日

1月26日はSGIの日 師が築いた世界広布の道
〈出席者〉
原田会長
長谷川理事長
永石婦人部長
志賀男子部長
大串女子部長
「世界の同志の広布への情熱、真剣さに胸を打たれました。私たちも負けずに頑張ります!」と決意を新たにする日本の友(13日、東京・葛飾平和講堂でのアルゼンチンの友との交流交歓会)

 志賀 日蓮大聖人の仏法の根幹は「広宣流布」であり、「立正安国」です。

 永石 その点について、小説『新・人間革命』第21巻「共鳴音」の章には、次のように記されています。「『立正』とは、生命尊厳の哲理であり、人間革命の方途を示した仏法の人間主義の思想を、人びとの胸中に打ち立てることである。そのための実践が広宣流布である。そして、この広宣流布は、『安国』という、社会の繁栄と平和の実現をもって完結する」と。

 原田 「広宣流布」と「立正安国」の関係が、明確に示された一節です。第4巻には、そのものずばり、「立正安国」という章もあります。池田先生は、この立正安国を実現するための広宣流布の方途として、教育・文化・政治などの分野に、仏法の人間主義の旗を掲げる団体を設立し、運動を推進してきました。

 大串 第26巻「勇将」の章では、社会の制度や仕組みは大切だが、より重要なのは、それらを運用する人間の心であると訴えられています。そして、いかに制度が整っても、人間のいかんで、制度は悪用、形骸化されてしまう危険があると強調されています。

 志賀 だからこそ、為政者も、民衆も、確かな哲学をもつ必要があります。つまり、「人間は等しく尊厳無比なる生命をもっているという哲学」「人々の苦しみに同苦し、他者の苦を取り除こうとする慈悲」「自己のエゴイズム・欲望を、いかに制御し、昇華するか」が大切なのです。

 原田 この哲学を人々に伝えていくことが「立正」です。まさしく、一対一の対話で、仏法の思想を語り、広げていくことは、「立正」の戦いです。

 大串 「立正安国論」に、「須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か」(御書31ページ)との有名な御文があります。

 志賀 ここに、仏法者の使命が明確に示されています。すなわち、自身の安らぎのみを願い、自己の世界にこもるのではなく、人々の苦悩を解決し、社会の繁栄と平和を祈ることが、真の宗教者の生き方です。

 原田 平和社会の実現のため、地上から、戦争を、貧困を、飢餓を、病苦を、差別を、あらゆる“悲惨”の二字を根絶していくことが、日蓮仏法の根本であり、学会の目的です。そのために、教育・文化・政治などの分野で積極的に運動を進めていくのです。

中道主義の政治を

 志賀 15日付の「新時代を築く」の中で、先生は「中道」の思想について紹介してくださいました。
 また、『新・人間革命』第11巻「常勝」の章では、「中道主義を根底にした政治、すなわち中道政治は、対峙する二つの勢力の中間や、両極端の真ん中をいくという意味ではありません。あるいは、両方から、そのよいところをとって、自己の生き方とするような折衷主義でもありません。色心不二の仏法の生命哲学に立脚した、人間の尊厳を守り、平和と幸福を実現しゆく政治ということであります」と明言されています。

 長谷川 中道主義とは、“対立する意見を足して二で割る中間主義”でもなければ、“両方のよいところをとる折衷主義”でもありません。中道とは、“道に中る”と読みます。命中・的中の「中」です。

 原田 つまり、正しき人間主義、生命尊厳主義に即して離れない。常に「道に中っている」「正道に適っている」――これが中道です。いうなれば中道とは、「誰も置き去りにしない」ことであり、「皆の幸福のために行動する」ことに尽きます。私たちの支援活動も、こうした中道主義に立脚した人材を輩出し、社会の繁栄を築くためにあることを確認しておきたい。

「一人」への励まし

 永石 1月26日は「SGI(創価学会インタナショナル)の日」です。1975年のこの日、グアムにおいて、SGIが発足したことに由来します。

 長谷川 今や192カ国・地域に広がった「SGIの発展」「世界広布の伸展」もひとえに、池田先生の命懸けの戦いがあったからこそです。小説『新・人間革命』第1巻の「はじめに」には、「広宣流布の世界への広がりこそが、恩師の本当の偉大さの証明になる」との池田先生の真情が記されています。

 永石 「君の本当の舞台は世界だよ」との戸田先生の言葉を胸に、山本伸一会長が世界広布の旅を始める箇所から始まるのが、小説『新・人間革命』です。

 大串 御書に、「法華経の大白法の日本国並びに一閻浮提に広宣流布せん事も疑うべからざるか」(265ページ)とあります。この大聖人の仰せを現実にしたのは、池田先生であり、創価学会です。

 原田 言うまでもなく、当時、海外には、わずかなメンバーしかいませんでした。しかし、先生は、一人また一人へと励ましを重ねていきます。広宣流布は、「目の前の『一人』への励ましから始まる」――この広布の鉄則を先生自らが示してくださったのです。

 長谷川 “人材がいない”と嘆く幹部に、「みんな人材です。これから光ってゆきます。純粋に信心を全うしていけば、みんな広布の歴史に名を残すパイオニアの人たちです」と語り掛けるシーンにこそ、先生の思いがあふれています。

 原田 戸田先生から託された世界広布の基盤を、築いてくださったのが池田先生です。この道を、さらに大きく開いていくことこそ、弟子の使命です。私たちも、先生に教わった通り、「目の前の一人」への励ましに徹し、さらなる世界広布の大道を歩んでいきましょう。

〈池田大作先生 四季の励まし〉 きょう本紙2万号――生きる勇気と希望を発信 2019年1月20日

池田大作先生 四季の励まし〉 きょう本紙2万号――生きる勇気と希望を発信 2019年1月20日

本年11月18日完成予定の「世界聖教会館」
 

 わが聖教新聞は編集、整理、
 電送、印刷、輸送、販売店など
 全ての方々の尽力の結晶である。
 通信員の皆様の奮闘も光る。
 この熱き心のリレーのアンカーを、
 雨の日も風の日も担われているのが
 無冠の王たる配達員の皆様である。
 さらに聖教は、新聞長をはじめ
 幾多の同志、幾百万の読者の
 皆様に支えられている。
 聖教新聞は、労苦をいとわぬ
 全ての方々の心血が注がれた、
 広宣流布への正義の弾丸である。

 聖教新聞の使命は極めて大きい。
 学会にあっては、
 信心の教科書であり、
 同志と同志の心をつなぐ
 絆になっていかなくてはならない。
 また、社会にあっては、
 不正、邪悪と戦い、
 仏法の慈光をもって、
 まことの人間の道を照らし、
 万人に幸福と平和への道を
 指し示していく使命がある。

 暗いニュースが続く時代だからこそ
 人間の善性に光を当て、
 民衆の結合を強め、
 よりよき人生と社会を築くために、
 励ましのエールを贈りたい。
 御手紙を通して、
 幾多の門下に生きる力を贈られた
 日蓮大聖人の御心を拝し、
 聖教新聞は、生きる勇気と希望を
 発信していくのだ。

 我らは「聖教新聞」とともに戦う。
 「広宣流布」のために!
 「一生成仏」のために!
 「異体同心」のために!
 「破邪顕正」のために!
 「三世の歴史」のために!
 「人間革命」のために!
 「末法万年」のために!
 「聖教」は、私の生命であり、
 創価学会の生命であり、
 仏法厳護の生命であり、
 広宣流布の生命である。

 聖教新聞の新社屋として、建設が進む東京・信濃町の「創価学会 世界聖教会館」。今月8日、池田大作先生が、その外観を車中からカメラに収めた。同会館は、本年11月18日の「学会創立記念日」に完成予定。生命尊厳の哲学を世界に発信しゆく新たな言論城となる。
 チェコの作家で、「民衆新聞」の記者として活躍したカレル・チャペックは語った。「毎日、新聞が出るということはそれ自体すでに奇跡であります」(田才益夫訳『カレル・チャペックの新聞讃歌』青土社
 今日、本紙は発行2万号を迎えた。一号また一号は、創価の師弟の団結から生み出された奇跡である。さあ、世界聖教会館の建設の槌音とともに、我らも栄光の広布史をつづりゆこう。